■豚を食べ、中国語を話せ

 ベカリさんは新疆ウイグル自治区でウイグル人とカザフ人の両親の元に生まれ、中国出身の多くの少数民族同様、仕事を求めて2006年にカザフスタンに渡り、そこでカザフ国籍を取得した。

 だが2017年に出張で新疆ウイグル自治区に戻った際、ベカリさんは逮捕され、「テロリズム」を支援した罪で7か月間収監された後、再教育施設に送られた。

 ベカリさんによると、収容所ではイスラム教徒にとって聖なる日である金曜日に豚肉を食べることが義務付けられていた。イスラム教では豚肉を口にすることは禁じられている。

 また被収容者は当局から「生徒」と呼ばれ、中国語以外の言語を話すことを禁じられていたほか、礼拝やひげを伸ばすことも、当局が宗教的な過激化の兆候とみなしていたため許されなかったという。

 ベカリさんは2か月ほどで施設を出られたが、カザフ当局の介入があったからだとベカリさんはみている。

 中国にいる家族たちが危険にさらされるのを恐れ、多くの人が沈黙を貫いている一方、ベカリさんは収容所の状況を語ることができる数少ない生存者の一人として、海外で行われる国際会議などに出席して自らの経験を証言し続けている。

 ベカリさんには今も中国に住む両親ときょうだいがいるが、連絡は一切ないという。施設から釈放された後、ベカリさんは妻や子どもたちと共にカザフスタンを離れ、トルコに移住した。中国とは「もっと距離を置く」つもりだと、ベカリさんは語った。(c)AFP