幕末・刀のお値段 | またしちのブログ

またしちのブログ

幕末史などつれづれに…


テーマ:

幕末の頃、新選組や勤皇の志士たちは、皆刀を手にして戦ったわけですが、その刀は当時いくらぐらいだったんだろうと思って、昔ちょっと調べてみた事があります。

 

調べた中で一番参考になったのは、『新選組隊士遺聞』(谷春雄・林栄太郎)に掲載されている「金銀出入帳」ですが、他にいくつか参考にした本や史料があったものの、メモしていなかったので何を参照したのか忘れてしまいました・・・。

 

刀の値段としては「金銀出入帳」に

 

一、同十両也 山田一郎 刀拵代渡

 

一、同十六両二分也 大和守身三本

 

一、同十六両也 刀身二本 宗安

 

一、金十両也 岸島芳太郎 脇差代

 

一、同八両 佐藤安次郎 刀代

 

一、同四十三両 中島屋 払大小七本

 

一、同七十五両三分 刀五本脇差三本

 

といった記述があります。ちなみに「金一分」=「0.25両」なのですが、だいたい刀一本で七両から十両ぐらいの計算になるでしょうか。

 

一両が現在のいくらになるのかは、専門家の方の間でも意見が分かれているようですが、おおよそ10万円から15万円ぐらいが妥当な評価でしょうか。

 

仮に一両=10万円だとすると、新選組隊士たちの刀はだいたい70万から100万円ぐらいだったという事になりますね。おそらく倒幕派の志士たちの愛刀も、さほど変わらない値段だったのではないでしょうか。

 

その一方で、禁門の変の論功行賞で、参戦した各藩の藩主に幕府が褒美として渡した刀の一覧みたいな史料がありまして、それによると一番安いものでも三百七十五両(3750万円)、一番高い刀(越中佐伯則重)だと一千百二十五両(1億1250万円)と、一般の武士、浪士たちの所持刀とはケタが違います。

 

たしか、一番安いのが松平容保への褒美、一番高いのが島津茂久への褒美と書いてあったように思います。・・・幕府も気を使っていたんでしょうね。

 

ちなみに、近藤勇が持っていた長曽祢虎徹も最上業物なので、もちろんこちらの価格帯になります。これでは「偽物なのでは?」と噂が立つのも無理がない気がします。

 

その一方、安い刀としては、たしか井上源三郎の兄松五郎の日記に「同僚が無銘安刀を金二分で買った」という記述があったと思います。他の史料だったらごめんなさい。

 

金二分は0.5両なので5万円。これぐらいが「安刀」だと認識されていたという事になりそうです。

 

ただ、質流れ品もあったようですし、盗難品や焼け身(火事の焼け跡から拾ってきたもの)などが夜店で売られていたりしたようなので、これらはもっと安い値段で購入可能だったのではないでしょうか。

 

焼け身は何時間も高熱にさらされてしまったものなので、実戦には役に立たない「なまくら刀」だったそうですが、貧乏な下級侍や浪人ならば、まだ無いよりはマシだったでしょう。

 

また、刀の研ぎ直しが銀七匁(もんめ)。銀六十匁=金一両なので、七匁だと1万2000円ぐらいになるでしょうか。他に柄の巻き直し代が銀三匁(5000円)という記録があります。・・・何に書いてあったのかは忘れてしまいましたが。

 

 

『新選組血風録』第一話「虎徹という名の剣」より

AD

またしちさんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

Ameba人気のブログ