カルネ村やエンリって様々な描かれ方をしています。
新たな切り口を見つけるほどスキルないですから
こんなカルネ村やエンリもいいなぁと
今朝歩きながら考えました。
軽いエピソードになるかな?
でわ、ごゆっくりお楽しみください。
難無く六腕を壊滅させた鈴木たちは
ガゼフ邸にもどっていた。
「とりあえずポーションを使ったが、身体の傷より心の傷だ。こればかりはポーションではどうにもならん。」
(まぁ記憶を触れば消す事は出来るんだけどね。魔力消費もそうだけど、この人たちの不幸って相当古くから始まってる気がする。折角助けたのに記憶喪失廃人になってもなあ。)
「父上、提案なのですが。我々も今夜は派手に暴れましたので一時身を隠した方が良いかと思います。八本指なる組織はかなりの規模だそうですし、助けた者たちに追手も来る場合も考慮しませんと。そこでエンリの所はどうでしょう。あそこなら廃村と思われていますし、王都からは遠く離れた辺境。バレるにもそれなりに時間がかかると。」
「しかしエンリたちだけなら兎も角、この人数を食わす食べ物がないぞ?昨日の今日では復興も出来てはいないしな。」
「そこなのですが。父上のお力でシークレットハウスと拠点制作で要塞を作って貰い、その中にある食物を使い急場を凌ぎ。私も手伝いますので土地の改良と労働力の補充をして急ピッチに村を立て直す。あとはエ・ランテル辺りから食料を調達すればなんとかなると。」
ガゼフやクレマンティーヌたちは何の話かさっぱり理解出来ないが、2人がまた超人的な奇跡を起す予感はした。
「名案だ!さすが、我が息子。父は嬉しいぞ。」
パンドラズ・アクターは照れて下を向く。
「よし!そうと決まれば明日朝に決行だ。朝にはあの者たちも自力で歩けるだろう、カルネ村に転移門を開く。」
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夜が明けると同時に作戦は実行に移された。
捕われていた女たちにはクレマンティーヌが、
もう暴行などの心配はない事、これから知り合いの村へ行くが魔法を使うので騒がない事などを説明した。
「ガゼフ。あの夫婦はどうするのだ?」
「先程説明したところ、ここに残るそうです。身の危険もあるとは言ったのですが、こんな年寄り夫婦心配は要らんとか言いましてね。だったらこの家は好きに使えとくれてやりました。」
「あの歳で復興村生活も辛かろう、成る程分かった。」
「それと私事ですが、先程国王陛下へ書簡を出しました。
本日をもって戦士長職は辞します。」
「すまんな。俺の我儘に付き合わせてしまった。」
「それは言わない約束ですぞ?私はこれから民の為にこの剣を振るうのです。逆に気分は清々しい!」
「ではガゼフ。これからはサトルと呼んでくれないか。仲間として。」
そう言って、2人は固い握手を交わした。
「さあ!出発だ!」
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エンリとンフィーレアは比較的無事な家を修理して暮らしていた。雨露をしのぐ程度だったが、新婚夫婦には少しも気にならなかった。
「ンフィー。今朝森で珍しいキノコを見つけたの、見てくれない?」
「これはエンリ、とっても貴重なキノコでね。街じゃ高価で売られてるんだよ。もちろん、僕は食べた事ないけどとても美味しいらしいよ。」
「そうなの?じゃあ、お昼はコレ焼いて食べましょ。」
「エンリ?」
「ん?」
「大好きだよ♡」
「わたしも♡」
楕円形の闇が広がり中から声がした。
「おーい!エンリ居るかぁー?」
「「ひょえー!」」
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「と言う訳でな、暫く厄介になる。」
事情を聞いてエンリたちは鈴木たち一行を歓迎した。
どうせ生活が安定したら街に行って村人募集しようと考えていたのだ。予定が少し早くなったと思えばなんとも無い。
「それでな、家の損傷が酷くて今のままでは使えない区画があるだろう?そこを一旦整地して新しく建てる。そこに皆で住むつもりだ。なぁに、直ぐ出来るよ。」
(直ぐって言ってもそれまでこの女の人たちどーするのかなあ?いくら村の中っても野宿?廃材で簡単な屋根作る?)
鈴木の魔法を見た事が無いンフィーレアの頭には疑問符しか浮かばなかった。
「よし始めるぞ。先ず綺麗さっぱり焼き払おう。焼夷。そして土地ごとひっくり返すと。大地創造。うん。完璧っ!」
凄まじい轟音と共に廃屋は焼き払われ、土はブルドーザーで掘り起こされた様に下から混ぜられ綺麗に整地された。
鈴木は大満足しドヤ顔で皆を振り返った。
「喝采せよ!」
「パチ パチ パチ」間抜けな音が響いた。
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「そう言えばお前たちの自己紹介がまだだったな。お互い名前も知らぬでは不便だ。」
「私はツアレニーニャ・ベイロンです。よろしくお願いします。」最初に拾った女が答える。
「わたしは・・・」「私は・・・」「私は・・・」
次々と自己紹介が進む。
「私はサトル・スズキ。これは息子のパンドラズ・アクター、そして仲間のガゼフ・ストロノーフとエンリ・エモット、その夫のンフィーレア・バレアレ。あーそうか、もうエンリはエンリ・バレアレだったな!それで最後はクレマンティーヌだ。」
パンドラズ・アクターを除いて皆、何か夢を見ている様にボーッとしていた。
「じゃ、自己紹介も済んだから住むとこ作るね」
場違いに軽い口調で鈴木は言ったが、緊張を解そうと彼も気を遣っていたのだ。が、その後起こった事で緊張は更に増す事になる。
「要塞創造。」
見上げる様な城が出来上がる。
またもドヤ顔で皆を見渡す。
「ち、父上。少し大き過ぎます。これではここに何かありますよと知らせている様なものです。」
「げっ?でもこれだったら部屋も沢山あるしちょっとやそっと攻め込まれても大丈夫だよ?」
「さ、サトル様。もう少し小さく出来ません?」
怯えた様にクレマンティーヌは言う。
後ろでは女たちが「お城だ」「お城だ」と小声で言っている。
「えー、カッコいいんだけどなぁ。ほら、先端の棘なんかさ、如何にも魔王の居城っぽいじゃん?」
今度は「魔王だって」「魔王なの?」と女たちが囁く。
「しょーがないなぁー、じゃあ作り直すよ。う〜ん。宿泊所創造。アパート!」
すると、お洒落な屋根が付いた二階建ての民宿みたいな建物が出来た。避暑地の山荘っぽく見えなくもない。屋根の上にはヒヨコの風見鶏も付いていた。
「かわいいー」「よねー」「きゃー」
途端に賑やかになった。
(だから女子ってわからないんだよな。さっきの方が全然かっこよかったじゃんね。ヒヨコよりデーモンの飾りだろ。)
永遠の厨二野郎には理解不能だった。
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アパートの横にシークレットハウスを出して新婚専用にした。
いくらなんでも共同生活を強いるのは押しかけて来た以上、気がひける。
エンリは大層喜んだ。
ンフィーレアは家まで用意して貰ってこれじゃあマスオさんだ、などと何処で聞いて来たか分からない名前で例えていた。
アパートの中は鈴木も知らなかったが(作った事がない)よく出来ていて大きめのキッチンや風呂場、程よい大きさのリビングが一階に配置され、2階の部屋には二段ベッドがあり驚いた事に箪笥や机なども備え付けられていた。
そして予想通りキッチンの冷蔵庫には大量の食料や飲み物そして酒まで入っていた。鈴木の記憶通りならこれらの食料は一定期間は毎日補充される筈だ。
「それでは第1回住民会議を始める。」
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「会議を始める前に聞いておく。お前たち、ここに住むのが嫌なら故郷へ帰っても良いのだぞ?」
鈴木は女たちに尋ねた。無理矢理住まわせて働かせるのなら
八本指と変わらない。個人の意志は尊重されるべきだ。
ツアレが挙手し発言を求める。
「どうぞ。」鈴木は許可する。
「はい。その事なのですが、さっき皆んなで話し合ったのです。私たちは弱い存在です。その弱さ故に強き者の暴力に逆らう事も出来ずただ蹂躙され続いていました。もう嫌です!
折角助けて頂いた命を失う事になるかも知れませんが、精一杯生きたいのです。戦って戦って戦い抜いて生きたいです!だから、だから、どうぞここに置いて下さい。力仕事でもなんでもします、お願いします!」
ガゼフは目頭を押さえた。若い娘たちの決意に胸を打たれた。
クレマンティーヌは驚いた。弱き者はいつまで経っても弱きまま、そう思って来た。だから見ていてイライラする。かつての自分を見ている様で。
「承知した。もうお前たちは独り立ちした。これからはお前たちの意志で生きそして死んでゆくだろう。だがそれこそが人生。その人生を全うせよ。」
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会議では各人の役割分担が決められた。
鈴木たちが村に留まるのは一時的なので村長はエンリになった。本来ならンフィーレア選出が妥当なのだが元々カルネ村出身者で周辺、特に森に詳しい事が決め手になった。
森の恵みは生活に不可欠なのだ。
次に開墾作業だが、進言があったとは言え女たちでは作業が中々進まない。エンリから鈴木が置いていったデスナイトがとても役に立つと教えられたのでスケルトンなどを肉体労働用に作る事になった。鈴木の"奇跡"を目の当たりにしたので、言う事をきくスケルトンなどでは驚かなくなっていた。感覚が麻痺したのだ。慣れとは実に恐ろしい。
そんな訳で女たちはエンリに教わる薬草採取組と、ンフィーレアに教わるポーション作成組に別れた。
金を稼ぐには売る為の商品が必要である。
2人の専門家は心強い。因みに森深く入る時にはモンスター対策にクレマンティーヌが警護に付く。
ガゼフは村の警備だ。油断は出来ない。
そして食事担当はツアレになった。
家事全般、特に料理には自信があるらしい。
この様にして新カルネ村は動き出した。
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のんびりした時が数週間流れた。
転生してからイベント続きだった鈴木とパンドラズ・アクターは村ライフを楽しんでいた。
「父上、暇ですね」
「そうかぁ?まったりしてイイじゃないか。小鳥の囀りで目を覚まし森の空気を肺いっぱい吸い込み、夜は満天の星を眺める。最高じゃないか」
「冒険はどうなりました?」
「アー!言っちゃった!お前それフラグ立ったわ」
「フラグ?」
「そーだよ、フラグ。何が事件起こるキッカケみたいなもんだよ」
「予感とか、の類いですか?」
「ん〜、似てるけど違うな。まーいいや。でもフラグ立ったから安心しろ、そのうち事件が向こうからやって来るよ。」
(父上は時々不思議な事を仰る)
パンドラズ・アクターは小首を傾げそう思った。
お疲れ様でした。
ツアレニーニャさんとコラボしてみました。
タイプが違うどちらも魅力的な女性です。
これからの2人の会話が聞こえて来そうです。
はっきり聞こえたらまた書きますね。
じゃあ、またよろしくお願いします。
ありがとうございました。