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飛ぶしか能がない最弱種が歩きます

拙い文章ですが、読んでいただけたら幸いです

 むかーし、むかし。ドラゴンが普通に空を自由に飛んでいた時代のお話です。


 ひとくちに、ドラゴンと言えども、色々な種類がいるのは、皆さんご存じでしょうか。

 マグマの中で暮らすモノもいれば、空間に穴を開けて獲物を待ち構えているモノもいます。

 人に交じって暮らすモノもおりましたら、それとは逆に強靭な身体で人に災厄として忌み嫌われているモノもいるのです。


 そんな様々な種類があるドラゴンの中で、"フラットドラゴン"というドラゴンを紹介しましょう。


 かのドラゴンは、爪がありません。もっと言えば、牙も、角も、強靭な皮膚もありません。

 あるのは滑空に適した平べったい皮膚、5メートルほどの大きな身体。

 そして長く飛ぶための、身体よりも大きな翼。


 それが《真っ平らな龍》----フラットドラゴンと呼ばれるドラゴンなのです。


 フラットドラゴンは、その身体で雲一つない青空をふんわりと飛んでいます。

 翼を動かす筋肉もあまりないため、風に任せてふわりふわりと。


 のんびり、ぽかぽか。

 ゆったり、ふわり。


 まるで枯れ葉が気まぐれな風に誘われて飛ぶかのように、のんびりとした様子で、ついにはウトウトと昼寝まで始めてしまいます。


 いつもと同じ、フラットドラゴンの日常です。


「----うわぁぁぁぁぁぁ! どいて、どいてぇぇぇぇぇぇ!」


 おやおや? そんなフラットドラゴンの元に、急接近してくる人影が?


 そう、魔女です。


 黒い魔女帽子に、全身真っ黒なドレス姿。そして、空飛ぶホウキ。

 まごう事なき、魔女でございます。


 どこにでもいる村娘のような姿をした彼女は、目を回しながら、そのままフラットドラゴンに突っ込んできます。


 フラットドラゴンは自分に迫ってくる魔女に気付いていましたが、フラットドラゴンにそれを止める事は出来ませんでした。

 なにせ、フラットドラゴンは空を飛んではいますが、自由自在に通んでいる訳ではありません。

 ただ、空に"浮かんでいる"だけなのです。


 制御も出来ずに飛んでくる魔女と、空に浮かぶフラットドラゴンの衝突は、必然でした。


 ぶつかった両者の衝撃は激しく、2人とも落ちていきます。

 魔女は真っすぐ下に落ちる真っ赤なリンゴのように、そのままホウキと共に真っ逆さま。

 そして、フラットドラゴンは、落ちた場所が悪かったのか、大きな木に突っ込んで、葉っぱの中を進みながら落ちていきます。


「いたたっ! まったく、この魔女様の華麗なる飛行魔法を邪魔してくれちゃって! どこのバカ野郎なのよ! まったくっ!」


 ぷんぷんっ、頬を膨らませた魔女は当たった相手----すなわち、木に落ちた間抜けの顔を確認します。


「どれどれ……って、なにこのデッカい落ち葉?! めちゃくちゃデカい……それにやわらかっ……。

 いえ、弱いけど動いている、ってもしかして?! あの最弱種のフラットドラゴン?! 飛ぶしか出来ない、無能ドラゴン?!」


 はぁ~、頭に手を置いて、バカにした顔で見る魔女。

 木にぶつかった衝撃で気絶していたフラットドラゴンも、自分の近くに呼ぶ声で目を醒まして、平べったい瞳で魔女を見つめます。


 魔女帽子に、黒いドレス。そして……美しい逆三角形の瞳。

 間違いない、完璧なる魔女でございます。


 フラットドラゴンは、慌てて距離を取ります。

 何故なら、ドラゴンの身体は魔法や魔術を用いる者にとっては、とても高価な触媒となるからです。


 牙は最上級の召喚素材、爪は魔法の発動媒体としてはこれ以上ないってくらいに。

 フラットドラゴンには牙も、爪もないが、血や皮膚も翼も、魔術の道具として優秀に左右するため狙われています。


 "魔法を用いる者、特に魔女には気を付けろ"。


 教わる以前に本能的に染みついている、ドラゴンとしての習性からか、フラットドラゴンは飛んで逃げようとします。


 しかし、飛ぶ事が出来ません。

 翼に"ずきりっ"とした違和感を感じ、振り返ると翼に傷がついていました。


 高い所から落ちた衝撃で、葉っぱに傷つけられて、翼に傷がついてしまったようです。


「ふーんだ、無能ドラゴンのくせして私にぶつかるから悪いのよ! 無能は無能らしく、見つからないように、ずーっと隠れていなさいよね!」


 制御も効かないホウキで突っ込んだ自分が悪いとは一切思わずに、魔女はホウキでささっと、埃を払いますと、フラットドラゴンを無視して地図を見始めます。


 自分が襲われない事に気付いたフラットドラゴンは、恐る恐る魔女に近付きます。


「ん……? なによ、無能ドラゴン。あんたも、《紫の宝玉》が欲しいの?」


 フラットドラゴンは、答えません。

 喋れないのもありますが、そもそも《紫の宝玉》とやらがなんなのかが分からないからです。


「《紫の宝玉》ってのはね、とある魔術師が残した七秘宝の1つよ。持った者が望む姿に変えるという宝玉で、これを使えば、全ての魔法を使いこなす、最強魔女たる大魔導士になれるのよ! 絶対に手に入れたいアイテムだわ! そしてこの地図は、その《紫の宝玉》の在処が書かれているのよ!」


 "なんでもなれる"、その言葉はフラットドラゴンにとって強く刺さりました。


「……! なによ、無能ドラゴン! いきなり地図を奪い取って!」


 地図を見て、バツ印を見つけたフラットドラゴンは、「ガウッ!」と一声吠えると、そのまま東に向かって歩き出します。


 勝手に歩き出したのを、怪訝な目で見つめる魔女。


「地図を無能ドラゴンが奪って出て行った……まっ、さっ、かっ?! あのドラゴン、私と同じように《紫の宝玉》で最強龍になるつもりじゃないでしょうね!? ちょっと待ちなさい、この無能ドラゴンが!」


 その後を追うように、魔女もホウキに乗って追いかけるのでした。




 フラットドラゴンは歩いて、目的地へ向かいます。翼が傷ついて、空を飛べないからです。


 魔女も歩いて、目的地へ向かいます。ホウキで飛ぼうとして、上手く真っすぐ飛べないからです。


 およそ3日ほど歩き続けて、1人と1匹は、《紫の宝玉》がある森へと辿り着きました。


「まったく……なんで森深くなんかに《紫の宝玉》があるのよ。本当に面倒くさいわね」


 歩くのに疲れたと言った様子で、勝手にドラゴンの上に乗る魔女。

 落とそうとしても、フラットドラゴンにろくな戦闘能力はありませんし、自分の身体の上であぐらをかきながら、魔法を披露する魔女を振り落とせないのです。


「しっかし、この魔女様に感謝して欲しいわね、無能ドラゴン。この魔女様が軽量化の魔法を知らなかったら、あなたのような平べったいのは、ぺしゃんこに潰れて終わりよ」


 実際の所、魔女が軽量化の魔法をかけているのは事実です。

 フラットドラゴンの上で魔法をかけていますが、ホウキでまともに空を飛べない魔女だからか、りんご1つ分くらいしか軽くなっていませんが。


 ドラゴンは一歩一歩、着実に前へと進んで行きます。


「私のような大魔導士になるべき者が《紫の宝玉》を用いて、大魔導士となるのは当然。それを分かっていない者達が多すぎるのよ。

 あんたも、どうせ《紫の宝玉》で、フラットドラゴンなんかよりも凄いドラゴンになるつもりでしょう?」


 フラットドラゴンはなにも言いません。

 と言うか、言い返したとしてもこの魔女に聞き取れる耳がないのでございますが。


 なにも言わない事を、魔女は肯定だと見なしたみたいであります。


「そうでしょう、そうでしょう! フラットドラゴンなんていう最弱種が望むことなんて、どうせ自分よりも強いドラゴンになりたい、そんなところでしょう?

 火も吐けず、爪も牙もなく、そして飛ぶ事すら満足に出来ないフラットドラゴンが望むことなんて、もっと強いドラゴンに生まれたかったなーんて、そういう……」


 1人、答えないドラゴンに対して勝手に話し続ける魔女。


 そのまま、のしのしと、歩き続けるフラットドラゴンでしたが、急に止まりました。


「どうしたの……って、うわっ?!」


 ドラゴンの上で、魔女は異変に気付きました。


《ゲヘ!》

《ケケケ!》

《ウケケ!》


「緑の肌に、醜く卑しい顔! あれね、ゴブリンね!」


 そう、いつの間にかゴブリンに囲まれていたのです。


 フラットドラゴンを取り囲むように、ゴブリン数十体が待ち構えており、全員がいやらしい目つきで魔女を見ております。

 視線の理由は簡単です、女を巣に放り込んであんな事やこんな事をするのです。


「1体1体なら、私の魔法でなんとか……けど、こんなに数がいると、流石に一度じゃあ……。

 もうっ! 早く言いなさいよ! この間抜け、アホ、最弱無能ドラゴン!」


《《《クケケケケ!》》》


 一斉に、ゴブリン達は飛び掛かって襲ってきました。

 "こんだけ数がいれば誰かはごちそうに預けられる"という仲間意識で、"でもそれが自分じゃなければ良いや"という考えの元、ゴブリン達は襲ってきます。


「くっ! 《大気に潜みし精霊よ、今こそ魔女の名に」


 遅すぎました。

 魔女は見たくないとばかりに、目を閉じます。


 ゴブリン達はフラットドラゴンの背中に乗る魔女に向かって行き、そして醜い顔を歪ませて----


「……えっ?」


 魔女は、自分の身にゴブリン達の手が、迫ってこない事に違和感を覚えました。

 "もしや、自分の魅力に気付いたゴブリン達が攻撃を止めたのか"と納得して、目を開けますと、その答えがありました。


「……フラット!?」


 そう、フラットドラゴンが守っていたのです。

 飛べなかったとしても、フラットドラゴンには大きな翼があるのです。


 5メートルほどの大きさの身体を持つ身体、それよりも大きな翼にて囲むように覆いかぶさっていたのです。


 要は、魔女はドラゴンの翼に守られていたのです。


「~~~~っ!」


 それに気づいた魔女の心にあったモノ----それは感謝などではなく、"怒り"でした。


「《敵をっ! 殲滅せよっ!》----《フレイム・ランス》!」


 荒ぶる魂と共に唱えられた呪文は、世の理を外れ、宙に炎の槍を具現化させます。

 具現化された炎の槍は、詠唱主にとっての敵、すなわちゴブリン達に貫き、焼き殺します。


「ほらっ、さっさと行くっ!」


 げしっ、と乱暴に、ドラゴンの背中を蹴る魔女。


 数を揃えなければ女一人襲うこともできない最弱魔物に襲われ、それをあろうことか空を飛ぶしか能がない最弱種に庇われたのです。


 魔女の方が弱いから自分が守ると、最弱種に庇われたのです。


 魔女のプライドは、ずたずたに引き裂かれていました。


 フラットドラゴンはなにも言わず、魔女を乗せたまま、ただ森の奥へ歩き出しました。




 ゴブリンの焼けた臭いがしなくなるほど、奥へと進んで行って、魔女はようやく気持ちが落ち着いてきました。


 と、同時に、自分がしたことが間違いであることも分かっていました。


 フラットドラゴンは、ゴブリンから魔女を助けようとしていました。庇おうとしていました。

 それに対して、自身が弱者だと、最弱種ドラゴンに思われたようで、腹が立ったのです。


 ホウキが苦手というだけで、自分よりも魔法の扱いが乏しい魔女の仲間達に庇われた時の事のように。

 自分よりも弱いのに、自分を弱者だと思うだなんて、本当に屈辱的な事なのである。


「(でも、庇おうとしたんですよね、こいつ……)」


 大量のゴブリン達によって、落ちた時よりもぼろぼろになってしまった翼を見ながら、やはり自分が悪いのではないか、と、そう、ほんのすこぉぉぉぉし、思ってしまいました。


「(そうよね、魔女である私が魔導士になるのは努力を、私が大嫌いなアレをすればなるだろうけど。

 無能種なコイツは、それこそ死ぬくらいじゃ……)」


 と、そんな事を考えて、魔女は頭を物凄い勢いで振ります。


「(----って! バカバカ! 私は今すぐ、《紫の宝玉》で大魔導士になるのよ! そして、私を弱者だと勘違いしたバカ魔女共に思い知らせてやるんだから!)」


 "どうしてそんな考えを思いついてしまったのか"?

 それは勿論、この無能ドラゴンのせいであります。


 魔女は背中に乗ったまま、げしげしと背中を蹴っていました。


 そんな蹴りをも30回を過ぎたころ、ようやくドラゴンと魔女は目的地に辿り着きました。


「ここに、《紫の宝玉》が……って、あれは?!」


 魔女は、地図の場所に辿り着いても、すぐには《紫の宝玉》が見つかるとは思っていませんでした。

 地図が偽物という可能性も考えていたし、そんなすぐに見つかるのでは宝物な訳がない、と思っていたくらいであります。


 なのに、彼らの目の前に、デッカイ紫の宝石が浮かんでいたのです。


 キラキラと輝くそれは、まさしく《紫の宝玉》に違いありません。


「あれが《紫の宝玉》! 万物を変化させる魔法の宝石! あれがあれば、私は魔女の最高峰である大魔導士に----」




 ----そうして、魔女は絶命しました。


 正確には、魔女の心臓が、細くて硬い糸に貫かれていたのです。


「だめじゃないぃ~、ですかぁ~。《紫の宝玉》を探しに来てぇ~、他の人に譲るぅ~、考えなんてぇ~」


 カサカサ、カサッ!


 《紫の宝玉》のそばの木から、ゆっくりと現れたのは、蜘蛛の女でした。


 下半身が蜘蛛の、魔女帽子を被った、蠱惑的な魅力を携えた女。

 その蜘蛛女は、手から白い糸を出しており、その糸の先が魔女の心臓を貫いていたのです。


「はじめましてぇ~、私は《蜘蛛》の魔女ぉ~。この《紫の宝玉》を守るぅ~、というか見守るぅ~者でぇ~す」


 そう。彼女は、《蜘蛛》の魔女。

 二つ名持ちの、とびっきり強い魔女なのです。


 天災や災厄、大事件などに名を付けるのと同じように、人間はとびっきり強い魔女に名を与えるのです。

 それが二つ名持ちの魔女----。


「この《紫の宝玉》はぁ~、触れた者の願いを読み取ってぇ~、望む姿に変える秘宝ぅ~。

 そして私はぁ~、その変わった姿を見て楽しむぅ~、そういうタイプの魔女ぉ~」


 手の先から糸を出しながら、《蜘蛛》は高らかに笑います。


「私の糸はぁ~、すっごく便利ぃ~。あなたの心ぉ~、『譲っても良いかも』という想いも見抜く程ぉ~、便利ぃ~。

 ----願いを譲るならぁ~、命なんていらないよねぇ~?」


 秘宝が目の前にあるのに、それを諦める。

 それは即ち、命を捨てるのと同じであります。


「食べたいモノが"なんでもいい"だとかぁ~、なりたいモノが"特にない"だとかぁ~、そういう人達ってぇ~、私的には許せない訳でぇ~。

 "なんでもいい"なら食べなくて良いしぃ~、"特にない"なら----死んでも良いよね?」


 夢や希望など"生きる力"を大切としており、それが一瞬でも見られなかった場合は、獲物として処理する。

 それが、《蜘蛛》の魔女。


 そんな《蜘蛛》の魔女の糸は、次に、フラットドラゴンに向けられます。


「さぁ~、飛ぶしか能がないドラゴンちゃ~ん? あなたはぁ~、なんでここまで歩いてきたのかなぁ~?」




「うっ、う~ん……」


 ゆっくりと、魔女は目を開けます。

 フラットドラゴンとここまでやって来て、そして死んだ魔女は、目を覚ましました。


「ここ……わたし、死んだはずじゃ……」


「あっ~! 目が覚めたんだねぇ~」


 自分を殺した《蜘蛛》の魔女、6つの目の中にある逆三角形の瞳がこちらを見ているのに、驚いてしまったのです。


「あぁ~、大丈夫だよぉ~? 今はぁ~、殺そうとは思ってないからねぇ~? そういう契約っていう感じでぇ~?」


「けい、やく……?」


 魔女は戸惑っていましたが、のしのしと、こちらに近付いてくる気配を感じました。


「フラットドラゴン!」


 そう、最弱種のフラットドラゴンです。

 そのドラゴンはゆっくりとこちらに向かっていましたが、魔女は走って近付きます。


「大丈夫なの?! あの《蜘蛛》に、酷い事をされてない?! 無能なあんたが、こんな《蜘蛛》に勝てる訳ないじゃない!」


「ひどいなぁ~、私はそんな殺意強い系じゃないんだよぉ~?」


「いきなり殺しといて、なにを言ってるのよ!」


 むぅ~! と、頬を膨らませていた魔女ですが、ふと、《紫の宝玉》がないことに気付きます。

 と、同時に、フラットドラゴンにも変化がないことに気付きます。


「《紫の宝玉》が、ない……。ハハハ、無能ドラゴンも変化ないし、なんでもなれるってのは、嘘、だったのね」




「ナマ、エ……」


「えっ……?」


 魔女は、びっくりしました。

 そう、初めてフラットドラゴンから声が聞けたからです。


「おやぁ~、魔女ちゃんは知らなかったのぉ~? 飛ぶしか能がないフラットドラゴンは、口はあれども、声帯はないぃ~。つまりは、喋れなかったんだぁ~よ?」


 ----だから、フラットドラゴンは、《紫の宝玉》に願ったのです。


「君の、自分を素材として狙わなかった君の名前を聞きたい、ってぇ~」


 フラットドラゴンは、名前を、知りたかったのです。

 自分を襲わないって事は、味方に、友達になってくれるかもしれません。

 そんな相手の名前を、フラットドラゴンは知りたかったのです。


「だから、《紫の宝玉》は願いを叶えて、声帯を与え、同時に名前を知りたい相手を蘇らせたのぉ~ね」


「あはは……」


 バカバカしすぎます。


 魔女がフラットドラゴンを狩らなかったのは、《紫の宝玉》の方が高価だったからでございます。

 一緒に行っても、最終的には自分の方が足が速いことが分かっていたから、乗っていただけです。


 それなのに、自分が強くなれる可能性を捨てて、自分と話したいだなんて……


「本当に、無能なドラゴンね」


 でも、無能なドラゴンの言葉に、有能な魔女は答えました。


 魔女にとって名を知られるのは良い事とは言えませんが、無能なドラゴンなら名前を知られても悪用は無理でしょう。


「私の名前は、ね」


 せいぜい、友達として呼ぶくらいにしか。

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とびらの なろうユーザー

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誰かこんな小説を書いてくれ【嘘作品紹介】

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