1 期末テスト症候群

　タイトルは「期末テスト直前に部屋の掃除に明け暮れること」を指す。主人公も同様の状態にかかっており、掃除をしていると悲しい思い出の詰まった写真アルバムを発掘。泣きながら朝を迎える。しかしテスト問題は思い出に関係のあるものばかりで、極めつけは最後の自由記述。全く解けずに終了するが、模範解答を見て出来事の真実に気がつくというストーリー。問題作成者の教科担任がふっと笑うところで終わる。

2 ジャムパンは空を飛ぶ

提供:柊零 様

　被災地まで支援物資を届けるドキュメンタリー。道路は通れず、空輸しようにも着陸できる場所がない。その時、チームの誰かが叫んだ。
「ジャムパンを自分で飛べるようにすればいいんだ！」
備蓄食料が尽きるのと作戦が間に合うのはどちらが先か？　人類の底力を舐めてはいけない。
　犠牲者を救うために自ら犠牲者を作り出す。これは社会的利益だろうか。

3 腹から腕が！

提供:阿久里 様
紹介:リア友

　クローン人間のSF。とある研究者が自分のコピーを作り世界征服を企てるが、同じものばかり増えても社会は成り立たないため遺伝子をコピーするときに少しずつ変えて多様性を持たせることにした。すると世代を重ねるうちに腹から腕が生えている個体が完成し、次第に計画と世界は破滅に向かっていく。
　この作品が発表されたこととローマ教皇庁が「新・七つの大罪」として「遺伝子改造」を挙げたことは無関係だろうか？

4 コケシとマトリョーシカとワタシ　～十人百色～

　小説でありながら哲学書のようでもある。
　同級生のA曰く「コケシ」は「子消し」らしい。マトリョーシカは子供の生まれ変わりを表現したらしい。子供の頃から死にたいと思っているワタシ。共通することは「シ」。
　ある日、家に帰ると机の上にコケシ。首をきゅっと回してワタシに言う。「消えたいんでしょ？」しばらく話すうちにワタシはコケシの世界観に引きこまれ、家から出られなくなった。しかし、ある朝はコケシの代わりにマトリョーシカがいた。「消えても何も変わらないよ？」中にはコケシが入っていた。マトリョーシカは言う。「世界には70億人もいるんだからさ、1人ぐらい消えても替え玉は腐るほどいるわけ。だったら消えるだけ損じゃない？」ワタシは電話で「うるさい自己中！」と言い返したばかりだった。
　偶然が歯車のように回りだした時、止められる方法は存在しない。最凶にして最強の「アレ」を除いては。

5 亜細亜は妙に太い

　当て字に実は意味があると主張する都市伝説を元にした短編集。
　他に「夜露死苦と日常的に言うな」「神も仏も無い国フランス」などが収録されている。

6 不思議な国のリアス

　東日本大震災から復旧した三陸鉄道をモデルにしたと思われるドキュメンタリー。しかし魔法系ファンタジー色が強く「作業員の努力が無駄に見えて仕方ない」「三鉄に謝れ」「キャロル先生にも謝れ」など批判的なコメントが多い。

7 らいです。

提供:sugarstar 様

　都市伝説だかドッキリだか分からないカオスホラー小説。しかし内容は十二分に怖い。
　福岡県犬鳴村。某小説の「夜鳴村」のモデルとも言われる場所には、かつて伝染病隔離所が存在したらしい。

8 ANAと雪の女王

　某航空会社と天候対策に関しては天才の管制官「雪の女王」が空港の混乱を解決していく話。

9 勝利の方程式

　地方大学の理学部数学科が大学再生を懸けて世界初の方程式に挑む話。

10 夢の英雄

　バケモノに育てられた少年がアニメや特撮の地球を救うヒーローに憧れる。だが人間の世界は平和で、誰もヒーローの助けを求めていない。バケモノは子どもの夢を叶えるために町を破壊し、軍隊に加わった少年によって殺される。
　大人になった少年は、戦闘に行く兵士たちに「自分たちは正しい」と教え続けた。

11 命の約束

　ある村には、存続のかかる危機が降ってきた時に鳥居を赤く塗れば助かる、という言い伝えがある。

12 デルタシステム

　三権分立の欠点を鋭く指摘する政治小説。

13 悪魔のカウントダウン

　余命1時間を急に宣告され、やり残したことを全てしようとする人の話。最後は自殺した。

14 リーガル・ファイ

　作者が物理の問題集「リードα」を聞き間違ったことで生まれた作品。
　この世で最も美しい法律とは何か。

15 あした天気になあれ

　タイトルの遊びで本当に天気が決定してしまう人が居た。それは靴の過去と繋がっていた。

16 面白いね、君。

　世界中の天才が「面白いね、君」と声をかけられる。完成した団体が「究極の面白さ」を求めて地球全体を巻き込む壮大な社会実験を始める。

17 明日の終わりまで

　被災した2人が互いを探す。飲まず食わずで生きられるタイムリミットは、明日の日没だ。

18 幻想少年

提供:黒羽 晃 様

　死ぬ直前の少年は、これまで描いた数々の夢が他人に叶えられる光景を見る。それは全て過去に自分がしていた行動であった。

19 オートボクシング

　プログラミング言語Javaでは「整数データ」と「整数という概念」を相互変換することが可能で、オートボクシング・オートアンボクシングと名付けられている。
　格闘ゲームを開発する話だったが、次第に現場で対立が起き暴動が起きる。傍目には自動的に殴り合いが開始されたように見えた。

20 星のキセキ

「全ての選択肢が最高だ。どの星を観測対象に選ぶかは自由だが、それぞれ違う魅力があるからね」

21 必読書

　必読書の内容が条件反射で出せなかったが故に危機に陥る話。

22 1+1は時に0となる

　ダイイングメッセージにモジュラー算術が使われたミステリー小説。「死ぬ直前に考える暇なんてあるか」という指摘は無視された。

23 八起き

　諺「七転び八起き」は、7回転んで7回起きた後に8回目起きるのはどうするのだ？　というツッコミに答えた作品。

24 クロックドロップ

　世界一正確な砂時計を作る話。

25 被血子さん

　3,5,7歳が連続殺人の標的になる。タイトルが「ひちこさん」である理由は、作者の言語力不足である。

26 レ？

　時刻表において通過は「レ」で表す。ユダヤ教圏で現在も祝われている「過ぎ越しの祭」の元になった出エジプト記の話を現代風にしたもの。

27 電子戦争

　互いの情報機関に虚構を流し合い、身を削り兵器を作り続けて滅亡した2つの国の話。

28 逆錬金術

　金が作れるなら、金から別の物質が作れるのではないか。

29 切手コレクター

「君は何を集めているのかい？」
「切手。でも臭いが酷い」

30 〆切の裏

　締め切りを過ぎても届かない原稿を待つ編集者が方々に走り回る話。