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時空魔法で異世界と地球を行ったり来たり 作者:かつ

時空魔法と情報魔法編

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001.異世界でスキルをもらったよ

 気が付くと、俺は石造りの大きな部屋の中心に立っていた。

 周りを見渡すと……


「っp”づおいlsmdろlぴfs」


 王様らしき人が目の前に居て、なにか話しているようだが―

 聞いたことがない言葉で、何を言っているかさっぱり分からなかった。


 俺の周りを貴族風の人たちや兵士風の人たちが取り囲んでいた。


 いきなりの事に唖然としていると―

 王様の脇に居た魔法使い風の男が俺のそばに来て。


「lptれpp,ぴょぃfsdそ」


 またもや何を言っているのかは分からないが―

 何かを、俺に手渡そうとしている様だった。


 思わず、それを受け取るとー


 それは淡く光る石だった。


 受け取ったはいいが、これをどうしろというのかサッパリ分からずにいると―

 石の光がいきなり強くなり、その光は俺の体を包み込んだ。



「勇者様、私の言葉がわかりますか?」

「え、あ、はい、分かります」

「よかった、その石はそのままお持ちになっていて下さい」


 何故か急に話が分かるようになった。

 この石は翻訳機か何かか?でも、なんか科学というより魔法っぽい感じだ。


 それに俺に向かって勇者様? どういう事?

 異世界にでも来てしまったのか?


 さっぱり状況が理解できん。



「【言語一時習得の魔石】は、問題なく機能したようです」

「そうか、でかしたぞ」


 どうやら、この石は【魔石】らしい。

 この人達の言葉を一時的に習得した?

 やっぱり魔法なのか?


 それでも状況が良くわからないので、俺はじっくり様子を観察することにした。



「わしはドレアドス王だ。勇者よ、お主を歓迎するぞ」


 王様が話しかけてきた。

 なんか偉そうだな、王様だから当たり前か。

 王様の隣には可愛い女の子が緊張した表情で俺のことを見つめていた。


 あの子は【お姫様】なのだろうか?


「ではステータスの確認を始めろ」


 王様は俺を無視して部下にそう命じた。


 さっきの魔法使い風の男が、俺に向かって何やら呪文を唱え始めた。


「○△◇×……【鑑定】!」


 魔法使い風の男が呪文を唱え終えると―

 王様に近寄り、何やら耳打ちをした。


「勇者よ、つかぬことを聞くが、『えすいー』とは、どのような仕事だ?」



 えすいー? エスイー…… 仕事?

 ああ! 【SE】の事か!



「【SE】は【システムエンジニア】という意味です」


「しすてむ…えん…… して、その【しすてむ】とか言うのは強いのか?」

「強い? 特に強いとか弱いとかは無いですが……」


「どうにも要領が得ないな、つまり、その【しすてむ】は役に立つのか、と聞いておるのだ」

「そりゃあ、役に立ちますよ!

 この前俺の作ったシステムは、何万人にもの人に使われてますし」


(俺一人で作ったわけじゃないけど)


「なるほど! その、お主が作った『しすてむ』とかいう物は、何万人もの者が装備するほど強い武器なのだな」


 王様は、なんか勘違いしているみたいだった。


 どうやって誤解をとこうかと考えていると―

 王様は勝手に話を進めてしまった。



「よし、では【スキル受領の儀式】を行う、準備せよ」


 さっきの魔法使い風の男が、仰々しくトレイの上に何かを乗せて俺の前に持ってきた。


 トレイの上にかぶさっていた布を取ると、青く透き通った宝石と、革製の首輪が置いてある。

 宝石は、最初に渡された石と雰囲気が似ていたが、最初の石と違って凄く透き通っていて、宝石という感じだった。

 革製の首輪は、犬用に比べてだいぶ大きい感じだ。



 ふと見ると―

 さっきの女の子がその首輪を見て、何故か驚いていた。

 王様は、そんな女の子の様子を特に気に留めることもなく―

 少し急いで話を進めている様だった。



「それは【マナ結晶の欠片】といって、職業に関係する力を授ける石だ。

 隣のは【封魔のチョーカー】で、敵の魔法から身を守る防具だ」


 王様は早口で説明している。

 何を急いでいるのだろう?



「まずは【マナ結晶の欠片】に触れて力を授かったら―

 直ぐに【封魔のチョーカー】を装備するのだ。

 よいな?」


 王様のその説明を聞いて、さっきの女の子は更に驚いた表情をして王様に何かを言おうとしていたのだが……

 王様は、そんな女の子の行動を無視してー


「さあ、何をしておる。さっさと儀式を行うのだ」


 と、急かしてきた。


 女の子の態度が気になったものの、俺は雰囲気に飲まれて【マナ結晶の欠片】に手を伸ばした。


 俺が【マナ結晶の欠片】に触れると……


 【マナ結晶の欠片】が光りだし―

 光が、手を伝って俺の体の中に入り込んできた。



『【時空魔法】を取得しました。

 【時空魔法】がレベル5になりました。

 【情報魔法】を取得しました。

 【情報魔法】がレベル5になりました』


 俺の頭の中に、機械的な音声が鳴り響いた。


 そして何故か俺は―


 さっき魔法使い風の男が俺に向かって使っていた魔法が【鑑定】魔法だった事。

 俺にもその【鑑定】魔法が使えるようになったことを、理解した。


「さあ、何をしておる。

 さっさとその、どr…

 封魔のチョーカーを装備するのだ」


 そのチョーカーに目を向けると―

 何故か俺は、そのチョーカーを身につける事に対して、言い知れぬ()()()を覚えた。


 ふと、何気なく女の子の方を見ると、女の子は激しく動揺して、俺から目をそらして下を向いてしまった。


 これは何かあるな。



「【鑑定】!」


 俺はチョーカーを【鑑定】してみた。


 すると、目の前に透明な窓が開いて、鑑定結果が表示された。


┌─<鑑定>────

│【奴隷の首輪】

│装備したものを【奴隷】にする首輪

│レア度:★★★

└─────────


 『装備したものを【奴隷】にする』だと!!


「な、何をしておる!」


 王様は激しく動揺していた。



 俺は、王様を無視して【マナ結晶の欠片】も鑑定してみた。


┌─<鑑定>────

│【マナ結晶の欠片】

│職業に則したスキルを授ける石

│※【奴隷】には効果を発揮しない

│レア度:★★★★★

└─────────


 『【奴隷】には効果を発揮しない』なるほど、それで先に【マナ結晶の欠片】を使わせたのか。



「どうやら、この首輪は、【封魔のチョーカー】ではなく【奴隷の首輪】のようですが。

 これはどういう事なんですか?」


 俺に指摘されて、王様は激しく動揺し、黙りこくってしまった。

 周りの人達は、その様子を見てざわざわし始めた。

 女の子はというと、胸をなでおろした表情をしていた。


 もうちょっとのところで【奴隷】にされるところだったが、あの女の子の態度のお陰で助かったな。

 あの子はこの首輪のことを知っていて、言い出せないでいたのかな?


「どうやら間違いがあったようだから、チョーカーは無しだ」


 良くも抜け抜けと、分かってて装備させようとしていたくせに!


 俺は、この国の人間を信用しないことにした。


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2017年8月末、第3巻が発売されました。
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