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不真面目考察はっじまるよぉー 作者:えみる☆
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創作とは戦いである

「創作とは戦いである。はい、そこのはじめ君、君が戦う理由はなにかな?」


「いきなり過ぎて、全然意味がわからな……」


「早く答えないと、今夜あたりに不慮の事故で命を散らすことになるよ☆」


「いやいや、これくらいのことでそんなに脅さないでよ! 戦う……創作する理由? とりあえず有名になりたいとか」


「なるほど、とても俗物的だね☆」


「い、い、いいだろ!?」


「別に構わないよ。そもそも、たいていの創作は個人的な欲求を作品に昇華させたものだから、個人的な欲求はとても大事だよ。むしろそれがないと流行りの要素を化学合成したようなものにしかならないから、その欲求は大切にするべきだよ」


「てっきり貶されると思ったら意外な展開だな……」


「切実でない高尚な理由を掲げると途中でたいていエタるよ」


「それはそうかもしれないね。最初の勢いなんてそうそう続かないし」


「さて、私が独自の筋から得たみんなの戦う理由を並べてみるよ」





・自分が作ったものを誰かに認められたいから(≒自分の才能を証明したいから)

・有名・人気者になりたいから



「表立って言わないけど、実はメジャーな理由だよ☆ そういう意味ではじめ君はとっても一般的でつまらないね☆」


「あのいちいち罵倒を詰め込んでくるのはやめてくれませんか。……無理か。そうか~、やっぱりみんな自分が書いた小説がヒットして賞賛されたいんだ。逆に賞賛されたくない人なんて居ないだろ?」


「もちろんたいていのひとは賞賛されればうれしいけど、それが主な理由じゃない人もいるんだよ」


「え~うそだろ。全員それが原因だと思うね」


「ところがそうじゃない人もいるんだよ。それから、この理由で書いていると本人が満足するレベルのヒットが発生すると途端に書く理由がなくなって書けなくなるよ。大量の小説を毎年のように新人賞に送っていた人が新人賞の受賞をきっかけに逆に書けなくなるとかね☆ そういえば、私の知り合いのなないとかいう人は『十人ぐらいに受ければ大成功ぐらいのつもりで小説を書いていたら、短編小説が事故的にランキング上位になっちゃったので、逆に創作意欲が萎えてきた』とか言っていたよ。作家デビューしてベストセラー作家になるみたいな難しいことなら大丈夫だと思うけど、目標が小さい人はそれが満たされると途端に書けなくなる危険があるよ☆」


「な、なるほど、そんな盲点があるのか。でも、想定以上にヒットしたんだからいいことじゃないのかな?」


「さ~て、どうなんだろうねぇ。さて、それでは次の理由に行ってみよう」





・作家になりたいから

・印税生活でウハウハしたいから

・印税でどんぶりいっぱいのメンマを食べたいから



「認められたいとかそんなふわふわな理由じゃなくて作家で生きていきたいという切実な願いだよ」


「ちょっと待って、最後のやつがなんかおかしいような気がするんだけど……」


「でもこの道はなかなか厳しいからね。頑張ってとしか言えないよ」


「うわ、軽い」


「ところではじめ君はプロになるつもりはあるのかな?」


「う~ん、なれるようならなりたいけど……」


「そんなふわふわしたことを言っている人はプロになれないから安心していいよ☆」


「…………」


「それからメンマって意外と安いから印税でうはうはしなくても普通に買えちゃうよ。でも、毎食は厳しいかもね」


「だからそのメンマってなんのことなんだよ!?」


「さて、次に行こうか」





・思いついたことを書き留めておきたいから

・メモ用紙として使っている腐臭を放つ紙を早く捨てたいから



「いわゆる『閃いちゃった』人だね。問題は思いつきで書けるのは2~3場面ぐらいだということだよ。これだけで作品を完成させるのは至難の業だね☆」


「あのさ、2番めのやつは……」


「さあ次に行くよ☆」





・なんとなく

・暇つぶし

・さっき呼んだ小説があまりに酷かったので、これなら自分で書いたほうがマシだと思って。

・むしゃくしゃしてやった。反省はしていない。



「いわゆる勢いというやつだよ。これも困ったことに続かないんだよ☆」


「ああ、7年前にあらすじだけを大量に投稿して蒸発した人の言うことは説得力があるよ」


「今夜が寿命だよ☆」


「ごめんなさい。いまのは聞き間違いだと思って下さい」


「こんなんでも読者がつくと数回ぐらいは耐えられるかもしれないけど、いつかは力尽きるよ☆」





・とにかくキーボードに触っていたいから



「こういう人は重症だよ。でも、なにか書ける確率は高まるので、結果オーライだよ」


「そんな人いるのかな……」


「ある情報筋によると、日本に500万人は生息しているらしいよ☆」


「それ絶対ガセネタだろ……」





「他にはこんな人達がいるよ☆」



・神が小説を書けと脳内に直接語りかけてくるんです。


・脳内彼女・脳内彼氏を召喚するための儀式です。


・私が小説を書かないと世界が滅びてしまうんです!


・理由? 愚問ですね。聞かないで下さい。


・この小説を書き上げた時になんかいいことがある気がするんですよ。え? 根拠? そんなこと聞かないでくださいよ。


・単純にタイピングの練習です。


・友達に見せると約束してしまいまして。ええ、後悔していますとも。


・なぜか書かないと寝られないんです。


・くっ……おさまれ俺の右手よ!




「このようにいろんな人がいるね☆ さて、いくつの項目が当てはまったかな?」


「なんか変なのが多すぎて普通当てはまらないような気がするけど……」


「いつかわかる日がやってくるよ☆」


「分かりたくない……」





■追記


「おおっと、もっと大事な理由を忘れていたよ☆」





・書くことが好きだから



「こういう人は細く長く続けられるね☆」






・自分の思いを形にしたいから



「形にしたい切実なものがあると長続きするよ☆」


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