究極の短編小説
「さぁ、始まるよ☆」
「いきなり究極の短編小説って、そんな大言壮語をして大丈夫!?」
「大丈夫だよ☆ エミルは天才だからね」
「一体どんなものを語るつもりなのか……。やっぱり古典的な作品を紹介するのかな?」
「そんな面倒なことはしないよ。いまここで即興で書くよ☆」
「は!? 無理だろ!?」
「これが究極の短編小説だよ☆」
「好きだ! 俺と付き合ってくれ!」
「イヤ」
数年後。
「好きだ」
「私もよ」
-fin-
「これが……小説!?」
「場面と時間経過があることが小説の条件だよ。これは両方満たしているから、まぎれもなく小説だね☆ そして究極的に短いんだからまさに究極の短編小説だね☆」
「その条件って、ほんとに正しいの?」
「全宇宙小説協会で過半数の賛同を得られた条件だよ。これに逆らうとかありえないよ」
「ちょっとまって、全宇宙ってなんなの!?」
「そして私がその議長なんだよ。私がいかに偉大かよくわかる事実だね☆」
「分かった! その会員は一人だけって落ちだろ!」
「そんなわけないじゃない。会員数240億人の超大規模な組織だよ。地球の全人類を合わせてもこの組織が決めたことを多数決でひっくり返すことは不可能だよ」
「ええっ!? その人数はありえないだろ!?」」
「ありえなくないよ。毎月私の脳内で定員の8割以上が参加して総会が開かれているよ」
「なんだよ、ただの脳内会議かよ」
「小説家を目指す人が脳内会議や仮想の人物を馬鹿にするなんて、恥ずかしいと思わないのかな~」
「べ、べつにそういうわけじゃない! 想像や妄想を否定するわけじゃなくて、僕が言いたいのはそもそもその条件が正しいのかという疑問であって……」
「じゃあ私の立場が全面的に認められたところで、話を続けようか」
「あ、あれ?」
「さあ、これを元にして、いろんな短編小説を作っちゃおう☆」
「好きだ! 俺と付き合ってくれ!」
「イヤ」
数年後。
「好きだ」
「イヤ」
-fin-
「いい味出てるよね~」
「そうかな……?」
「変化しないことで違う意味の小説になったね」
「これ小説かなぁ……」
「じゃあ次はちょっとひねってみよう」
「好きだ! 俺と付き合ってくれ!」
「お断りします」
数年後。
「好きだ」
「俺もだよ」
-fin-
「どう? とってもお手軽にBLだって書けちゃうんだよ!」
「そういわれても……」
「じゃあ、はじめがすきな勇者と魔王ネタをここにいれてみようか」
「ファッ!?」
「好きだ! 俺と付き合ってくれ!」
「魔王を倒したらな」
数年後。
「好きだ」
「俺は魔王だ」
-fin-
「いろんなシチュエーションが想像できるね。愛した勇者が紆余曲折を得て魔王になったとか、数年ぶりに勇者に再会したと思ったら勇者に化けていた魔王だったとか、主人公が勇者から魔王に乗り換えたとか」
「あの……これって男同士である意味あるの? 普通に男と女でいいと思うけど」
「そんなことを言っているからクソにも劣るド底辺作者なんだよ!」
「ちょっとまって、その理屈はいくらなんでも納得できないよ!?」
「さぁ、こんな勢いでレッツ創作! 作家一日目の君でもすぐに10作品くらいできちゃうぞ☆彡」