小説家になろうの現状レポート(2017年5月)
なろうはこの一年で大きく姿を変えました。
思えば、去年に実施されたジャンル再編成が大きな転機だったように思います。
あの後に続いた再編成の繰り返しと大幅なシステム改変で、いつの間にか1年前には想像できなかったようなサイトになっています。
ここで、2017年5月のなろうの現状を簡単にまとめたいと思います。
1,ガチャの導入
まずはこれです。
しばらく前から課金でスロットを回して評価ポイントを稼げるようになってしまいました。
数ある変更の中でこれが一番批判の対象になっていますよね。
しかもポイントを稼ぐことが目的ではなくランキングに入って多くの人に読まれることが目的ですから、短時間で多くのポイントを得るためにガチャを何度も回すことになってしまい、とんでもない重課金になってしまいます。
私も一度興味本位でやってみましたが、いい出目で評価ポイントを稼げると「ここにさらにポイントを追加してランキング上位に持って行こう」ってもっとやりたくなっちゃうんですよね。
みなさん、ほどほどにしましょう。(というか、やらないほうがいいです)
これも今後どうなっていくのでしょうね。
2,分刻みのランキング
かつてはランキングは一番短くて日間でした。
当時はそれでも毎日の入れ替わりが早くてついていけないと思ったものですが、いまではそんなものじゃありませんね。
「6時間ランキング」が始まった時は驚いたものですが、その後はまるで株取引のように高速化していきました。
「3時間」「1時間」「30分」「15分」……今では「1分」です。
リロードするたびにランキングが変わっているんですから、もう本当に私のような古株はついて行けません。
さらに高速化しようという話もあるらしいんですが、そんなに早くしたらもはやポイント数が少なすぎてランキングとして成立しない気がしますけど、どうなるんでしょうか。
3,ジャンルが細分化
皆さんご存知の通り、運営が皆さんの要望を取り入れてジャンルを細分化していった結果、結局467ものジャンルが出来てしまいました。
特に投稿数が多いいわゆるテンプレ作品のジャンルはとても細かく分かれてしまい、作者・読者ともに混乱をきたしているのは有名な話です。
こんな声がよく聞かれます。
ある作者「『異世界転生|(最強主人公)』と『異世界転生(ストレスフリー)』と『異世界転生(超能力)』と『異世界転生(魔法)』と『異世界転生(ファンタジー)』と『異世界転生(内政)』と『異世界転生(ハーレム)』ってなにが違うんだ? いったい俺が書いた最強魔法使いがハーレムを作る作品はどこに投稿すればいいんだろう」
ある読者「毎日人気の作品を探すために『悪役令嬢』と『悪女』と『転生令嬢』と『少女転生』と『転生憑依』と『異世界(恋愛)』と『異世界(学園)』と『恋愛(ファンタジー)』と『恋愛(その他)』と『女主人公ざまぁ』と『婚約破棄』のジャンルを見ているんだけど、ちょっと大変すぎる」
ある読者「『恋愛(環境保護)』ジャンルってなに? 意味分からないんだけど」
ちなみに一時は8574ものジャンルに分ける案があったそうですから、それを思えば467でもありがたく思わないといけないのかもしれません。
でも、やっぱり不便です。
再編前のジャンルが適切だったかどうかわかりませんが、もうちょっと統合してくれないと探しにくくて仕方がないです。
早く改善されることを願っています。
4,賞の新設
作者の意欲を高めるために賞を与える仕組みが新設されました。
当初は真面目な賞がほとんどだったと思いましたが、最近ではよくわからない賞だらけになっていますね。
元々、賞といっても作者ページにエンブレムが表示されて、家に一枚のダンボールに挟まれた賞状(額なし)が届くだけで特に賞金や賞品はないという、たいへん簡素なものでした。
しかし、それだけにコスパが良いので簡単に賞を増やせたようです。
次々とよくわからない賞が新設され、開始1年ですでに100超える賞があります。
いちいち列挙しきれませんが、有名な賞をいくつか概要と受賞者のコメントを記載してみました。
○テンプレートで賞
テンプレート作品が多い人に与えられる賞。
文字数や評価ではなくあくまで投稿作品数で判断されるため、短編投稿が有利。
受賞者のコメント「テンプレート作品を書きまくったかいがありました。これからも似たような作品を量産していきます」
○いつか報われるで賞
評価ポイント0の作品が最も多い3名に贈呈される。
もともとは激励賞的な意味合いであったが、最近はこの賞を狙う不人気作家が増えており、この賞をとるために評価されることを逆に恐れている作者も多い。
受賞者のコメント「今回は首尾よく受賞できましたが、最近私の作品を評価する無礼な読者が出てきてしまいました。来期の受賞目指して徹底抗戦していきます」
○オールラウンダーで賞
全467ジャンルすべてに作品を投稿した作者に与えられる賞。
重複投稿やこの賞を狙った手抜きな投稿(オチだけ変えて別作品扱いなど)は認められないため、未だに受賞者は出ていない。
○ギリギリで賞
アダルト表現など削除すべきか許せる範囲かでもっともなろう運営を悩ませた作品に送られる。
受賞者のコメント「賞をもらって気合入れて書いたら、それだと完全にアウトだって言われて結局作品を削除されました」
○人智を超えるで賞
支離滅裂度や意味が取れない文章を量産する作者に授与される。
一部の会員からは人権を侵害する賞だと批判されている。
受賞者のコメント「嬉しいとコロッケがソースで美味しいということをうちの母が犬がうるさくて曇っているのではい私はうれしいので気分は春に咲く花のように白紙に向かって家に帰りたいです」
○人類には早過ぎるで賞
文章として意味はわかるし文章も妥当だが語っている内容が常軌を逸している作品に授与される。
最初に受賞した作品はいつでも傘を差している少女とトイレットペーパーの芯の恋愛を30万文字超にわたって描いた「残り物」というとんでも作品。
トイレットペーパーの芯を擬人化してあれば童話風とも取れるが、芯は本当にただの芯として描いており、会話も出来ないしそもそも生きていないので、少女の独白だけが延々と語られている。
受賞者のコメント「私が早いのではない。君たちが遅すぎるのだ」
○やるせないで賞
文字数が50万文字を超えながら評価が0の作品に授与される。
ある受賞者は「本当だよ……」とつぶやいたという。
受賞者のコメント「死にたい……」
○凄い読者で賞
感想を書いた件数と文字数が多い読者に与えられる賞。
受賞者のコメント「運営に感想だけでラノベ2冊分くらい書いていると言われました。言われてみれば一日3時間は感想を書いていました」
○佐藤で賞
運営の佐藤さんが気に入った作品に与える賞。
あるときは人気テンプレ作品、またあるときは作者が駄作と認める作品が受賞しており、選考基準がまったく不明。
受賞者のコメント「受賞して嬉しいというより、正直どう振る舞っていいか困っています。喜ぶべきか怒るべきか無視するべきか……」
○私が山本で賞
運営会社の会計事務所の山本さんが与えている賞。
主に現実の仕事を扱った作品が受賞する傾向に有る。
受賞者のコメント「普通に嬉しいです。励みにします」
○ルールルールーで賞
ルー山田さんという芸人のような名前ながらただのスーパーの店員が与えている賞。
作品のタグに「ルーさん大好きです」とつけておけばだいたい貰えると言われている。
受賞者のコメント「ルーさん大好きです。どんな人か知りませんけど」
書いていて思ったんですが、本当にまともな賞がほとんど無いですね。
本当にこんな状態で大丈夫でしょうか。
5,著作権切れ作品の掲載
青空文庫と提携して昔の著作権切れの作品がなろうに収録されるようになりました。
検索ページで検索しているとチートハーレム物に混じって夏目漱石の作品があったりして、最初は相当な違和感がありました。
もう慣れましたが、みなさんはどうでしょうか。
そういえば、過去の文豪の作品の感想欄は結構カオスですよね。
かなり古い作品にはよく「読みにくい。普通の日本語で書いて出直してきて下さい」とか書いてあったりしますし、「おもしろいので、是非長編化して下さい」と死んだ作者に向かって語りかけていたりするのもあります。
半分ぐらいネタでやってそうですが、知らないで本気で書いている人もけっこういると思います。
6,不正防止対策
不正投票や工作防止のために登録や評価方法が随分と厳しくなりました。
特に登録は、メールアドレスだけで登録できた昔は何だったんだというほどに厳しいです。
運転免許証や住民票など身分証明のコピーの提出が必要で、詐称すると公文書偽造で警察にしょっぴかれるというハードな仕様です。
複アカなんてした日には、最大200万円の罰金が課せられるそうですから恐ろしくてとてもできません。
評価方法も、不正な相互評価を防止するために評価を入れてくれた相手には評価を入れられないという厳しい仕様です。
つまり評価したら最後、その人からの評価は望めません。
「評価したら負け」と言われていますが、本当にその通りです。
7,最後に
いろいろと利用者からの批判が多いですが、運営はまだまだ止まらないようです。
近いうちに「小説を勝手に製本して自宅に送りつけてくるサービス(高額)」や「感想を貰いたい人のための有識者コメントサービス(利用料が時価。多分高額)」も始まると言われており、うっかり課金されないように最大限の注意が必要です。
一ついいこととしては、ガチャで運営が相当に潤ったらしく、賞金が付く賞が新設されるそうです。
みなさん、今後も注意深くなろうを見守っていきましょう。
真面目な考察だと思って開いちゃった人、くだらなすぎてごめんなさい。
(完全にネタなので、今回のジャンル再編や運営を批判する意図はないです)