マニュアルの作り方

マニュアルと手順書に違いはある?分かりやすいマニュアル・手順書を作成するポイントも紹介!

業務を円滑に進めるうえで重要なのがマニュアルです。マニュアルを導入することで、誰でもスムーズに作業を進められることはもちろん、業務効率化や生産性の向上にもつながります。一方、マニュアルと似て非なるものが手順書です。実際の業務にあたっては、手順書とマニュアルを区別して作成する必要があります。

その内容が似ているため、マニュアルと手順書の違いが分からないという方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、マニュアルと手順書の違いを解説していきます。マニュアルや手順書の作成が必要な理由から、それぞれの作成のポイントに至るまで解説していますので、参考にしてください。

マニュアルと手順書の違い

効果的なマニュアルを作成するためには、まず手順書とマニュアルの目的の違いを知ることが大切です。中には、作成が必要なのがマニュアルだと思っていたら、実は手順書が必要だったというケースも珍しくありません。マニュアルと手順書の役割や目的・特性を把握することで、目的にあった良い文書を作成できます。

それぞれの特徴を解説していますので、ぜひ目を通してみてください。

マニュアル(業務マニュアル)の目的と必要な情報

マニュアルとは、”業務”に関するノウハウと業務全体の進行方法をひとつにまとめた文書のことです。ここでいう”業務”は、「複数の作業と判断が組み合わさったもの」と定義します。そのため、マニュアルには業務の手順はもちろん、業務を円滑に進めるための規定や規則など、総合的な内容が求められます。
マニュアルに求められるのは、細かい作業内容ではなく、全体を俯瞰した業務プロセスや注意点がまとめられた情報です。

具体的には、以下の3つの項目が記載されていることが理想です。

1.「前提情報」を定義したもの
業務をスムーズに進めるために必要な前提知識や概念が該当します。(事業方針・事業理念・事業内容・全体のシステム・組織の構成・共有しておく法令・サービス利用者の注意など)

2.「全体フロー」を定義したもの
業務の進め方が該当します。業務には複数の作業や判断が必要になります。そのため、マニュアルには、「仕事の流れが把握できる図・注意事項・処理の方法・イレギュラーな事態への対処法など」が記載されていることが重要です。

3.「基準」を定義したもの
業務の判断基準・合否ライン・目安時間・品質を測る指標などが該当します。

一般的に多くの業務は多重構造を持つ場合がほとんどです。そのため、業務マニュアルを作成する際は、業務をどこで区切るかが大切なポイントと言えます。作成前に「仕事をどう分類し、まとめておくか」の目安を決めておくとスムーズに作成できるでしょう。

マニュアル(業務マニュアル)の作成時の注意点

ただし、マニュアルの作成時に細かい作業内容まで記載するのは、オススメしません。
ただでさえ、ページ数が増え、分厚くなりがちなマニュアルに細かい手順まで落とし込んでしまうと、携帯性や閲覧性を著しく低下させます。閲覧されないマニュアルが完成してしまうと、せっかく時間をかけて作成した意味がなくなってしまいます。

作成のポイントについては、本記事でもこの後、解説いたします。

以上のように、マニュアルは大きい単位の”業務”に関するをまとめることを目的にした文書です。そのため、日常的に見るというよりも、新入社員や人事異動で新しい部署に転任があった際などに、新しい業務領域の全体像を把握するための文書となります。

マニュアルとは対称的に、細かい作業の確認の為に日常的に閲覧される目的でつくられるのが、手順書です。

手順書(作業標準書、作業手順書)の目的は作業の再現性

手順書は、業界によっては、作業標準書や作業手順書、SOP(標準作業手順書)と呼ばれることもあります。システムやITツールの操作説明も手順書のひとつです。手順書と業務マニュアルの違いは、掲載する業務情報範囲の広さにあります。

手順書とは、作業の工程や単位作業の進め方をまとめた文書のことです。単位作業とは、一人で完結する定型的な作業のことです。

作業には4段階のレベルがある

ものづくりの現場では一般的ですが、工程・作業・動作の3つの区分けで作業分析を行い、業務の内容を4段階の粒度で分け、改善を行う方法があります。

  1. 工程
  2. 単位作業
  3. 要素作業
  4. 動作

カレーを作る、という工程の中での作業を例にすると以下のように表現されます。

  1. 工程:カレーを作る
  2. 単位作業:肉を切る、人参を切る、具材を炒める etc
  3. 要素作業:包丁をもつ、人参を掴む、フライパンを振る etc
  4. 動作:包丁に手を伸ばす、包丁を掴む、包丁を持ち上げる etc

手順書は、工程または単位作業ごとに作成され、要素作業を「手順」としてステップ化することが求められます。
そしてステップ化した要素作業を補足説明する文章または写真によって、動作を表現します。

そのため、多くの手順書には、以下のような内容が記載されています。

・作業の「名前」「目的」
・作業に必要な準備物
・基準(作業の時間や合否ライン)
・手順の解説と動作ポイント
・その他動作時の注意事項など

手順書の特徴は、作業のゴールに対して必要なプロセスが解説されていることです。例えば、「商品にラベリングする」「シンクを清掃する」「名前データを入力する」などが該当します。

手順書は、これさえ読めば誰が行っても同じ成果が得られる作りになっていることが理想です。つまり手順書の目的は、工程における単一的な再現性の高さを目指すことだと言えるでしょう。

手順書がしっかり整備されることで、再現性が担保された上で誰でも同じ業務を行うことができるので、生産性を向上させることができます。

相手に分かりやすいマニュアル作成のポイント

マニュアルを作成するのか、手順書を作成するのかにかかわらず、作成を担当している方の中には、「どうすれば伝わるのか」分からないという方も多いでしょう。そこで、分かりやすい文書の共通点について解説していきます。各要点をおさえるだけで、分かりやすさが大きく向上しますので、ぜひ参考にしてみてください。

すべての要素を明確化させる

内容は具体的であることが大切です。具体性を出すために、5W1Hを意識して作成しましょう。「いつ」「誰が」「どこで」「何を」「なぜ」「どのように」が分かる内容には具体性があるため、初めて業務に当たる人にも伝わりやすくなります。

もし、5W1Hの一つでも欠けていると「読んでもよく分からない」「何をすれば良いか自分ひとりで判断できない」などの事態に繋がりかねません。このような事態を防ぐためにも、一度マニュアルを作成したら5W1Hの要素が全て含まれているかチェックしましょう。

視覚的に分かりやすくする

視覚に訴えることも重要です。視覚的に情報を整理することで、より簡単に内容を理解できます。文章のみで構成されたものは、分かりにくいうえ理解するまでに時間がかかりますので、読み手にストレスを与えかねません。

例えば手順書の場合は、動作にかかわる画像・動画などを入れると分かりやすさはグッと上がります。仕事や作業全体の流れを把握できることはもちろん、実際の業務をイメージしやすいこともポイントです。

マニュアルの場合は、フローチャートを記載することも効果的です。感覚的に分かりやすい工夫を施し、読んだ人がスムーズにアクションに移行できるようにしましょう。

デザインに凝りすぎない

伝えるという点で、デザインは重要な要素です。フォントの種類やサイズ・配列・画像など、デザインを整えるだけでも情報はスムーズに伝わります。しかし、デザインには凝りすぎないよう注意しましょう。

作成で重要なことは「相手に分かりやすく伝える」ことです。過度なデザインは、伝えたい情報を遮ってしまうことがあります。本来の目的を見失わないためにも、デザインはシンプルにまとめるのがオススメです。必要な情報のみをスマートに伝えることで、編集に無駄な時間を割くこともありません。

読む相手がいる前提で内容を考える

文章には読み手がいることを念頭に入れておきましょう。誰に向けて書くかによって、内容を変更することが大切です。例えば、新入社員は業務に関する知識が乏しいため、新入社員の知識に合わせて内容を作成するなど、配慮が求められます。

多くの場合、作成の担当となるのは、業務に関する知識が豊富な社員のはずです。自分の経験を前提に主観のみで作成してしまうと、相手にはなかなか伝わりません。常に読み手の立場に立ち、客観的な視点での作成を心がけてみてください。

すぐ実行に移せる内容で構成する

手順書の場合、は、読み手の行動を促すことが重要です。すぐ行動してもらうためには、「作業の明確化」「メリットデメリット」の2つを明確にすることが大切です。

例えば、進捗報告作業の場合は、「仕事の進捗状況と評価を行う」と記載するより「仕事の進捗を毎週金曜日の16時にメールで報告し、その後仕事の評価をエクセルに記入する」と書くと、具体的で行動しやすいでしょう。

難しい用語を多用しない

理解しやすさにおいて、とくに注意したいのが専門用語の使用です。業務経験が長ければ長いほど、専門用語などの難しい言葉を使いがちです。

初心者向けの手順書やマニュアルでは、難しい言葉は避け、平易な言葉で説明することが大切です。専門用語などの難しい言葉が必要な場合は、注釈を入れるようにしましょう。

手順書作成から運用までのステップ

ここまでは、文書作成の作成のポイントについて書きましたが、実用までの流れをおさえておくことも大切です。一連の流れを理解しておくことで、スムーズに作成を進められます。

ここからは業務生産性をより高めるために、手順書にフォーカスし、作成から運用までの流れを確認していきます。ステップごとに大切なポイントも解説していますので、ぜひ確認してみてください。

作業の洗い出し

まずはひとつの作業に対して必要な情報を洗い出しましょう。社員が働く現場の状況や課題など、実際に扱う範囲の作業情報を確認しておくと作成に役立ちます。情報を洗い出さずに作成された手順書は、一方的な偏った内容になりがちです。

手順書の構成を作る

情報を集めた後、構成を作成します。構成とは、全体の流れを記載した骨組みと言えるものです。先に構成を決めることで、スムーズに一貫性のある内容に仕上げられます。もし、構成を決めずに作り始めてしまうと、内容がチグハグになったり、伝えたい焦点がぼやけたりします。

一旦、洗い出した作業を工程や単位作業に整理し、時系列ごとに区切り、やることをリストアップするのがポイントです。場合によっては、生産性向上の為に、不要な単位作業や動作を削除したり、別の方法を検討することも重要です。伝えたいゴールイメージをもとに構成をつくり、シンプルに仕上げましょう。

実際の手順書を作成

作成にあたっては、ここまでで解説した以下の5つの点を徹底しましょう。

1.内容を具体的にする
2.視覚的に伝える
3.デザインはシンプルにする
4.相手の立場になって作成する
5.難しい言葉は使わない

上記5つのポイントをおさえるだけで、理解度は大きく向上します。作成中に意識することはもちろん、完成したら5つの項目を再度チェックしましょう。

手順書の仮運用・フィードバック

ある程度完成したら導入してみます。実は、ここがとても重要です。満足できる状態でなくても早めに試してみることが大切です。実行して初めて分かることは少なくありません。一回で完成形を目指すより、複数回の運用を繰り返し改善していくほうが、結果として早く完成度の高い手順書に仕上がります。

その後は、現場の反応をみながら、内容に反映させましょう。そうすることで、使用者の立場に立った、再現性の高い良い手順書が作成できます。

手順書は常にアップデートさせる

手順書は一度完成したら終わりではありません。日々業務や作業が変化したり、新製品・サービスが生まれるため、それに合わせて常に内容を修正・改善していくことが求められます。運用していく中では、必ずと言って良いほど想定外の出来事が発生します。例えば、機材トラブルや担当者との認識のズレなどです。

こうした出来事が発生するごとに、必要な対策を立て内容を更新しましょう。上記の例で考えると、機材の前日チェックやメンテナンスを手順に追加したり、分かりにくい文章を改善したりします。常に最適化を行うことが、質の向上につながります。

手順書作成と同時に行うべき業務効率化

手順書作成の目的の一つは、業務を効率化し生産性を上げることでしょう。当然ながら、生産性を上げる方法は手順書作成だけではありません。手順書作成と同時に、他の業務効率化を行うことも生産性の向上につながります。

そこで、業務効率化の具体的な方法やテクニックを紹介していきます。すぐに実践できるものもありますので、チェックしてみてください。

業務のムダをなくす

業務効率化において、まず取り組むべきは業務のムダをなくすことです。会社全体の生産性を向上させるには、「業務量はそのままに個人の能力を上げる」「個人の能力はそのままにムダな業務を減らす」のふたつの方法があります。

個人の生産性向上は、最終的に個々のモチベーションに依存することも多いため、コントロールが難しいところが難点です。一方、ムダな業務の削減であれば、個人の意思に関係なく実行できます。「そもそも、この作業は必要あるのか」「どうやったら効率よくできるか」を考えて、不要な業務を減らしていきましょう。

業務は、たくさんの作業の塊から成り立っています。
手順書を一通り作成することによって、業務内容の作業ボリュームを俯瞰的に見える化することができます。
見える化することで、ムダや改善ポイントも浮き彫りにしたり、業務を外部に委託したり、RPA等で自動化することも可能になります。

労働時間を管理する

労働時間を管理することも、業務効率化には効果的です。生産性が低下する原因の一つに長時間労働があります。長時間の労働は、作業効率の低下をまねくだけでなく、残業代や電気代などの経費の増大にもつながります。

さらに、働いている人の疲労やストレスがたまれば、ミスや事故・病気などのトラブルの原因になることもあるでしょう。労働時間を区切ることで「限られた時間でどう成果を出すか」「どうすれば業務を効率的に終えられるか」などの工夫も生まれます。長期的な視点に立ち、労働時間を短くすることも検討してみてください。

こちらも、手順書によって可視化された作業をもとに、適正な労働時間を試算したり無駄を省くなど、手順書から得られる副次的効果があります。

シングルタスクを心がける

シングルタスクとは、一つの作業にのみ集中することです。シングルタスクを実行することで、人はより高い集中力を発揮できます。一方、対照的なのがマルチタスクです。マルチタスクとは、一度に複数の仕事をこなすことです。このマルチタスクが生産性を下げる大きな要因と言われています。

脳内で一度に整理できる情報は限られています。そのため、複数の情報を同時に整理しようとすると、集中力が低下し、ケアレスミスや作業スピードの低下に繋がるでしょう。メールの確認時間を予め決めたり、急用以外は話しかけたりしないなど、一つの作業に集中できる環境を整えることが大切です。

ITツールの導入

ITツールの導入も業務効率化には効果的です。書類の作成方法や管理方法などにITツールを導入するだけで、大幅な業務効率化に繋がるケースは少なくありません。本来必要な作業時間が短くなることで生産性が向上することはもちろん、紙や印刷代などのコスト削減にもつながります。

今回紹介した手順書作成にもITツールの導入は効果的です。例えば、クラウド型のプラットフォームを使えば簡単にシンプルで分かりやすい手順書を作成できます。作業に更新があった場合も手軽に改訂してスピーディーに共有できたりと、作業の手間や費用も削減できますので、ぜひ検討してみてください。

Teachme Bizで手順書を作成する方法

「Teachme Biz」は画像・動画・テキストを駆使することで、より分かりやすく、より業務効率化を図ることを可能にしたビジュアルSOPプラットフォームです。

先述の通りSOP(Standard Operating Procedures)とは、具体的な作業や手順を作業ごとに順序立てて説明したものです。ビジュアルSOPプラットフォームを用いることで、テキストだけでなく画像や動画を効果的に使った「誰でも簡単に内容を理解できる手順書」を作成することができます。

また、クラウドでデータが同期されているため、改訂時もすぐに内容を更新でき、即座に現場へ伝えることができます。

「Teachme Biz」を運営するスタディストは、「伝えることを、もっと簡単に」をモットーに掲げています。そのため「Teachme Biz」も、手順の共有・管理をシンプルにすることで誰でも簡単に使うことができるツールになっています。

手順書作成ではシンプルであること、わかりやすいことが非常に重要です。

手順書作成にお悩みの方、業務効率化を図りたい方はぜひ一度「Teachme Biz」にご連絡ください。

無料体験デモを行うことができるので、Teachme Bizがあるとどのように業務を効率化することができるのかを実体験していただくこともできます。

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