しかし、その一方で、低価格帯の宿や、有名でない観光地はガラガラ状態なのだ。札幌市内で「ゲストハウス樹舎」を営む、伊藤秀樹氏が話す。
「客単価が低い宿泊施設だと割引のインパクトが小さいというのが一番の理由だと思います。それと地域共通クーポンは、旅行代金の15%が500円未満になると発行されない。
そうなると、ウチの宿泊料金(2500~3500円)では、ほとんどの場合、地域共通クーポンはもらえなくなってしまう。GoToは低価格の宿にはメリットが乏しいんです」
観光地も同様だ。「サーフィンの町」として、町の振興に取り組んでいる千葉県一宮町。東京五輪のサーフィン競技の会場になることも決まっているが、全国的に有名な観光地というわけではなく、GoToの恩恵は受けていない。
一宮町にある「ホテルくじゅうくり」では、GoToトラベルに東京が加わるのを見越し、「宿泊客1名につき伊勢えび1匹プレゼント」というキャンペーンまで組んだ。しかし、スタート日である10月1日、その翌日の2日ともに、宿泊客はゼロだったという。
高級宿泊施設や有名観光地ばかりが得をし、そうでないところはますます困窮するという事態になっているのである。