普通、力は分散してかかるため、力の矢印は無数にかけます。あるいは、一定面積あたりに1本描いてもいいかもしれません。しかし、これはあまりにも手間だし、実際力がいくらなのか分かりづらいので、力の矢印はど真ん中に1本代表して描くことが多いのです。その面にかかる力の合計を描いてます。
圧力も力も「何かをおしている」という点では同じで、どれくらいおしているかの表し方が違うんだ。力はその面にかかる力の「合計」を表し、圧力はその面にかかる力の「平均」を表す。では、一体なぜ二つの表し方があるのだろうか?以下で解説しよう。
3.なぜエリア平均が重要か?
力がかかっている面のエリア平均がなぜ重要か?それは、物が壊れるかどうかに影響するのが力の合計ではなく「エリア平均」だから。力を受けている面が大きければ力は分散されますが、力を受けている面が小さいとそこに力が集中し壊れやすくなります。
3-1.圧力とモノの壊れやすさ
image by Study-Z編集部
先ほどのブロックの例に戻ります。
例えばブロックの底がフラットではなく、4隅に4本の細い棒(底面が1cm x 1cm)がとして、それを木の床の上に置いたとしましょう。底面がフラットの場合、床面へのダメージは少なそうですが、細い棒に変えてしまうと簡単にえぐれてしまいそうです。
このように、力が狭い範囲に集中すると物が壊れやすくなります。そこで、力だけでなく、それがかかっている面の面積で割ったエリア平均なる「圧力」という考え方が必要なわけです。
3-2. 破壊が起きる圧力
どのくらいの圧力をかけたら壊れるかという指標は圧力と同じPaという単位を持ちます。どれくらい引っ張たら壊れるか(引張強度)、どれくらい曲げたら壊れるか(曲げ強度)、どれくらい押したら壊れるか(圧縮強度)等の指標がありますがいずれも単位はPaです。
例えば、圧縮強度が500MPaの金属があるとします。この金属1m^2には5 x 10^8[N]、つまり約5万tというとてつもない荷重をかけたら壊れる計算です。しかし、1mm^2だと、500 x 10^6[Pa] x 10^(-6)[m2]=500N。約50kgの荷重で壊れることになります。受ける力が小さくても、受ける面積も小さければ力が集中して壊れやすい状態になることは言うまでもありません。
合計何Nか?よりも面積平均で何Paか?の方が物の強度を考える上では重要なのです。
力と圧力の区別
力がかかると圧力がかかるほどちら何かを押しているという意味では同じ現象です。
両者の違いは力のかかり方の表現。
「力」はその面にかかっている「力の合計」で、「圧力」はその面にかかっている力の「平均」。
モノの壊れやすさの観点では、力の合計より平均が重要なため、「圧力」という概念が必要なのです。