オカルト・疑似科学団体と密接な下村博文自民党政調会長。ワールドメイト系から500万献金の大臣も

世界救世教と橋本聖子

 世界救世教との関わりがあるのは、五輪担当相・橋本聖子。世界救世教系政治団体「明るい社会をつくる会」の支援を受けてきた。  世界救世教も、いわゆる「カルト問題」に取り組む人々の間でことさらに名指しされている場面は見ない。しかし前回、EM菌の関連で触れた世界救世教分派「救世神教」の部分で書いたとおり、世界救世教の教祖・岡田茂吉は医療を否定し手かざしで病気を治せるとする教義を掲げており、世界救世教はこれを信仰する団体だ。  宗教や民間療法による病気治しが全て有害とは限らない(有効かどうかはともかく)し、通常の医療を否定する思想も実践の場面での程度問題だ。世界救世教をまるごと「カルト」として扱いはしないが、末端組織の指導者や個々の信者の熱心さ次第で人の健康や生死に関わりかねないリスクはある。

党政調会長はオカルトのデパート

 今回、菅政権の閣僚や役職者と各団体のか変わりを整理する中で、それぞれの人物について1つの団体との関わり確認されるごとに1つ「★」マークを付けてみた。たとえば1人の閣僚が2つの団体に関わっていれば、「★★」となる要領だ。  ★3つ以上の(つまり日本会議と神政連という「基本セット」以外の関係団体も持つ)閣僚と役職者を列挙する。 【閣僚】 ★★★ 副首相・麻生太郎:日本会議、神政連、統一教会 ★★★ 総務相・武田良太:日本会議、統一教会、不二阿祖山太神宮 ★★★★ 文科相・萩生田光一:日本会議、神政連、統一教会、幸福の科学* ★★★★ 厚労相・田村憲久:日本会議、神政連、霊友会、不二阿祖山太神宮 ★★★ 経産相・梶山弘志:日本会議、神政連、EM菌 ★★★ 防衛相・岸信夫:日本会議、神政連、統一教会 ★★★★ 内閣官房長官・加藤勝信:日本会議、神政連、統一教会、霊友会 ★★★★ 復興相・平沢勝栄:日本会議、神政連、統一教会、ワールドメイト ★★★ 一億総活躍担当相・坂本哲志:日本会議、神政連、不二阿祖山太神宮 ★★★★★ 経済再生担当相・西村康稔:日本会議、神政連、霊友会、親学、不二阿祖山太神宮 ★★★ デジタル改革担当相・平井卓也:神政連、統一教会、EM菌 ★★★ 五輪担当相・橋本聖子:日本会議、統合医療、世界救世教 ★★★★★ 国際博覧会担当相・井上信治:日本会議、神政連、親学、統合医療、不二阿祖山太神宮 【副大臣】 ★★★ 内閣府副大臣・三ッ林裕巳:日本会議、統一教会、不二阿祖山太神宮 ★★★ 文部科学副大臣・田野瀬太道:神政連、霊友会、統合医療 ★★★ 農林水産副大臣・宮内秀樹:日本会議、神政連、不二阿祖山太神宮 ★★★ 国土交通副大臣・大西英男:日本会議、神政連、統合医療 ★★★ 防衛副大臣・中山泰秀:日本会議、神政連、統一教会 【政務官】 ★★★★★ 総務大臣政務官・谷川とむ:日本会議、神政連、統一教会、ワールドメイト、不二阿祖山太神宮 ★★★★ 防衛大臣政務官・大西宏幸:日本会議、神政連、ワールドメイト、霊友会 【補佐官】 ★★★ 内閣総理大臣補佐官・木原稔:日本会議、神政連、不二阿祖山太神宮 【党4役】 ★★★★★★★★★★★ 政調会長・下村博文:日本会議、神政連、統一教会、ワールドメイト、幸福の科学、親学、スピリチュアル議連、EM菌、国際生命情報科学会特別顧問、予言者ジュセリーノ信奉者、ナノ銀除染推奨 ★★★ 選対委員長・山口泰明:神政連、不二阿祖山太神宮、EM菌  下村政調会長はあまりに★が多いので、それぞれの団体や分野の解説は省く。この★11個は、全国会議員の中でもダントツだ。もともとこうしたスピリチュアルやニセ科学方面との関係が目立っていた下村は、文科相時代に「文部疑似科学大臣」とも揶揄された。  ちなみに、衆参国会議員の中で★の数が下村政調会長に次いで多いのは安倍晋三衆院議員で、★6つ(日本会議、神政連、統一教会、ワールドメイト、霊友会、親学)である。 〈*文科相・萩生田光一については、2014年の幸福の科学大学不認可時、当時は閣僚ではなかった萩生田が、認可を得るために幸福の科学側にアドバイスをしたり文科省側との仲介を行ったりした(参照。とは言え、萩生田が文科相となった後の2019年に再申請した幸福の科学大学は今年、認可を断念し申請を取り下げている。萩生田が認可のために何らかの動きを見せたという話はいまのところ聞こえてこない〉 ※敬称略 <取材・文・図版/藤倉善郎 取材協力・鈴木エイト>
ふじくらよしろう●やや日刊カルト新聞総裁兼刑事被告人 Twitter ID:@daily_cult4。1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)
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