コロナ対応失敗の根源か 民主党政権が軽視した新型インフル報告書

NEWSポストセブン / 2021年2月18日 7時5分

 昨年7月、医療機器メーカー6社の社長に注射器の増産を要請したのは、厚労相だった加藤氏である。ファイザー社のワクチンが、特殊な仕様の注射器を使った場合にのみ、6回分を取れることがわかったのは昨年12月だ。その段階で加藤氏は自分が買い付けた注射器では5回分しか使えないことがわかっていて然るべきだ。事前に指摘できたはずの加藤氏の責任は大きい。

 前述の総括会議の報告書が活用されなかった問題では、田村憲久・厚労相も責任を負う立場だ。

 政府が感染症への備えを見直す機会は2012年にもあった。この年、致死率5割とされる「中東呼吸器症候群(MERS)」が欧州、韓国などに広がり、日本も水際対策を迫られた。

 だが、この時も野田佳彦政権と次の安倍政権は総括会議の報告書にある「感染防止」体制を強化しようとはしなかった。

 2012年から第2次安倍政権の厚労相を務めた田村氏は、後に報告書についてこう語っている。

〈何とかしなくてはという最優先課題に挙がっていなかったのは反省点だ。韓国や台湾における重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)の流行経験は日本にはなかった。対岸の火事とせず、わがふりを直さなくてはいけなかった〉(東京新聞20年6月21日付)

 その田村氏が加藤氏に代わって再び厚労相となると、厚労省は「注射器」問題や接触アプリ「COCOA」の不備など、感染拡大防止の要となる政策で失態を重ねている。

※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号

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