勝手読み



細かいことが気になって(中国ルール)




 ここまで敢えて触れませんでしたが、囲碁のルールにはもう一つ大きな仲間があります。

 中国ルールを忘れてはいけません。

 中国ルールと日本ルールには幾つか違いが有りますが、ここではスコア計算のやり方に絞って見ていきます。

 中国ルールのスコア計算では、基本的には石を数えます。ただし、実際に盤面を石で埋め尽くす作業はしません。日本ルールと同じように、「これ以上打ってもスコアに関係がない」という時点で終局し、盤面を埋め尽くしたと仮定して、その時盤面に有る石と、その石に囲まれた空点の両方を数え、両方を合算してスコアとします。

 また、黒か白のどちらかのスコアしか数えません。そして、碁盤の交点の数の半数と比較し、勝敗を判定します。

 では、「細かいことが気になって」シリーズにいままで登場した図を使って、中国ルールで計算してみましょう。

 
例1
 5路盤の交点の数は25ですから、その半分12.5より多いか少ないかで勝敗が決まります。


 黒は石と空点の合計が13子です。(単位は「子(シ)」です)
 12.5より0.5多いので、黒0.5子勝ちです。



 日本ルールでは、持碁です。
例2
 この図も中国ルールでは、黒13子で、黒0.5子勝ちです。



 日本ルールでは、黒1目勝ちです。
例3
 この図は、中国ルールで黒12子です。従って、盤の半分と比べて0.5子負け、つまり白0.5子勝ちです。



 日本ルールでは、白1目勝ちです。
例4
 これは7路盤ですから、盤の半数は24.5です。

 中国ルールではセキに絡む石も空点もカウント対象です。G1とG7の空点は黒と白で折半します。

 従って、黒24子で、白0.5子勝ちです。



 日本ルールでは、白1目勝ちです。
例5
 この図ではセキに絡む空点E1を折半すると半端がでてきます。また、A1は白のもの、G1は黒のものです。

 中国ルールでは、黒24.5子になり、持碁です。



 日本ルールでも持碁です。
例6
 この図では、セキの眼が影響します。D1とG4眼は黒のもので折半されません。F1とG2は折半です。

 中国ルールでは、黒25子で、黒0.5子勝ちです。



 日本ルールでは、白1目勝ちです。


 セキの扱いが勝敗に影響しました。
例7
 この図のG1は中国ルールでは黒のものです。なぜなら黒石を置けるからです。

 従って、黒25子で、黒0.5子勝ちです。



 日本ルールでは、持碁です。
例8
 中国ルールでは、黒24子で、白0.5子勝ちです。



 日本ルールでは、白1目勝ちです。

 中国ルールと日本ルールで、判定に食い違いが出たのは例1と例6、例7です。

 セキの扱いに影響された結果の違い(例6、例7)は分かり易いですが、手順の違いによる結果の違い(例1、例2)が微妙です。

 日本のプロ棋士達が日本ルールにこだわる理由はそのあたりにあるのかもしれません。



前ページ 勝手読みメニュー 次ページ