O脚、X脚を治して、脚長、小尻になる

ゆがみリセット学(6)

竹井仁

 ひざが外側にパカッと開くO脚、内向きにくっつくX脚、どちらも悩みのタネですが、「脚のゆがみは変わらない」と諦めていませんか? 実は脚のゆがみは、日々の体の使い方の癖や、骨盤の傾きの影響で作られます。だから、自分の癖とは逆の方向に筋肉を鍛えることで、きれいな脚に整えることができるんです。O脚の「横広がり」、X脚の「出っ尻」というお尻の悩みまで同時に解決できます。

おしゃれなファッションに身を包んでも、脚のラインが今ひとつだと、ちょっと残念。O脚やX脚が気になるけれど「ずっとこんな脚だったし、もう治らない」と諦めていませんか? 

ほかの体の部位と同様に、脚のゆがみにも必ず原因があります。だから、その原因を正す方向に筋肉を鍛えたり緩めたりすることで、O脚やX脚も変えていける、ということを今回はお話ししたいと思います。

O脚、X脚と一般的にはいいますが、私たち理学療法士は、ひざが外向きになる内反膝、内向きになる外反膝と呼びます。両ひざが内反だとO脚、両ひざが外反膝だとX脚というわけです。なかには、O脚だけどそれを無意識に隠そうと、ひざをくっつけるように立つ癖がある人や、反対にX脚だけど脚を開き気味に立っている人も。ゆがみを正しく矯正するには、本当の脚の状態を確認する必要があります。シンプルなチェック方法があるので、やってみましょう。

ひざ関節がつぶれて痛みにつながることも

両足のかかとを拳分くらい開けて、右足の人さし指と左足の人さし指をそれぞれ15度ずつ開きます。背すじを伸ばし、正面を向いたまま、ゆっくりとひざを曲げる。ひざが正面を向いたままならゆがみはありません。O脚の人はひざを曲げると自然とひざが外側に開き、X脚の人はひざが内側に向きます。はっきりわからない場合は、ひざとひざの間が開く方向、閉じる方向、どちらが曲げやすいかを確かめて判断しましょう。

次に、片脚立ちでもチェック。片脚立ちしたときに、立っている脚のひざが外側、あるいは内側にはっきり動くときは要注意。膝関節がつぶれ始めている可能性があります。

膝関節は、ひざ上の大腿骨と、ひざ下の下腿(脛骨とそのすぐ外側の細い腓骨)によって上下を挟まれた状態になっています。O脚の場合、膝関節には「外へ、外へ」ずれようとする力が加わり、正面から見るとひざ関節の内側がつぶれて、痛みが生じやすい状態に。X脚では逆に「内へ、内へ」とずれようとするため、膝関節の外側がつぶれて痛みやすい状態です。

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私はO脚?X脚? ひざの向きをチェック

ひざを曲げたとき、両ひざが外側に向くなら「O脚」、内側なら「X脚」。片脚立ちしたときに、支えとなる脚のひざが外側、内側にスライドするなら、脚のゆがみによって膝関節(しつかんせつ)に障害が生じやすい状態といえる。

いずれの場合も、ひざが真っすぐ正面を向く場合は、脚のゆがみはない。鏡に映したり、人に見てもらうとわかりやすい。

(この記事のイラスト もと潤子)

O脚やX脚は、今は見た目だけの問題でも、放っておくと中年期以降、つらいひざの痛みの原因になることも覚えておきましょう。お年寄りで、歩くたびにガクッガクッとひざが外側や内側に動く人がいます。ひざの軟骨がすり減り、骨同士が当たって痛みも強い場合もあります。膝関節の軸がずれているから、曲げると痛くて正座もできません。若いころには筋力でひざを支えていたものの、年を取って筋力が低下したり、体重が増加すると、重みに耐えきれずに膝関節が変形するのです。体重が1kg増えるとひざにかかる荷重は3kg増えます。

すでにひざに痛みがある人は整形外科に行き、レントゲンか磁気共鳴画像装置(MRI)で膝関節の様子をチェックしておきましょう。膝関節に問題がある場合は、ヒアルロン酸注射で膝関節の関節液を補う対処がとられたり、理学療法でエクササイズの指導を受けることができます。いったんひざの軟骨が擦り減ると元には戻らず、最終的には手術しか対処がなくなることも。後悔しないために、早めに対策を始めることが大切です。

O脚は、ひざ関節に外へ、外へとずれようとする力が加わる。X脚は、内へ、内へという力が加わる。どうしてこんなことが起こるのでしょう。

原因をたどると、骨盤に行き着きます。まず、これまでに何回か取り上げてきた「反り腰」の骨盤前傾タイプの人。壁に背中とお尻をくっつけて立ったときに腰の隙間に手がすぽっと入るタイプは骨盤が前に傾きやすく、前傾した骨盤についた大腿骨が内側にねじれるので、X脚になりやすいのです。反対に、腰の隙間がほとんどない骨盤後傾タイプの人は、大腿骨が骨盤に対して外開きにつくので、O脚になりやすくなります。

骨盤のゆがみを正し、ひざのずれを調整していく

脚のゆがみを正すには、ゆがみの出発点である骨盤の前後の傾きからアプローチすることが大切。加えて、ひざ関節にかかっている「外ずれ(O脚)」「内ずれ(X脚)」という力を正す方向で動かすことも重要。この二つのポイントを理解したうえで、対処法へと進みましょう。

まず、O脚で骨盤後傾タイプの人は、常に骨盤が後ろ側に傾き、股関節を外向きに外旋しようとする力が加わっています。筋肉でいうと、骨盤の後ろ側の仙骨と大腿骨をつなぐ「梨状筋」や、お尻の横側にある「中殿筋」の後ろ側が凝っている。これらはヒップの外側にある筋肉群なので、お尻も横広がりにばーんと広がってしまいます。梨状筋や中殿筋が凝った状態では、O脚を正そうとしてもつっかい棒のようになって、なかなか難しい。そこで、まずはこれらの硬直した筋肉群をほぐしていきます。

背すじを伸ばしてイスに座り、伸ばしたい側の脚を抱えて反対側の胸にぐっと引きつけます。このとき、お尻をイスの座面にぴったりとくっつけるように意識をすると、より効果的に梨状筋や中殿筋を伸ばせます。

次に、いわゆる「ぺたんこ座り」で、ひざ下の脛骨を真下に押しこむように手で刺激します。O脚の人は、あぐらをかく座り方は得意だけど、ぺたんこ座りは下手な人がほとんどでしょう。でも、得意だからといってあぐらばかりかいてはダメ。外へ、外へとずれようとする力を後押しするのがあぐら座りです。ますますO脚がひどくなりますよ。

ぺたんこ座りをしようとすると、骨盤を後傾させたくなると思いますが、頑張って骨盤を立てましょう。股関節を内旋させることで、O脚とは逆方向の力が加わり、脚全体の筋肉をほぐすことができます。

骨盤や股関節まわりがほぐれたところで、エクササイズです。枕や丸めたバスタオルを、ひざの力で絞りこむ体操を行いましょう。外に向いているひざのお皿を内側に締めていく意識で。この動きによって、普段なまけている、内転・内旋筋群を鍛えられます。この体操を行うと、脚のラインが整うとともに、横広がりに張っていたヒップラインもきれいに引き締まってきます。

X脚の人は、恐らく大の苦手であるあぐらの姿勢で行うストレッチングから始めましょう。こちらも骨盤をしっかり立て、内側に入り込みがちな脛骨を外側方向に手で押して、癖付けをしていきます。骨盤を立てて行うことで、X脚の人のなまけた腹筋を鍛える効果も。外旋方向にじわじわーっと脚全体を伸ばしていくので、内向きにゆがんだ脚がより正されやすくなるんです。

続いて、エクササイズ。ちょっときついけれど頑張りましょう。内向きのゆがみに対して、股関節の外旋力をアップするように、大殿筋を鍛えます。最初に腹筋に力を入れておへそを軽く浮かせた状態で行うことで、大殿筋が熱くなってくるほど、ピンポイントで刺激することができます。おへそを浮かせることができない人は、薄めの枕かタオルをおへその下に置きます。このエクササイズで、X脚の特徴である、どーんと後ろに突き出たお尻もキュッと小さくなります。

なお、注意点が一つ。決して間違ってO脚の人がX脚の対策を行ったり、X脚の人がO脚対策を行わないで。O脚やX脚のゆがみをより助長させる方向に力を加えることになるので、気をつけましょう。また、片脚だけがO脚(内反膝)、X脚(外反膝)の人もいるので、注意してください。

【今回のポイント】
脚にかかっている力とは逆方向の筋肉を鍛えよう
 O脚もX脚も、凝った筋肉群を緩めてから、骨盤や膝関節を支える筋肉を鍛えるのがポイント。続けることで脚のラインが正され、お尻もきゅっと引き締まってくる。
竹井仁(たけい・ひとし)
首都大学東京 健康福祉学部理学療法学科教授。1966年、愛媛県生まれ。筑波大学大学院修士課程(リハビリテーション)修了。2002年、医学博士(解剖学)学位取得。理学療法士。医学的知識に基づいた筋力トレーニング、リハビリテーションを研究する。著書に『不調リセット』(ヴィレッジブックス)などがある。

(ライター 柳本操、構成/日経ヘルス 宇野麻由子)

[日経ヘルス2011年12月号の記事を基に再構成]

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