ちから教授のコトバ生態学
ちから教授のコトバ生態学第92回~女性差別の証拠と真相~
2017年4月14日
その証拠と真相9(女性差別)
なぜ「ワン男くん、ツー子ちゃん」でなく「ワン子(one)ちゃんとツー男(two)くん」なのか?
今回はいよいよ、女性差別を解消する話のまとめです。次回は別の話題になります。
並列表現の順を変える
コトバを変えることは困難を極めます。欠損表現の場合は、差別存在の証拠になるだけで、差別解消はできません。並立表現はその可能性があります。
「男女」「父母」「夫婦」「紳士淑女」「夫婦」「新郎新婦」「男子女子」「男性女性」「兄弟姉妹」「紳士淑女」「善男善女」「祖父母」「伯父伯母」などの並立表現はすでにお話したように、男性が前に来ます。前に来る語が優位なので、差別です。いかにも男性が上位だと言っているようです。「女男」「母父」「婦夫」「新婦新郎」「女子男子」のようにすればいいですよね。しかし、こうすると、「言いづらい」という意見が出るでしょうね。でもすぐ慣れます。問題は男性差別が生ずることです。
差別表現を変えること
既成の表現は変えない方が抵抗は少ないでしょう。ということは比較的新しい表現で、しかも、女性差別解消に取り組むような表現を変えるのです。つまり、「男女同権」「男女共同参画」「男女平等」「男女差別」のような表現です。「女男同権」「女男共同参画」「女男平等」「女男差別解消」にするのです。すでに触れたように「日米」は日本からの表現で、「米日」はその反対ですので、その意味合いを含めます。女性側からの観点を含ませることができ、「女性差別改善解消」に向けての強い意識の表現になります。
「ワン男くん、ツー子ちゃん」
話が長くなりましたが、本章のタイトル、「なぜ『ワン男くん、ツー子ちゃん』でなく『ワン子(one)ちゃんとツー男(two)くん』なのか」の理由です。「新しい表現なので、あえて、女性を前にした。」のです。ボクの意図が納得できましたでしょうか。さらにできることは、すでに述べたように、女性差別用語をなるべく使わないことです。
特に強調したいことを再度、箇条書きにします。これは他の差別用語禁止、代替表現使用と同じ考えです。
1.「こどもの日」は必ず女の子を含める。男の子だけの用法は禁止する。
2.「帰国子女」は「帰国生」に変える。
3.「少年」「青年」は男子のみにする。従って、「少年(青年)の部男子女子」「青少年公園」などのような、女子を含む表現は禁止にする。
4.「未亡人」は使わない。代替表現はないけれど、言う必要はない。
5.「妖しい」などの漢字はなるべく使わない。ひらがな表記か、別表記「怪しい」などを使う。
『ちから教授退職記念号 究極死語事典』を出版
このたび、28年度の私のゼミ(3、4年生対象、椙山女学園大学人間関係学部)で、『ちから教授退職記念号 究極死語事典』(本文167+14ページ、私家版)を作成しました。予想以上に面白い冊子になりました。
実はこの3月で定年退職します。それでこのような奇異な題名になりました。
死語関係本(数字は著書番号)は過去に以下の本を出しています。その集大成が本書です。詳しくは「はしがき」をご覧下さい。
26.『女子大生が集めた おもしろ死語事典』私家版 編著 平成8(1996)年
28.『世紀末死語事典』中央公論社 単著 平成9(1997)年
44.『女子大生の好きな死語事典』私家版 編著 平成17(2005)年
45.『(最新版)女子大生が大好きな 死語事典』中部日本教育文化会 単著 平成17(2005)年
57.『「SJG(椙女ガール)12」による ジェネレーションギャップ解消本―死語+武士語』私家版 編著 平成23(2011)年