愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡る不正署名問題で、名古屋市の広告関連会社が多数のアルバイトを募集し、署名簿に偽の署名を書き込む作業をさせていた疑いがあることが16日、関係者への取材で分かった。広告関連会社の幹部は、リコール運動を主導した事務局の指示だったと周囲に説明。問題は、大規模な組織的不正に発展する可能性が出てきた。
運動事務局の田中孝博事務局長は取材に「指示なんてしていない」と関与を否定。広告関連会社は「担当者が不在でコメントできない」としている。
関係者によると、広告関連会社は運動事務局の指示で、人材紹介会社を通じてアルバイトを募集。昨年10月、佐賀県内の貸会議室にアルバイトを集め、用意した名簿を基に、署名簿に他人の氏名や住所を書かせた。現地では運動事務局の関係者がアルバイトに具体的な指示を出していたという。人材紹介会社の担当者は「募集内容の詳細は分からない。現在、確認している」と話した。
リコール運動は、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が主導。名古屋市の河村たかし市長らが支援した。愛知県選挙管理委員会によると、提出された約43万5千人分の署名うち、8割超に当たる約36万2千人分が無効と判断された。県選管は今月15日、署名が大量に偽造された疑いがあるとして、地方自治法違反容疑で愛知県警に刑事告発した。【共同】