署名偽造、事務局が指示か 佐賀にアルバイト大量動員 愛知知事リコール

[ 2021年2月16日 20:59 ]

 愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡る不正署名問題で、名古屋市の広告関連会社が多数のアルバイトを募集し、署名簿に偽の署名を書き込ませていた疑いがあることが16日、関係者への取材で分かった。広告関連会社の幹部は、運動を主導した事務局の指示だったと周囲に説明。問題は、大規模な組織的不正に発展する可能性が出てきた。

 運動事務局の田中孝博事務局長は「指示なんてしていない」と関与を否定。広告関連会社は「社長が不在で何も分からない」としている。運動を主導した美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長は16日、取材に「どんな団体がやったのか知らないが、私たちの運動とは違う」と答えた。

 関係者によると、高須氏が運動開始を表明した直後の昨年6月、広告関連会社から運動事務局に「協力したい」と連絡があった。運動を支援した名古屋市の河村たかし市長は16日、「ありがたいと(受け入れた)」と説明した。

 その後、広告関連会社は運動事務局からアルバイトを集めるよう書面で指示され、人材紹介会社を通じて募集。昨年10月、佐賀県内の貸会議室にアルバイトを集め、用意した名簿を基に、署名簿に他人の氏名や住所を書かせた。現地では事務局の関係者がアルバイトに具体的な指示を出していた。事務局が広告関連会社に宛てた「発注書」が残っているという。

 愛知県選挙管理委員会によると、提出された約43万5千人分の署名のうち、8割超に当たる約36万2千人分が無効と判断された。県選管は今月15日、署名が大量に偽造された疑いがあるとして、地方自治法違反容疑で愛知県警に刑事告発した。

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2021年2月16日のニュース