【特集】同時に35人と交際!?デート商法か...結婚の意思示し"商品契約"を持ち掛ける男性 記者が直撃取材
2021年02月15日(月)放送
コロナ禍で人気が高まっている出会い系のマッチングアプリで交際を始めた女性らが“ある男性”から「だまされた」と訴えています。男性は同時に35人と交際していたとみられ、マルチ商法の契約などを持ち掛けていました。
10か月交際していた男性に「すっかりだまされた」
「すっかりだまされちゃいましたね。一生一緒にいようね、みたいに言っていたことが全部うそだったんだって。」
こう話すのは、大阪府内に住むシングルマザーのAさん(40代)です。去年1月から10か月間、ある男性と交際していました。
(Aさん)
「たった2回しか会っていないのにキスされてきたりとかしたので、私は、次に付き合う人は結婚できる人、将来一緒にいられる人じゃないとそういうことはしたくないと言ったら『俺も本気や。一生一緒にいるつもり』と言って。」
男性と出会ったのはマッチングアプリでした。顔写真や趣味などを登録するだけで気になる異性と連絡を取り合うことができ、コロナ禍で利用者が急増しています。Aさんと交際を始めた男性・M氏のプロフィールには「身長170cm」「年収600万円以上」「会社経営」などと記載されていて、爽やかな表情をした写真が添付されていました。
整水器など18万円分を契約 不審に思いネットで検索すると“掲示板”が
交際を始めて2か月後、M氏はAさんに突然こんな話をしてきたといいます。
(Aさん)
「『水素水を扱っている会社をやっている』だとか『ずっときれいでいてほしい。自分と一生を共にする人には一生健康でいてほしいからこれを使ってほしい』という熱弁をされました。気づいたら契約させられていた。」
結婚を前提に交際していたAさんは、M氏から言われるがままに整水器やシャワーヘッド、さらには酵素ドリンクなど、あわせて18万円分の契約をさせられたといいます。
その後も交際は続いていたものの、会えるのは月に1度か2度で、2時間程度。不審に思ったAさんはインターネットでM氏について検索してみたといいます。するとM氏からの被害を訴える掲示板が立ち上がっていたのです。
【掲示板の書き込み】
『好きになった頃合いで、水素水とか勧めてきます。人の恋愛感情を利用するのは、本当に悪質です。皆さん騙されないでください。』
(Aさん)
「血がざわつくというか、嫌な気持ちになったのを覚えています。」
デートから1時間後に別の女性と一緒の姿
信じきれずにいたAさんでしたが、決定的な現場を目撃してしまいます。Aさん自らが撮影したという映像を見ると、Aさんとのデートから1時間後、駅のロータリーで誰かを待つM氏の姿がありました。すると、そこに別の女性がやってきて、仲睦まじく車に乗り込んでいきました。
(Aさん)
「ただただショックでしたね。あんなに自然にうそが紡いで出てくるんだと思ったら悔しかったですね。」
その後、Aさんは連絡を絶ち、掲示板で被害を訴えていた人に連絡を取り始めたといいます。
(Aさん)
「交際期間は、数か月の方から、何年っていう…3年4年という方もいらっしゃいますね。全員の交際期間を聞くと、全部私と被っているんですね。本当に信じられなくて。(Q把握している被害者の数は総勢どれくらい?)把握しているのが35人ほど。まだ増えるんじゃないかなと思っています。」
M氏は少なくとも35人と同時に交際していたとみられ、整水器などを契約させたほか、誕生日を偽って高額なプレゼントや金銭をだまし取っていた疑いがあるというのです。
重病の父親に男性を紹介した被害者も
取材班はM氏と1年4か月間交際していたというBさん(40代)にも話を聞きました。Bさんは整水器などを契約してしまったといいます。
(Bさん)
「最初からデート商法だったんだろうなっていうのは頭の中にはあるんですけれど。もうどうしても結婚を目の前に餌としてぶら下げられたら…。」
不審に思いつつもBさんには結婚にこだわる理由がありました。
(Bさん)
「父の病気がわかりまして、余命宣告もされたので。早く花嫁の父をさせてあげないとって。」
父親はその後、仲間との人生最期のゴルフを断り、娘とM氏との食事を優先させたといいます。
(Bさん)
「彼を紹介した日の外食が、結果的に父にとっての最期の外食になってしまったので、本当に父に申し訳なくて。」
デートで突然「空気清浄機」の契約話
去年12月、Cさん(40代)にも話を聞きました。Cさんは整水器などを契約していて、数日前にだまされていることを知ったといいます。去年6月から交際を始め、取材した日もまだ関係は続いていました。すでに会う約束をしていたということで、取材班も様子を伺うことにしました。
【デートの様子】
(M氏)「ほんま可愛い。一番可愛い。癒されるわ。」
【デートの様子】
(M氏)「空気清浄機。コロナまで取れる。メンテナンス料だけ2万1000円かかる。」
突然、空気清浄機の契約話を持ち掛けてきました。
【デートの様子】
(Cさん)「親が最近(空気清浄機を)買ったらしくて…。」
(M氏)「自分の部屋に置くねんから親は関係ない。(Cさんの)健康と将来のことを考えて、コロナもあるから気を付けてって言っているだけで。」
Cさんが拒否反応を示しても強引に話を進めていくM氏。
Cさんにこんな約束までします。
【デートの様子】
(Cさん)「今の段階で私との先は考えられる?」
(M氏)「考えているから付き合っている。結婚しないっていうことは絶対にない。」
(Cさん)「わかった。ありがとう。」
(M氏)「じゃあ、あとハンコ。」
デート後に改めてCさんに取材しました。
(Cさん)
「(Q契約したんですか?)そうですね、しましたね。(だまされていることを)知った上で会っているので、断ろうと思っていたんですけれど、でも普通に好きだったから、やっぱり顔を見てしまうと…。」
弁護士「詐欺罪に該当する部分も」
Aさんらは去年10月に被害者の会を立ち上げ、今年2月11日に警察に告訴状を提出しました。一体どんな罪に問えるのか、弁護士に見解を聞きました。
(片山和成弁護士)
「本当は交際するつもりがないのに、『結婚したい』『結婚を前提に交際したい』と。誕生日プレゼントや商品を買わせたと、その点が詐欺罪に該当する部分があると思います。」
記者が男性に直撃取材
一体どういうつもりで複数の女性と交際し、契約話を持ち掛けていたのか。取材班は今年1月、M氏に直接話を聞くことにしました。
(記者)「すみません。Mさんですよね?」
(M氏)「いや、違います。」
(記者)「ちょっとお話いいですか?」
(M氏)「違います、違います。」
(記者)「じゃあ誰ですか?」
(M氏)「名乗るほどの名前でもないです。やめてください。」
(記者)「あなたね、女性の心を弄んでいるんじゃないですか?」
(M氏)「ちょっと急いでいるのでやめてください。」
(記者)「複数の女性から内容証明届いていますよね?」
(M氏)「…(答えず)。」
(記者)「デート商法をやっているんじゃないですか?結婚詐欺かデート商法をしているんじゃないんですか?」
記者の取材に対してM氏は逃げるように走り去っていきました。その後、M氏は整水器などを販売するマルチ商法の会社の会員だとわかりました。取材班はその会社に問い合わせました。
(会社の社長)
「一応聞き取りをしているんですけれども、彼を処罰することができるのかというところを審議しているという状態です。」
被害者の会によりますと、女性が泣き寝入りするケースも多いとみられていて、会は、同じような被害を受けていたり、心当たりがあったりする場合は「keisho1129@gmail.com」まで連絡してほしいと訴えています。