第06話:通り過ぎる建物とあやしいおじさん (失敗編)老人のありがた迷惑
途中で8メートル近くまで到達しているのに、助けに入った老人の「長考」+「失敗」により一気に離されてしまいゲームオーバーとなっています。
この老人が居なければもしかしたら取れたかもしれないのに。
**********************************************
少女「帽子がとばされちゃった(棒読み)」
少年「も、もちろん、僕が取ってくるよ!」
少年は駆け出した。
帽子まで30メートル!
少年の走る目の前に、新聞紙の束が!
しかし、少年は新聞紙の束をなんとか飛び越えた。
(行ける、僕は行けるぞ!)
少年はそう信じて走り続けた。
帽子まで32.5メートル!
おやしいおじさんが少年に声をかけた。
おじさん「おう、ボーズ、何を急いでいるんだ」
少年「帽子を追いかけているんです!」
おじさん「くっくっくっ、そうかい。こいつを舐めてみな」
少年はおじさんから渡された飴玉を口に放り込んだ。
少年は体中が熱くなった。
少年「ありがとうございます。でも、これなんですか?」
おじさん「気にするな。くっくっ、動きやすくなるぜ」
少年が走り出すと、少し速くなったように感じた。
帽子まで33.8メートル!
少年の走る目の前に、地面に転がる酔っぱらいが!
しかし、少年は地面に転がる酔っぱらいをなんとか飛び越えた。
帽子まで35.099999999999994メートル!
走っている少年にローブをかぶった老人が声をかけた。
老人「おお、なにを急いでいるんじゃ?」
少年「帽子を追いかけているんです!」
老人「ふむ、わしが風を逆に吹かせてやろう」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「ふぬわーーー!!」
魔法の力で帽子が40メートル戻ってきた!
しかし、老人が呪文を唱えている間に20メートル飛んでしまった。
合計で20メートル近づいた!
少年「おじいさんありがとう!」
少年はまた走り出した!
帽子まで16.399999999999995メートル!
少年は崩れかけた廃屋の脇を駆け抜けた!
帽子まで17.699999999999996メートル!
少年の走る目の前に、腐った材木が!
しかし、少年は腐った材木を軽々と飛び越えた。
帽子まで18.999999999999996メートル!
少年の走る目の前に、ひしゃげたゴミ箱が!
しかし、少年はひしゃげたゴミ箱を軽々と飛び越えた。
帽子まで20.299999999999997メートル!
帽子まで21.599999999999998メートル!
少年の走る目の前に、腐った材木が!
しかし、少年は腐った材木をなんとか飛び越えた。
帽子まで22.9メートル!
風が変化した!
かなりの強風が吹いている!
帽子まで25.2メートル!
少年の走る目の前に、ひしゃげたゴミ箱が!
しかし、少年はひしゃげたゴミ箱を危なげなく飛び越えた。
帽子まで27.5メートル!
少年の走る目の前に、かしがった手すりが!
しかし、少年はかしがった手すりを軽々と飛び越えた。
帽子まで29.8メートル!
走っている少年にローブをかぶった老人が声をかけた。
老人「おお、なにを急いでいるんじゃ?」
少年「帽子を追いかけているんです!」
老人「ふむ、わしが風を逆に吹かせてやろう」
老人「ふぬ……ぬぐっ」
魔法に失敗した!
しかも、老人が呪文を唱えている間に6メートル飛んでしまった。
逆に6メートル離れてしまった!
少年「あ、ありがとう……」
少年は微妙な表情でまた走り出した!
帽子まで38.099999999999994メートル!
帽子まで40.39999999999999メートル!
走っている少年にローブをかぶった老人が声をかけた。
老人「おお、なにを急いでいるんじゃ?」
少年「帽子を追いかけているんです!」
老人「ふむ、わしが風を逆に吹かせてやろう」
老人「ふぬわーーー!!」
魔法の力で帽子が40メートル戻ってきた!
しかし、老人が呪文を唱えている間に6メートル飛んでしまった。
合計で34メートル近づいた!
少年「おじいさんありがとう!」
少年はまた走り出した!
帽子まで8.699999999999992メートル!
帽子まで10.999999999999993メートル!
少年はあばら屋の脇を駆け抜けた!
帽子まで13.299999999999994メートル!
風が変化した!
かなりの強風が吹いている!
帽子まで18.599999999999994メートル!
少年はあばら屋の脇を駆け抜けた!
帽子まで23.899999999999995メートル!
少年の走る目の前に、パン屋の看板が!
しかし、少年はパン屋の看板を危なげなく飛び越えた。
帽子まで29.199999999999996メートル!
走っている少年にローブをかぶった老人が声をかけた。
老人「おお、なにを急いでいるんじゃ?」
少年「帽子を追いかけているんです!」
老人「ふむ、わしが風を逆に吹かせてやろう」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「むむ……」
少年「早く早く!」
老人「ふぬ……ぬぐっ」
魔法に失敗した!
しかも、老人が呪文を唱えている間に144メートル飛んでしまった。
逆に144メートル離れてしまった!
少年「あ、ありがとう……」
少年は微妙な表情でまた走り出した!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
少年は諦めて足を止めた。
少年がうなだれて少女のもとに戻ると、またもや少女は冷ややかな目で少年を見た。
少女「酷すぎるわ。なんど失敗すれば気が済むの?」
少年は自らの非力さを呪った。
**********************************************