第03話:地の文に心情を吐露することを覚えた少年
こうやってテキストを出力してみると分かってきますが、やはり風に吹かれた帽子を少年が淡々と追いかけるのではおもしろみがありません。
この少年におもしろい芸を期待するのも難しそうです。
ということで、賑やかし程度ですが少年には地の文に独白をしてもらうことにしましょう。
これできっと少しは面白くなるに違いありません。
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少女「またまた帽子がとばされちゃった!」
少年「今度こそ、僕が取ってくるよ!」
少年は駆け出した。
帽子まで30メートル!
(行ける、僕は行けるぞ!)
少年はそう信じて走り続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで33.5メートル!
(行ける、僕は行けるぞ!)
少年はそう信じて走り続けた。
それなりに強い風が帽子を運んでいく。
帽子まで34.0メートル!
(行ける、僕は行けるぞ!)
少年はそう信じて走り続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで39.5メートル!
(行ける、僕は行けるぞ!)
少年はそう信じて走り続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで46.0メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
それなりに強い風が帽子を運んでいく。
帽子まで47.5メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
それなりに強い風が帽子を運んでいく。
帽子まで50.0メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
穏やかな風が帽子を運んでいく。
帽子まで47.5メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
それなりに強い風が帽子を運んでいく。
帽子まで49.0メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで53.5メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで59.0メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで62.5メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
穏やかな風が帽子を運んでいく。
帽子まで60.0メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで66.5メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
穏やかな風が帽子を運んでいく。
帽子まで65.0メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
それなりに強い風が帽子を運んでいく。
帽子まで65.5メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
穏やかな風が帽子を運んでいく。
帽子まで64.0メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで67.5メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで71.0メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
穏やかな風が帽子を運んでいく。
帽子まで69.5メートル!
(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)
少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで74.0メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで79.5メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで84.0メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
穏やかな風が帽子を運んでいく。
帽子まで82.5メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
穏やかな風が帽子を運んでいく。
帽子まで82.0メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
穏やかな風が帽子を運んでいく。
帽子まで79.5メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
穏やかな風が帽子を運んでいく。
帽子まで77.0メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
穏やかな風が帽子を運んでいく。
帽子まで75.5メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
穏やかな風が帽子を運んでいく。
帽子まで75.0メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
それなりに強い風が帽子を運んでいく。
帽子まで75.5メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
それなりに強い風が帽子を運んでいく。
帽子まで78.0メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで82.5メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで89.0メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで94.5メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
帽子まで99.0メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
穏やかな風が帽子を運んでいく。
帽子まで97.5メートル!
(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)
少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。
かなりの強風が帽子を運んでいく。
少年は諦めて足を止めた。
少年がうなだれて少女のもとに戻ると、またもや少女は冷ややかな目で少年を見た。
少女「あなたはなんのために生きているの?」
少年は自らの非力さを呪った。
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なんということでしょう。
セリフを3パターンほど用意した所、少年は常にそれを地の文に吐き出し続けるという暴挙に出ました。
同じセリフを何度も言うのでうるさくて仕方がありません。
今回のソースコードは以下の通り。
#! ruby -E Windows-31J:utf-8
# coding: utf-8
#第03話:地の文に心情を吐露することを覚えた少年
#初期化
$d = 30 #帽子までの距離
$windspeed = 2 #風の速度
$speed = 2.5 #走る速度
#メソッド類
def print_distance
puts "帽子まで"+$d.to_s+"メートル!"
puts
end
def boy_think
if $d < 40
puts "(行ける、僕は行けるぞ!)"
puts "少年はそう信じて走り続けた。"
puts
elsif $d < 70
puts "(駄目かも……いや、違う、自分を信じるんだ!)"
puts "少年は雑念を振り払って無心で足を動かし続けた。"
puts
else
puts "(もうダメだ。また罵られるに違いない。この世界に神はないのか!?)"
puts "少年はボロボロになりながら、神を呪い、天を呪い、世界のすべてを呪いながらも進み続けた。"
puts
end
end
def nextstep
change_windspeed
$d = $d - $speed + $windspeed
end
def change_windspeed
$windspeed = rand(10).to_i
if $windspeed <= 2
puts "穏やかな風が帽子を運んでいく。"
puts
elsif $windspeed <= 5
puts "それなりに強い風が帽子を運んでいく。"
puts
else
puts "かなりの強風が帽子を運んでいく。"
puts
end
end
#メインルーチン
puts "**********************************************"
puts
puts "少女「またまた帽子がとばされちゃった!」"
puts
puts "少年「今度こそ、僕が取ってくるよ!」"
puts
puts "少年は駆け出した。"
puts
while $d < 100 do
print_distance
boy_think
nextstep
end
puts "少年は諦めて足を止めた。"
puts
puts "少年がうなだれて少女のもとに戻ると、またもや少女は冷ややかな目で少年を見た。"
puts
puts "少女「あなたはなんのために生きているの?」"
puts
puts "少年は自らの非力さを呪った。"
puts
puts "**********************************************"