骨と卵   作:すごろく

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書籍もコミックもアニメも雨は降ってなかったので
晴れだったのでしょう(笑)
というわけで
聖典登場です。

でわ、ごゆっくりどうぞ。


その4 本日は聖典なり。

「エンリ、これからここは戦場になる。ああは言ったがお前の周りには魔法と物理、どちらの攻撃に対しても有効な耐性壁を作る。絶対に出るなよ。」

「はい。無理を言ってすみませんでした。」

 

「では、父上。ガゼフ殿が先陣を切った後、私も出ます。」

 

「うむ、今度の相手は魔法を使うようだ。魔法の実力は未だ未知数、油断するな。」

「はっ」

 

「行くぞっ!!蹴散らしてやれっ!!」   

「「応っ!!」」

 

ーーーーー

 

戦場において個の力量差は僅かでもそれが集団になった時、圧倒的な力差になる時がある。鈴木も同じカンストプレイヤーたちのギルドとヤリあった時にその事を知った。アインズ・オール・ゴウンは戦闘ギルドだった。貴重素材の独占、強襲してアイテム奪取、それなりに悪名も高かったがメンバーは集団戦を得意としていた。たった41人で1500人を返り討ちにした伝説も作った。

(ガゼフの部下はよく鍛えられている。相手とはそれ程差はないが統制の取れた戦いをやるかやらないかでは全く違うからな。闇雲に個々が剣を振ってもそれでは集団戦は勝てんを兵士戦はガゼフ側の圧勝か。問題は魔法職との戦いだな。魔法は飛び道具みたいなものだからな。彼らの装備では防護も無理だ。これは形勢が逆転するぞ。)

鈴木は冷静に戦局を分析していた。パンドラズ・アクターが付いているので勝敗は決しているのだが、勝ち方が重要だ。分かり切った結果ではなくその手順なのだ。ガゼフは使える、周辺"国家"の上層部に近い立場、しかも好意的である。これは利用しない手はない。

だが圧勝は少し不味い。苦戦して貰わねばならない。

プロレスとか言う興行もそうだったらしい。

最初はカッコよく押して途中でピンチ、そして傷だらけになりながらも華麗に逆転。テンションはアゲアゲだ。

(ここは魔法職の連中に頑張って貰ってガゼフたちをコテンパンにしてもらう。窮地に立たされてもはやこれまで!で華麗に助っ人登場だ。これで我々の地位は爆上げ恩は売り放題。ナイス作戦!)

鈴木は息子に伝言で指示を出そうとし、ふと横を見るとエンリが何かブツブツ言っている。

(!?)

鈴木は驚愕した。

エリンからドス黒いオーラが立っているではないか!

耳をすませば「殺せ。殺せ。皆殺しだ!」と呟いている。

「え、エンリ!?どうした!?」

 

「サトル様、あの人たちが私の両親や村の人たちを殺したのですよね?だったらアクター様に皆殺しにして貰いましょう!これで皆んなも成仏出来ます。」

 

エリンは黒い微笑みを浮かべそう言い切った。

 

ーーーーー

 

(これは!めっちゃ負のオーラ出てんじゃん!俺、そうゆうのよく見えるんだわ。戦場特有の空気でトリップしちゃったか?これは不味い。なんだっけ"フォースの暗黒面"それに堕ちちゃうんじゃね?)

鈴木は昔観た20世紀に大ヒットした映画を思い出した。

あれも母親を殺された少年がドロドロしたものを抱えて大人になって2度と愛する者失いたくない思いから悪の手先になり結果自ら愛する人をその手にかけるバッドエンドだ。

(エンリにあんな変な黒い恐怖候みたくになって欲しくない。これは計画変更だ。)

 

((息子よ。聞こえるか?少々計画を変更する。相手の大将と数名は殺すな、無力化して捕らえるのだ。私も手伝う。))伝言を飛ばす。

 

そしてエンリに向かって

「エンリ、そんな事をすればお前もアイツらと同じになるぞ?復讐したい気持ちは分かるがここは冷静になれ。これからを考えるのだ。行くぞ?」

エンリを抱えフライを発動し前線に飛ぶ。

 

ーーーーー

 

「もはやこれまでかっ!」

ガゼフは周りを見回し膝をついた。

優勢だった戦局も次々と召喚される天使によって1人また1人と部下は倒されていく。助太刀のパンドラズ・アクターも常人離れした身体能力で攻撃をかわしているが防戦一方だ。

もう武技を使う余力も残ってはいない。

「サトル殿は逃げられただろうか、、、」ふと呟く。

 

「ガゼフ・ストロノーフ。よくぞ持ち堪えた、褒めてやろう。褒美に我が名を教えてやる、冥土の土産に持って行け。

スレイン法国六色聖典"陽光聖典"隊長、ニグン・グリッド・ルーインとは私の事だ!」

 

「貴様が六色聖典か!罪も無い村人を殺し一体何が目的だっ!」

 

「知れた事よ。全てはお前を誘き出す為の餌。村々を襲えば必ずお前は出て来る、そして出て来た所を殺る。」

 

「卑劣な!そうまでして何故俺の命を狙う!俺の命が欲しくば正々堂々と挑めば良かろう!」

 

「だからお前は殺すのだ。分からんか?お前のその力が邪魔なのだ。時世に流されて物事を深く見据えない、なのに力だけはあると来ている。邪魔なのだよ、ガゼフ・ストロノーフ。」

 

「くっ!」

 

「そこまでにしてもらおう。スレイン法国の皆さん。」

 

空から少女を抱えた漆黒の騎士が舞い降りる。

 

「サトル殿っ」

 

「何者だ!?貴様、、、そうかその赤い鎧の仲間か。大方、王国に金で雇われた犬であろう。」

 

「ウヌら如き外道に犬呼ばわりとは落ちたものだな。ニグンとか言ったか?ここからは私と息子が相手になってやろう。但し、今この場で降伏するのなら皆殺しにはせん。私は慈悲深いのでな。」

 

「な、なにを戯言!精魂尽き果て、お前の息子とやらはもはや何の役にも立たんわ!良かろう、死に急ぐならガゼフ共々地獄へ送ってやる!あの世で父子仲良く暮らすが良い!」

 

「なるほど、無知とは恐ろしいな。よかろう、息子よ、ナザリックの威を示せっ!」

 

「はっ!」

「武技・六光連斬改っ!ダース(12)アタックっ!」

 

「な!?あの技は!俺の!それも倍に強化されているだと!?」

 

刹那。パンドラズ・アクターから放たれた斬撃は付近の天使たちを全て切り裂さき消失させた。

見えなかった。その太刀筋、動き、空気さえ動かなかった。

 

(ほう、、、姿をコピーする時にその能力もコピー出来る。ならば一度見た能力だけをコピーする事も容易いという事か。更にガゼフとのレベル差を考慮すると倍加も成り行きか。)

 

「あ、、ありえんだろう!?お前は防戦で一杯一杯だったはず。何処にそんな力があったと!」ニグンの背に冷たい汗が伝う。

 

「学ぶ事もまた戦いには重要ですよ。天使らの技量を学び、ガゼフ殿の技を学ぶ。戦いとは常にその先を見据えるもの。"今"だけを見ていた貴方は、戦う前に負けていたのです。」

パンドラズ・アクターはニヤリと笑い剣先をニグンに向け言い放った。

 

(さすが我が息子。なかなかのキメ台詞じゃないか。お前はもう死んでいる、だっけ。似てるな。)

 

「お、お前たち!何者だっ!」

 

「ふ、王国に雇われた犬さ。ただ、この"犬"は少々我儘でな。ヒトの言う事を聞かんのだ。」

 

「ふざけおって!目に物を見せてやる!全軍傾聴っ!今から最高位天使を召喚する!全員で時間を稼げ!」

ニグンは懐から水晶玉を取り出した。本国を出る際に念の為と持たされた魔法を封じ込めている水晶玉だ。

(まさかコレを使うとは、、、しかしここまでだ。我が力の前に死に絶えるがいい!)

 

「最高位天使召」

 

「時間停止」

 

(時間対策は必須だぞ?しかし魔法封じの水晶とはな。召喚されていた炎の上位天使と言いユグドラシルのまんま?謎が多いな、、、)

 

「息子よ、最初のマジックアイテムをゲットだ!少々ショボいが"ご新規"と言う事で大目に見てくれ。」

鈴木はニグンの手から水晶を取ってパンドラズ・アクターに放り投げた。

 

「おお!父上。初アイテムですね!記念に取って置きます。

中身は言っていた様に最高位天使なのでしょうか?」

 

「最高位って事は威光の主天使のはずなんだけどな、、、。俺もそれを想定して召喚させても良いと一瞬思ったんだよ。トレーニング代わりにな。でも勿体ないからな、トレーニングでゲット出来る初アイテムをパーにするのは、だから奪った。おっと、そろそろ時間切れだ。」

 

「、喚するっ!」

 

「陽光聖典隊長殿。一体ナニをドコから召喚するんだ?」

鈴木はパンドラズ・アクターの手の上にある水晶を顎でしゃくってみせた。

 

「な?なんだ!?どうやった?!どうやって水晶を奪ったのだ!」

 

「やれやれだな。六色聖典だったか?と言う事はお前の国には六つも戦闘部隊があるんだろう?チーム戦とかの訓練はせんのか?PVPでは時間対策は必須だぞ?習わなかったか?」

鈴木は呆れた様に大袈裟に両手を広げてみせた。

 

「時間を止めた、だと?そ、そんな事が、、、。」

 

「出来るんだよ。何の事もないただの第10位魔法さ。」

 

「じゅうい?第10位魔法、、、?それは正しく神の領域。

な!?するとっ!まさかっ!ぷ、ぷれいやー様!?」

 

これには鈴木が反応した。

「プレイヤーだと?お前は他にもユグドラシルプレイヤーを知っているのか?」

 

「父上!ここでは人目に付きます。」

 

「ニグンよ。俺は慈悲深い。最早お前に勝ち目はない。大人しくガゼフの縛に付け。そして罪を償うのだ。」

「エンリよ。ここでこれらの者を殺してもお前の闇は晴れんぞ?前を見るのだ、振り返ってはいかん。辛いのはわかる、だが乗り越えるのだ。わかるな?」

ニグンはうなされた様に「神よ、神よ」と呟き、エンリは黙って俯いていた。

 

「父上、エンリに何か御座いましたか?」

 

「ん。少しな。フォースの暗黒面に堕ちかけたのだ。」

 

「ふぉーすのあんこくめんっ!なんと香ばしいフレーズ!それはどの様なモノで?」

 

「後でゆっくり話してやる。まぁなんだ。俺が昔観た事があってな。簡単に言えば負の感情が満ちてしまうとその肉体も取り込まれてしまって取り返しが出来なくなるって事だ。」

 

「さすが父上。見聞が広い。大変興味深い話です、是非後ほど詳しくお願いします。」

 

「ガゼフ殿。法国の者は引き渡すので王国の法で裁きを受けさせよ。しかし、後でそのニグンに聞きたい事があるので少しだけお貸しいただきたい。」

 

「サトル殿。それぐらいの便宜は計らせてもらおう。此度のご活躍にはとても釣り合わないですがな。」

 

「ご活躍などと。偶々上手く戦意を喪失させられたのですよ。」

 

「しかし御子息殿には驚かされました。私の武技を初見で使いこなすとは。」

 

「あやつは器用でしてね。昔からなんにでも上手に"化ける"ことが出来るのですよ。」

 

「そう、、なのですか。化ける、、。まぁ私もサトル殿とはゆっくり話がしたい。後でお時間を頂戴出来ますかな?」

 

「造作もない。では色々と準備もお有りでしょう。私たちは向こうで待っています。」

 

「では、後ほど。」

 

ーーーーー

 

「父上、あの者どもを王国に渡して宜しかったので?」

 

「最初は皆殺しの予定だったのだがエンリの事もあってな。数名は泳がせる計画に変更したのだ。影の悪魔でも付けてやれば法国の情報は得られるからな。だがニグンからプレイヤーと言う言葉が出た。これは明らかにユグドラシルプレイヤーを指している。王国に連行するまで時間がかかるだろうからその間にニグンから色々と聞き出すつもりだ。」

 

「なるほど、エンリの一件は結果として怪我の功名だったと言う訳ですか。まさかそう言う事も予見してエンリたちを供にしたのですか?」

 

「う、うん、まあ、そんなところだ。」

 

「なんと!素晴らしい!このパンドラズ・アクター、感服いたしました。」

 

(んな訳ねーじゃん!何処の誰がエンリの暗黒面堕ち予想出来るよ?でも、まあニグンの事は儲けたかもな。完全に心折れてるから道中フレンドリーにしてプレイヤー辺りの事を聞き出そうっと。)ニグンはこの世界とユグドラシルについて何かを知っている。ひょっとしたら序盤の分岐点かも知れない。ニグンを殺しますか?YES NOみたいな。

鈴木は1つクリアーしたなとニヤリと笑った。

 

ガゼフの部下が走って来て言った。

「サトル様、アクター様、出発の準備が整いましたっ!」

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

天使さんはまだ玉の中です。多分パンドラズ・アクターのコレクションになっちゃったので金輪際出て来ません。なんか可哀想なので覚えていたら何処かで出してやりたいです。

本日も読んでいただき、ありがとうございました。
また次もお付き合い下されば幸いです。

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