地震で「ブラックアウト」回避、予防的に送電遮断…神奈川・静岡でも
2021年02月16日 08時33分 読売新聞
2021年02月16日 08時33分 読売新聞
2021年02月16日 07時55分 読売新聞
(写真:読売新聞)
福島県や宮城県で激しい揺れを観測した今回の地震では、東北から関東にかけての幅広い地域で最大95万戸が停電した。火力発電12基が停止し電力供給量が急減したのに対し、地域全体が全面停電する「ブラックアウト」を回避するため、一部地域への送電を遮断する措置がとられた。
停電は地震直後から発生。東京電力パワーグリッド(PG)管内では栃木県や神奈川県、静岡県東部など8県で最大86万320戸、東北電力ネットワーク管内では福島県や宮城県、岩手県、新潟県の4県で最大9万1897戸が停電した。
地震の揺れを受け、首都圏への一大供給源となる福島県の広野火力発電所(5、6号機計120万キロ・ワット)など福島、宮城、茨城3県にある火力発電が相次いで運転を停止した。設備に損傷がないかを点検した。
電気は、使用量に対して発電量が少ないと周波数が乱れ、地域全体が一斉に予想しないタイミングで停電するブラックアウトを起こす。医療機関や交通などにも停電が広がり、深刻な被害をもたらす。
2018年の北海道胆振東部地震では、大型火力発電所や水力、風力の発電が停止したが、送電調整が間に合わず、北海道全域約290万戸が停電するブラックアウトに陥った。復旧には2日間を要した。10年前の東日本大震災では原子力発電所の停止により、事前に決めた地域で停電して使用量を抑える計画停電を実施した。
今回の地震では、東電などはこうした事態に備えて定めていた計画に従い、神奈川県や静岡県も含め一部地域で停電に踏み切り、使用電力を強制的に減らした。停電は東電管内で約3時間、東北電力管内で翌14日午前9時ごろまで続いたが、大きな混乱にはならなかった。
電力システムに詳しい秋元圭吾・地球環境産業技術研究機構主席研究員は「地震が多い日本では、一時的な停電はやむを得ない。今回は短時間に停電が解消できており、これまでの経験が生かされた」と評価する。