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失敗短編作品 投棄場 作者:唯乃なない
7/9

町内で最も会話攻撃力が高いおばさん

これまでのあらすじ:

ショッピングセンターで話し好きすぎて迷惑がられているおばさんに突如話しかけられる。

軽く挨拶して立ち去ろうとするが、おばさんの隙のない無駄話に立ち去ることが出来ずに苦しむ主人公。



 ……何の話をしているんだ!?

 犬の話をしていたはずだが、なぜ税金の話をしている……。

 いや、違う! いつの間にか醤油の銘柄の話になって……なっ、自動車保険の話!? 今度はきのこの話!?

 待ってくれ、なんなんだ……これはなんなんだ……一体何の話をしているんだ。

 もはや話の内容を理解することは100%あきらめたが、まさかなんの話題について話をしているのかすらわからないなんて。

 そんなことがありえるのか!?

 お前は今……なにを話しているんだ!?

 それは本当に日本語なのか!?


 お、落ち着け、落ち着くんだ。

 確かに日本語の単語は聞こえてくるし、文法も多少砕けているとはいえ十分理解可能な日本語のはずだ。

 よし、一つ一つの文章に不審な点はない。


 ……だめだ。

 一つ一つの文章の意味はわかるが、文章と文章のつながりが一切わからない。

 なんだ、この奇妙な会話は。

 俺は先程から曖昧な返事をしているだけだというのに、お前は延々とマシンガンのようにしゃべり続け、しかも話にまったくつながりがない。

 わけがわからない……わけが……わからない!!

 ダメだ、頭がおかしくなりそうだ。

 どうすればここを切り抜けられる。

 忙しいと伝えて切り抜けるしかないが、なんだこの会話密度は。

 さきほどから隙を探し続けているのに、一秒たりとも声をかけられる”間”がない。

 まさかお前は息をしていないというのか!?

 そんなわけはない!

 いくらお前がどれだけ奇っ怪な会話をしようとも、有酸素呼吸をしている人間のはず。

 どこかで呼吸を……よし、今息を吸っ……

 ……なんて早さだ!?

 くっ……なんとしても俺に隙を与えないつもりか!?


 今何時だ……8時35分!?

 馬鹿な! もう二時間半も足止めを食らっているだと!

 通りで足がしびれてきているわけだ。

 ん……そうじゃない。足だけじゃないぞ。

 な、なんだ……体中がしびれるような感覚……?

 こんな感覚は初めてだが、とてつもなくヤバイ予感がする。

 まずい、風景が歪んできた。

 気のせいか、胃もムカついてきている……いやこれは気のせいじゃない。

 か、体中が……体中がバラバラになるような……なんだこの奇妙な感覚は。

 う、う……だ、だれか助けてくれ。

 これはあきらかに神経系統が冗談抜きでヤバイことになっているぞ。

 おい、まさかこれが俺の最後の一日じゃないだろうな!?


 お、お前の奇妙な声と意味の分からない話の運びが原因だな!?

 まさかそんなことでこんなひどいことに……と思うが、お前の声の高鳴りにあわせて脳が悲鳴を上げているのを今感じたぞ。

 こんな微妙ながらも痛々しい感覚を味わったのは初めてだが、もうお前が原因で間違いない。

 頼む、もうやめてくれ。

 話すのをやめてくれ。

 せめて俺が「忙しいからこれで」と一言言うだけの隙をつくってくれ。

 このままではその一言も発することができずに俺の脳と神経はズタズタになりそうだ。

 すでに運動神経がおかしい。動けないんだ。

 頼む……頼む……

 神よ……あぁ!


 誰か、誰か助けてくれ!

 一言目の前の音波兵器に声をかけてくれ。

 そうすれば、この怪物の注意が逸れた隙に脱出できるんだ。

 頼む……頼む……誰か!

 なぜみんな遠巻きにしている!?

 誰かこの俺の状況を察しろ……察してくれぇぇぇぇぇぇぇ!!

かなり昔に思いついて書きかけたネタ。

しかし、前後を書くモチベーションがないのでここに投棄します。

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