とある検索ページを覗いてみたら、ヘッドフォンアンプを自作されている方のブログがあった。
割と手軽に作れそうだったので、これを実際に製作してみることに。
アンプ等以前のエントリは分かりにくいとも思われるので、もう少し解説を加えてみる。
その前に、「fet」と検索または表記されてる方を多く見かけるが通常は全部大文字表記である。
電気関係では大文字と小文字の使い分けに必ず意味があるので、間違わないでいただきたい。
そしてFETは「エフ・イー・ティー」と読む。「フェット」ではない。
まずは基本とも言える、FETを使用した電流増幅アンプから。
その次にオペアンプ+トランジスタ構成のタイプをシリーズで予定。
まず、プレーヤ直挿しよりも専用アンプを通した方が音質が良くなるのは何故か?
そんな理屈が分からなくとも、実際に効果を感じるのだからそれでいいとお考えの方もいるだろう。
答えは以下の通り。
携帯音楽プレーヤは内蔵の電池で動作している。
メーカーとしては気軽に楽しんでもらいたいとのことで、なるべく消費電流を抑えて長時間使えることが第一命題となっている。
だから、不都合を感じない程度まで音声出力も抑えられイヤホン等へ流す電流も小さめに設計されている。
電気信号を音に変換するにはそれなりに電流を必要としているのに、そこをケチっている。
では電流を増やしてやれば好転するのではないか?
一般的なヘッドホンアンプはこの理屈で作られているのである。
ところが、プレーヤ側出力手前のコンデンサがやっかいな働きをしてしまう。
電池を一つしか内蔵していないため、交流である音声を扱うときにはバイアス電圧を掛けている。
電池の電圧が例えば3.6Vであれば、その回路内ではバイアス電位を+1.8Vにしてそこを0Vと看做し設計している。
これで見かけ上±1.8Vとして動作するので音声を扱うことが可能になる。
そこまではいい。しかしそのまま出力するとその理屈は崩れ、無音時に1.8Vがそのまま出てしまう。
アンプ等の音声入力側としては0Vを中心に±両方に電圧が振れるように設計するのが常識なため、この1.8Vが出ないように出力端子の前にコンデンサを入れ直流をカットしている。
このコンデンサをカップリングコンデンサと呼称する。
実際に接続すると、カップリングコンデンサと入力側のインピーダンス(交流抵抗)によってHPF(ハイパスフィルタ=低域カットフィルタ)が構成されてしまい、低音域が減少した音になってしまうのである。
わざわざiPodの外装を開けて、Dockコネクタ内に別途コンデンサを仕込むような改造はまさにこの点を改善するためである。
今回のFETヘッドフォンアンプ回路は電流増幅だけ、電源も±両電源として設計されているのでカップリングコンデンサを必要としない。
電流を増やすことが主目的で電圧を増幅しない回路を「バッファ」と呼ぶ。電圧増幅率(ゲイン)を上げることも可能な回路もあるが、その場合でもせいぜい2~3倍程度のものに限られる。
参考にさせてもらったエントリはこちら。
回路図を見ると、2SK170と2SJ74を使った上下対称のFETパラレル接続回路である。その電源は±それぞれ電池1個で済み、小型化に都合が良い。他の型番のFETでは電源電圧が足りず動作しない。
これを作る。
全パーツ。入手先は秋月、千石、そしてマルツ。
【2009/10/13追記】
当初は画像にあるタカチ製ケース "MX2-6-6GS" を予定していたが、容積が足りず同じタカチ製 "YM-90" に変更する。
#2へ続く
ラベル:electronics アンプ