この春、グラクソ・スミスクラインから「ナイトール」が、大正製薬から「ネオデイ」が相次いで発売され、エスエス製薬の「ドリエル」とともに薬局の店頭に並ぶようになりました。「睡眠改善薬」と呼ばれるこれらの薬は、寝つきが悪い、眠りが浅いといった症状に効果があり、予想を上まわる勢いで売れているとのことです。

 では、この睡眠改善薬とは、具体的にはどういったものなのでしょうか?

 各社のWebサイトの説明によると、上記3つの睡眠改善薬は、どれも「塩酸ジフェンヒドラミン」という成分を含んでいるそうです。塩酸ジフェンヒドラミンは抗ヒスタミン剤の一種でアレルギーを抑える効果があるため、風邪薬やかゆみ止め、花粉症の薬などにも配合されているといいいます。

 しかし、最近「眠くなりにくい」という風邪薬が宣伝されていることからもわかるように、塩酸ジフェンヒドラミンには眠くなるという副作用があります。この副作用に注目して新たに認可を取り、寝つきの悪さや眠りの浅さを改善する薬として売り出されたのが、これらの睡眠改善薬というわけです。

  塩酸ジフェンヒドラミンは、昔から風邪薬として使われてきただけあって、比較的安全な成分だと考えられています。処方箋がなくても薬局で買えるのはそのためです。とはいえ、薬である以上は、使用上の注意を守る必要があります。たとえば、妊娠中の女性や子ども、ほかの風邪薬を飲んでいる人は飲むことができません。また、当然ながら眠くなるため、飲んだ後は車の運転や機械類の操作をしてはいけません。

 さらに、睡眠改善薬は病院でもらえるハルシオンといった「睡眠薬」ではないため、長期的な不眠の治療に利用することはできないといいます。ちょっとしたきっかけで生活パターンが崩れたとき、それを修正するために利用するくらいがちょうどがいいのかもしれません。

(2007/04/18)