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菅官房長官に意見して“左遷”された元総務官僚が実名告発「役人を押さえつけることがリーダーシップと思っている」

西岡千史週刊朝日
ふるさと納税制度を主導した菅義偉官房長官(c)朝日新聞社

ふるさと納税制度を主導した菅義偉官房長官(c)朝日新聞社

平嶋彰英・立教大特任教授(撮影 西岡千史)

平嶋彰英・立教大特任教授(撮影 西岡千史)

「地元に貢献したくて寄付する人もいる。そういう人間ばかりではない」と言うだけで、制度上の欠陥については理解を示してもらえる感じではありませんでした。「これはダメかな」と思ったのですが、資料だけは読んでもらいたいと思って、クリアファイルに入れて執務室に置いてきました。

 すると、その後にすぐ、内閣官房の職員が私の所にコピーをわざわざ返しに来ました。次には総務省の上層部からも電話がかかってきて、これ以上は何も言わないように忠告されました。

──翌年の7月に、平嶋さんは自治大学校長に異動となります。事務次官候補だった平嶋さんが省外に出されたことで、安倍政権に異論を唱えた人に対する「見せしめ人事」との声もあがりました。

 私の人事については、高市早苗総務大臣が記者会見で法令に則って「適材適所で任命する」と答え、菅さんも国会で「まったくの事実無根」と答弁していますから、私が何か付け加えることはありません。

 ただ、クリアファイルの件から年が明けた2015年の初めに、高市大臣から「菅さんと何があったの? 謝りに行ってきなさいよ」と言われたことはありました。ですが、官僚として制度上の欠陥を指摘するのは当然の仕事なので、謝る必要はないと思ってそのままにしていました。

 こういった経緯もあったので、人事については何かあるかもしれないなとは思っていました。

──官房長官に意見することに、怖さはなかったのですか。

 日本が戦争で負けたのは、米国と戦っても負けることはわかっていたのに、軍人を含む官僚たちが政治家に客観的な事実を報告しなかったからです。政治家にとって耳の痛い話でも、役人は事実をちゃんと報告することが仕事です。それをしなかったから、たくさんの悲劇が起きた。

 私としては、事実を伝えることは役人としての当然の仕事で、このことについては今でも後悔はありません。

──ふるさと納税では、地方自治体で働く職員の負担増も問題になっています。


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