第6章 頑張っても地獄になる

私は、宮城に転勤する際に、姫州の番組が見れるストリーミング機器を実家に設置した。 何故なら、宮城県ではT系のチャンネルが存在しないからである。
そのことについては、同僚の加藤さんも嘆いていた。
「私の地元福島で映るのに、そこより都会の宮城では電波が届かないのですね。」と。
その判断は宮城に転勤する際正解だと感じた。私は、宮城の放送については、 朝のニュース番組以外ははあまり見ていない。 その機器が面談後に繋がらなくなったのである。 その時に家族からの電話で、実家のWi-Fi会社を変更すると言うことで、 そのWi-Fi機器自体も変更すると電話が届いたのである。
その事を言山に言うと、「東出にやらす」だと。 こっちの気も知らないで…
そもそも、東出の家は宮城同様T系が存在しないし、 オレの家には入ってほしくはない。
そして私はしばらくテレビがない生活を送ることになる。
ところで、白石市内にも、T系が視聴できるかもしれないケーブルテレビが存在する。
ところが、Webサイトには、その旨が載っていないので、本当に見れるのかどうか怪しいのと、 地図上ではエリアギリギリでサービスを提供してくれないかもしれないといった弊害があった。
また、社宅なので勝手に工事をしてはいけないので相談しないといけないといった手間がある。
なので、その過程は見送りにした。
それを紛らわす為に私は動画アプリで某アイドルアニメで、 地元のローカルCMの再現を見て気を紛らわそうとした。 その時、懐かしいなー、と思いながら見てたりしていた。 私はローカルCMを見るのが好きで、 オタク並みに喋れる自信がある。
さて、そんな矢先、会社からクレームが入った。 自転車のマナーの件でのクレームになる。
因みに私の社宅から会社までは、歩いて30分ほどかかる。 その為自転車で通勤している。 しかし、他の多数は会社から近い為、徒歩でやって来ているのである。
会社のルールとして、自転車は降りて会社に出勤・退勤するといった決め事がある。 どうやらそれを破った輩がいるそうだ。
「貴方がやったの?」上司らは私に質問が飛ぶ。
「覚えていません。」
「そんなに記憶が曖昧なの?」
「(うるせぇよ、この田舎土民が。こんな田舎こっちも住みたかねぇわ)」
そんなこと言ったら私の首が飛ぶので、黙るしかなかった。
そして、その代償として、
「(こんなやつやから、T系も映らない田舎に飛ばされてストレス発散してるんやろ、 まぁ、お前ら田舎土民とは違ってオレには見れる技術があるんだがな。)」
…と無理矢理思い込ませることにした。
私はパニックになり、髪の毛を引っ張ってのけた。
「じゃあ、解決策として、自転車に乗らない方がいいんじゃないんですかね。」 との投げかけも飛んできた。
「(不本意でクソ田舎に飛ばされて使わせんってふざけんなや)」
私の意見としては、そんなに疑うなら、証拠の防犯カメラでも呈示して証明すれば良いと思う。
そんな上司らの態度に腹が立った。
その事件もあってかは知らないけど、私は、見事に4人の選別から外されることとなった。 まぁ、こんな輩とはこっちから願い下げだとも思っていたが。 その他には加藤さんも外される事となる。
このストレスをどう発散させるか、そうだ、東出をいじろう。
東出は、学生時代様々なトラブルを起こし叩かれていた。
ただ、東出をいじってるのは、周りが叩いてるので、便乗してやってる面が強い。
まぁ、オレが一番派手にやってるのは否定しない。 仕方ない、この世の中は、気違いは気違いで対処するのが礼儀なんやから。
私は、上司にやられたことを、東出にも同じようにやってのけた。 また、請求書も送れるように切手も買い、準備を行った。 ただ、それをやると、詐欺罪、脅迫罪で捕まってしまうため、保留をした。
さて、私の誕生日は6月の頭だ。それまでは米沢に帰らない決心はしていた。 その間も槍が凄かった。
私は、うっかり保険証を落としてしまったのである。
その際の翌日に顛末書を書かされる事となった。
上司の佐藤さんに「もし、紛失して、お金を使われたらどうするの?」とか、聞かれた。
「(じゃあ、そいつを倒すために原子爆弾を投下すればえぇんか?、 こっちも失くしたくて失くしてるんやないわ、困ってるのはオレの方も困ってるんだよ)」
と思いつつ、失くしたのは自分やし、私の不注意でもある。 私を思ってってことは伝わってる。あまり責める事は出来ない。 顛末書を書いてる間も訂正を求められる。
文章のやり直しが短時間に情報をバッと言われた。
また、自分の思った事を伝えると、
「それ、言う必要ある?」などとも言われた。
黙ったら、黙ったでそれこそ文句を言われる。
「私の態度が威圧的だと感じたら、営業さんに言ってください。」
「(オレも逆の立場やったら、佐藤さんと同じことしてるやろうし、言えるわけなかろう。)」
もう正直参っていた。そしてとどめに「もういいです。」である。
もう頭の中は狂い始めていた。
もう何言っても無駄だし話が通じないから話しても無駄だと思った。
まぁ、加藤さんも遅刻の件で同じ様に責められてはいたが。
加藤さんの場合は業務中居眠りが多い。その為彼もかなり苦労してるんだなと思った。
そして、誕生日である6月を迎え、米沢に帰還する。

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