森喜朗失言辞任 お笑い評論家が斬る「森氏に致命的に足りないのはボケる覚悟」
連載「道理で笑える ラリー遠田」
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の失言が波紋を広げ、森氏は会長辞任に追い込まれた。
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2月3日に行われた日本オリンピック臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言したことが問題になり、日本中から猛批判を浴びた。
森氏は言わずと知れた「失言王」であり、首相を務めていた当時から数々の舌禍騒動を起こしてきた。彼の失言のほとんどは、彼自身の内なる差別心や偏向した思想に基づくものであり、弁解の余地はない。
そんな彼の失言の根底にあるのは、悪い意味で過剰なサービス精神である。今回の発言に関しても、前後の文脈を読むと、単に女性全般を叩きたいというよりも、話が長い女性たちを引き合いに出して、いま組織委員会に所属している女性たちは話が長くないからすばらしい、ということを言おうとしている。特定のものをほめるために別のものを貶(おとし)めるという、あまり筋の良くない手法を用いている。
ここで重要なのは、そんな森氏の発言中に「笑いが起こった」と報じられていることだ。現に笑いが起こったのであれば、森氏自身が反省の色を見せていないのは当然だ。自分が軽口を叩いて、その場では笑っていた奴もいたのに、なぜ俺が責められるんだ。単純にそのように考えているのだろう。
そもそも、世の中で政治家などの失言として報道されることの多くは、聞き手を楽しませようとして口を滑らせた発言である。それはお笑い用語で言うところの「ボケ」にあたる。笑いを取ろうとして発せられたうかつな発言が、結果的に笑えないと見なされたとき、それが問題のある発言だということになる。
森氏の発言に現場では笑いが起こっていたようだが、それが本当に「ウケていた」と言えるのかどうかは疑わしい。森氏のような年配の権力者が飛ばした冗談らしきものに対して笑ってみせるのは、保身のためである場合も多いだろう。森氏と直接の権力関係にない大半の国民は、そのスベったボケを最悪の失言であると見なし、猛批判を浴びせた。