正しい理解と向き合い方は ワクチン学会に聞く[2021/02/09 23:30]
新型コロナウイルスのワクチン接種が来週にも始まります。安全性をどう正しく理解し、向き合うべきなのでしょうか。日本ワクチン学会の岡田賢司理事長に話を聞きます。
◇安全性をどう正しく理解し、向き合うべきか。
ファイザー製のワクチンでは、軽微な副反応として「腕などの痛み」「倦怠感」「発熱」といったものが報告されています。アメリカでは、痛みを感じた人が75%、倦怠感が50%、発熱が25%ほどということです。重大な副反応のアナフィラキシー反応は、新型コロナワクチンでは100万人のうち11.1人、インフルエンザワクチンでは100万人のうち1.3人に反応が出るということです。
(Q.安全性と、どう向き合えばいいのですか?)
岡田賢司理事長:「100%安全なワクチンは世界中どこにもないと思います。新型コロナにかかった時の重症度、ワクチンを打った時の有効性、ワクチンを打った時の症状、この3つのバランスで、ワクチンを打つかどうか決めて頂きたいと思います」
(Q.副反応としての発熱や倦怠感は、体でどんな事が起きていますか?)
岡田賢司理事長:「ワクチンは体にとって異物ですから、異物に対して体が免疫をつけるために、熱を出したり、だるかったりという症状が起こっているんだと思います」
(Q.どういった人はワクチン接種に気をつけるべきですか?)
岡田賢司理事長:「熱を出している人は、問診票で熱を測る欄があるので、そこで事前に分かると思います。妊婦さんに関しては、ハイリスクかどうかよく分からないのと、治験で妊婦さんをやっていないので、今回の優先接種の対象になっていないと思います。一番は、持病を持つ高齢者です。重症度が非常に高いと言われていますので、最優先に打って頂きたいと思います。過去のワクチンでアナフィラキシーなどの重篤な症状を起こしている人は、今回のワクチンは気を付ける必要があります。そうではなく、基礎疾患を持つ人は、事前にどんな病気を持っているということを申告して頂くことで、早めに打って頂くグループに入ると思います」
(Q.打つべきか迷っている人たちのためには、どんな仕組み・制度が必要ですか?)
岡田賢司理事長:「皆さん迷われていると思いますけども、世界中で起こっていること、国内で起こっていること、色んな情報を、国や学会などが集めて、正確な情報を包み隠さずに公開していくことが一番必要だと思います」
◇ワクチンで、日常生活はどう変わり、収束につながるのか。
(Q.世界で最も接種が進むイスラエルでは、60歳以上の80%が2回目の接種を受けていて、60歳以上の感染者が約45%減少、重症者も約29%減ったということです。日本でもこうした結果が期待できますか?)
岡田賢司理事長:「これはとてもに有効なデータで、多くの人の参考になるデータだと思います。必ずしもワクチンだけではなく、ロックダウンなどが効いているかもしれませんが、イスラエルでは多くの人がワクチンを接種すると有効だというデータが出てきていると思います」
(Q.日本では集団免疫を獲得できるのは、いつ頃できるになりますか?)
岡田賢司理事長:「ワクチンで集団免疫をつけようという考え方ですので、多くの人にワクチンを打って頂いて、免疫を持って頂くことで、日本全体で獲得できると思います」
(Q.ワクチン接種が始まれば、マスクをして三密を避ける生活を少し変えてもいいですか?)
岡田賢司理事長:「それはなかなか難しいんじゃないでしょうか。全ての人がワクチンを打たれる訳ではありませんし、ワクチンを打てない人もいます。ワクチンで感染者は減ってくると思いますが、今までやっているような手洗い・マスク・密を避けるといった感染症対策の基本は、もう少し続けて頂く必要があると思います」