コロナの後遺症か 不眠や食欲不振など精神面の不調訴える人も

NEWSポストセブン / 2021年2月13日 7時5分

梨田昌孝氏も退院直後、精神的な不調に悩まされていたという(時事通信フォト)

 まだまだ分からないことが多い新型コロナウイルス感染症。味覚や嗅覚の異常、脱毛などの後遺症に悩まされるケースも多いという。さらに変調は精神面に及ぶとする研究結果も少なくない。昨年3月に感染した元楽天監督の梨田昌孝氏(67)は、退院直後、精神的な不調に悩まされていたという。

「物音がすると隠れるとか、誰にも会いたくないという気持ちが強かった。マンションの部屋から出るのも怖くて、前向きに考えることができなくなりました」

 昨年12月に感染した清水忠史・衆院議員(日本共産党)も、「気分の落ち込み」を感じていると話す。

「これだけ市中感染が広がっているなかでも、やはり感染したのは自分の責任だと思ってしまうわけです。濃厚接触者の人たちにも検査や隔離を強いる結果となり、負い目や罪悪感にさいなまれました」

 コロナ回復者を多く受け入れているヒラハタクリニックの患者データでも、精神面の不調が関係すると考えられる症状は少なくない。

「不眠を訴える人が70.5%、食欲不振を訴える人は61.8%にのぼります」(ヒラハタクリニック院長の平畑光一医師)

 こうした症状の原因について、公平病院の院長・公平誠氏はこうみる。

「抑うつや不眠といった症状は軽症の若い人でも起きています。これは社会環境にも問題があると考えられる。感染したことによっていわれのない差別を受けるといった、社会的孤立が背景にあるのではないか」

 精神面の不調は後遺症として認識されにくく、誰にも相談できず悩みを抱え込む人が多い。

「周囲につらさが理解されず、『怠けているんじゃないか』『なんでもコロナのせいにして』と冷たくされて、孤独を深めていく。誰にも分かってもらえず半年を過ごして当院にたどり着いた患者さんがいて、精神科にも通っていたのですが、結局、自死された。後遺症そのものによる死亡リスクは低いと考えられますが、一方で自死のリスクにまで目が向けられないように感じます」(平畑医師)

 また、ヒラハタクリニックに訪れた後遺症患者808人のうち、168人が休職、13人が解雇に追い込まれている。経済的な問題まで生じ、その不安からさらに症状が悪化する懸念もある。

 複合的な原因が考えられるため、前出・公平医師は「症状をどう改善させるかは、非常に難しい問題だ」と指摘する。

「抗うつ薬や抗不安薬などの薬だけで解決するのか疑問です。患者さんを取り巻く環境をより良くすることが大事で、コロナサバイバーの人たちの周囲、そして社会全体がサポートできる仕組みが必要だろうと思います」

※週刊ポスト2021年2月19日号

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