「週刊文春」2月10日発売号で報じた、ロイター東京支局に勤務する外国人記者が2週間の健康観察期間中にパーティーに参加し、参加者から新型コロナウィルスの変異株が検出された問題。この外国人記者が、「週刊文春」の取材を受けた後、ロイターを退社したことがわかった。
ロイター記者のA氏は12月中旬に休暇をとって、変異株が猛威をふるうイギリスへ一時帰国。A氏は12月22日に日本へ再入国し、空港でPCR検査を受けたところ、結果は陰性だった。ただし、コロナの潜伏期間は最大で14日程度とみられており、判定ミスや後から発症する場合に備えて、日本政府は入国日の翌日から起算して2週間の健康観察(自宅待機)と健康状態の報告を要請している。
だが、A氏は12月25日に港区内のパブで友人ら9人とのパーティーに参加。このパーティーの参加者から1名、A氏の婚約者の2名が年末から年始にかけて発症した。正式な検査を受けたところ、2人は変異株による感染だったことが判明。2人ともA氏の濃厚接触者にあたり、「状況証拠から、この男性(A氏)から2人に感染したと推定しています」(厚労省新型コロナウイルス感染症対策推進本部の担当者)。ただ、A氏はコロナに感染はしたが、発症から時間が経過しておりが、調べられるウィルス量が少なく変異株を検出できなかったという。
外務省は、感染症危険情報レベル3(渡航中止勧告)を発出している中、ロイター記者のA氏のように在留資格のある駐在員は“特段の事情”があるとして再入国を認められたとみられる。
「外務省及び厚労省は12月24日からイギリスを変異株流行国に指定すると、再入国外国人に対する検疫措置強化で接触確認アプリ(COCOA)のダウンロードや位置情報の記録について誓約を求めるようになったが、12月22日に帰国したA氏はその直前に滑り込んだ形でした」(厚労省関係者)
現在、厚労省は、1月14日から全ての入国者に対して入国時に14日間の公共交通機関の不使用や、自宅または宿泊施設での待機などの誓約を求め、制約に違反した場合は氏名、国籍の公表とともに、在留資格取消や強制退去手続きもあり得るとしている。