元海上自衛官の平岡誠さん(40)と野間佑平さん(39)が、岩国市由宇町で設立した農業生産法人「デナリファーム」のイチゴ栽培が好調だ。昨年12月の初出荷以降、市内のスーパーや直売所をはじめ、広島市内の百貨店など山口県外でも販路を拡大。地域で雇用も生んでいる。
ハウス8棟(計23アール)に昨年9月、苗を植え付けた。12月中旬、JA山口県の農産物直売所「FAM's(ふぁむず)キッチンいわくに」に初めて30パックを出荷。地元スーパーやコンビニなど順調に店頭に並び、1月中旬からは、そごう広島店(広島市中区)でも販売されるようになった。現在1日150〜200パックを出荷し、17店舗まで取り扱いが広がった。
摘果やパック詰め作業で、主婦らパート10人を雇用している。「予想以上に販路が広がり、1年目にしては順調。評判もいい」と野間さん。平岡さんは「新型コロナウイルスの影響で価格が低迷し、売り上げはそこまで伸びないが、今はどんどん出荷して実績を作る時期」と話す。
愛媛県出身の2人は高専の同級生。卒業後はともに海上自衛官になり、2017年にそろって退官。由宇町でハウス栽培の研修を受け、19年12月、デナリファームを立ち上げた。
錦町の耕作放棄地だった農地1ヘクタールで栽培するサツマイモの出荷も軌道に乗った。地元の障害者福祉施設に商品化の仕事を発注するなど農福連携も進める。平岡さんは「きちんと稼げる農家になって雇用を生み、地域に必要とされる会社を目指す。由宇のイチゴとして広く知ってもらえるようになりたい」と決意している。(有岡英俊)