“スムーズ接種”順調な理由と課題…記者が報告[2021/02/08 23:30]
イギリスでは去年12月から新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、スムーズに進んでいます。ロンドン支局の大平一郎支局長の報告です。
(Q.15時間のオンライン講習を受ければ、医療従事者でなくてもワクチンの接種をできるということですが、安全面はどうなのでしょうか。取材されてどう感じますか)
ワクチンを接種するボランティアは、副反応の対処も含めて講習を受けていますので、大丈夫だと思いますし、必ず医師などのスーパーバイザーが横についていますので、安心感はあります。イギリスのワクチン接種会場を取材して感じるのが、社会全体でこの計画を支えようという一体感です。そして、もう一つ、ワクチン接種がうまくいっている背景には、ある女性の存在があります。政府は、去年5月にワクチンのタスクフォースを立ち上げました。そのトップに製薬業界に強いベンチャーキャピタルの幹部、ケイト・ビンガムさんを据えました。この方がワクチン調達に非常に強いリーダーシップを発揮したといわれています。この官民共同のタスクフォースが準備をして、着実に推進してきたということが、いまにつながっていると思います。
(Q.これまで接種を進めるなかで、課題は出てきたのでしょうか)
イギリスでもワクチンへの不安感は根強いものがあります。去年11月の段階で「ワクチンを受けたい」と言っていた人は7割以下でした。ワクチン接種が始まって以降の先月には8割にまで増えました。政府がワクチンに関する情報公開をしっかりしたというのもありますが、一番、大きかったのが、94歳のエリザベス女王と99歳のフィリップ殿下が受けたというニュースです。このニュースが、特に高齢者への安心感につながったと思います。情報公開、そして、安全性の伝え方といったコミュニケーションというのが、日本でも今後、大きな課題になるのではないかと思います。