ファイザー社の新型コロナウイルスワクチンの高い有効性に対する疑問

世界で最も権威のある医学雑誌の一つとして有名なBMJ(British Medical Journal誌)がホームページでファイザー社の新型コロナウイルスワクチンの高い有効性に対する疑問を表明しています。
https://blogs.bmj.com/…/peter-doshi-pfizer-and…/


ファイザー社の新型コロナウイルスワクチンの臨床試験の報告論文は以下になります。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2034577


疑問を表明しているのはBMJの副編集長であるPeter Doshi博士で、以下のいくつかの点について、早急に生のデータの公開が必要としています。


①covid-19疑い例が大量に削除されている


最終結果で、PCRで確認されたcovid-19症例は170例(ワクチン群8とプラセボ群162)であった。これにより95%以上という劇的な有効性を示している。注:プラセボとはワクチン成分が入っていない砂糖水と考えるとよいでしょう。


しかし、この結果にはcovid-19の疑い例(covid-19の症状はあったがPCRで確認できなかった例)が削除されている。この疑い例が合計3410例(ワクチン群1594、プラセボ群1816)と確認例の20倍にも達している。


疑い例を含んで計算し直すと、ワクチンの有効率は約19%にまで低下する。
接種後7日以内に発生した症例(ワクチンによる発熱などの影響を除くため)をカットした後でも、有効性は約29%になる。


陽性のPCR検査結果がなかったという理由だけで疑い例を無視することはできないはずである。


②分析から除外された371例が不自然である


最終的に分析から371例が除外されている(ワクチン群311とプラセボ群60)。 ランダム化されたグループであるはず(つまり同じくらいの数になるはず)なのになぜ5倍もの違いがあるのか?全く不自然である。

③発熱および鎮痛薬、非盲検化など


解熱剤などの治療薬の使用はcovid-19症例の検出を見逃してしまう可能性が高い。実際にはワクチン群で非ワクチン群の3~4倍使用されていたが、この違いにより結果に影響を及ぼしている可能性がある。


また、この結果は、適切に盲検化(結果を公正に判断するために打った人も打たれた人も接種がワクチンかプラセボかのどちらであるかを知らないこと)されたとは思われない。


④Covid-19既感染者が含まれている?


ファイザー社の報告書を基にした博士の独自の計算によると、ベースラインでSARS-CoV-2陽性の人々(つまり既感染)から確認された症候性のCovid-19の8例を報告したと思われる(ワクチン群1、プラセボ群7 )。


世界中での再感染の報告が今のところ4~31例しかいないのに、試験総数わずかに数万人、追跡期間2ヶ月で9人もの再感染が確認されたことになるのか?また、これを含めた解析データは信用に値するのか?


以下は私のコメントです。


まず「ワクチンの有効率」の意味は、一般の人のイメージと大きく異なることは以前の記事に書きました。


「ワクチンの有効率とは」
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2861157144209286


つまり、たとえ今回のファイザー社の新型コロナウイルスワクチンの有効率が論文の報告通り95%以上ととても高くても、この数字は、発症しなかったほとんどの人の評価が含まれていません。そして、実際ワクチン試験中のほとんどの人は発症していません。


今回のPeter Doshi博士の疑問は、ファイザー社の医学論文ではなく、ファイザー社がFDA(米食品医薬品局)に提出した報告書の独自の解析から生じた疑問を書いています。とても専門的な分析になりますが、もしかしたら、実際の有効率は報告よりかなり低い可能性があることを示しています。


ファイザー社のこのワクチンは、現在世界中でもっとも注目され、実際に非常にたくさんの人に投与されることになるワクチンになりますので、もっとも慎重に調査、報告、査読、検証されなければなりません。開発元のファイザー社は、もちろん誠実に答える必要があるでしょう。


これまでに書いたコロナウイルス関連の記事は以下にまとめています。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2728645230793812

関連記事

no image

今シーズンの日本の超過死亡・超過死亡④ 「COVID-19第1波のまとめ④」

今回は、日本の今シーズンの超過死亡についてになります。 超過死亡のデータは、後で必ず必要になると思いますので、淡々と続けていきます^^ 今までの超過死亡の記事はリンクを参照して下さい 結論は、今シーズンの日本では、インフルエンザ、COVID-19ともに超過死亡は発生していないか、発生していてもごくわずかであることが予想されます。 以下、詳しい説明になります。 実は、日本では超過死亡は古くから解析されており、超過死亡を迅速に計算できるシステムがあります。 https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/2112-idsc/jinsoku/131-flu-jinsoku. […]

no image

麹造りの開始

今年も無事にお米が収穫出来ましたので、早速、新米で麹造りの開始です。 使うお米は、いわゆる「くず米」になります。 くず米とは欠け米、割れ米、死米、未熟米、異種穀粒など現代では食用に適さないとされる米になります。流通する値段は、キロ当たり80円ほどで、通常は鳥などへの飼料用に使われます。食用の米は玄米で、キロ当たり安いもので250円程、ブランド米では500円程のものもありますね。 お米づくりをすると分かりますが、必ず一定量のこの「くず米」が発生します。 かつては、ほとんどの庶民(農民であり小作人)は、年貢などで納めるために、お米自体を食べられなかった時代もあります。主食はヒエやアワ、ソバなどの雑 […]

no image

月刊「壮快」2018年12月号「腸内細菌が喜ぶ食事で腸内細菌を復活させよう」

健康雑誌の月刊「壮快」に「自然派医師が土をいじる。菌とたわむれる。」という記事を連載中です。 今月号(2018年12月号)は連載第12回目「腸内細菌が喜ぶ食事で腸内細菌を復活させよう」です。 世界の食をみると、暮らす国や地域により全く内容が異なります。現代のような流通がない時代は、自分の住む環境から得られるものしか食べられませんでした。しかし、それでもほとんどの人は健康に生きてきました。 例えば・・・ ・私は動物性とくに四つ足動物の摂取をあまりお勧めしていませんが、イヌイットはかつて動物性食品100%(植物が育ちません)で皆元気に生活していました ・マサイ族は、これまた私がお勧めしていない牛乳 […]

no image

新型コロナウイルスの遺伝子変異は今のところ重症化と関係していない

世界中から報告された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の全ウイルス(総数183,422ウイルス)の遺伝子の変異を解析しました。 ぜひ、前回の記事も参照してください。https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2891197281205272 結論は、前回書いた様にとてもシンプルです。「現在までに新型コロナウイルスのたくさんの遺伝子変異(いわゆる型)が報告されてきたが、遺伝子(型)の違いにより重症度に大きな違いは認められない」 今回は、各地域の結果を紹介する前に、理解しやすいように、新型コロナウイルスの遺伝子解析についての基本的な知識をまと […]

no image

月刊「クーヨン」2018年12月号「乳幼児健診で医療者が見ていること」

オーガニック系育児雑誌「クーヨン」の今月号(2018年12月号)が発売になっています。 今回は、なんと巻頭に私の初めての本「病気にならない暮らし事典」の企画、立案、編集をしていただいた落合加代子さんが、登場されています。 https://www.amazon.co.jp/病気にならない暮らし事典-自然派医師が実践…/…/4860087070? 落合さんは、現在東京都国立市でシェアハウス「コトナハウス」を設立されており、それが「こどもの居場所・つくるひと」という記事で紹介されています。 落合さんにはお世話になり、本当にありがとうございました。世界は狭いですね^^ 今月号の特集は「子どもの健診活用 […]