オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

こんにちは、フォトグラファーのnano(@nanono1282)です。「はじめてのフィルムカメラ」第6回は、フィルムの種類についてです。

私は主にフィルムカメラを使って撮影していて、現在は撮りたいイメージによってフィルムを選んでいます。しかし、私もフィルムカメラをはじめたての頃は、どんな種類があるのかまったくわからない状態でした。少しずつ試しながら特徴を覚えているうちに、フィルムカメラの奥深さにどっぷりはまってしまいました!

今回はそれぞれのフィルムの持ち味を、愛用カメラのFE2で撮影した作例と一緒に私目線でご紹介していきたいと思います。個人的によく使うオススメフィルムも紹介しているので、ぜひフィルム選びの参考に読んでみてくださいね。

※今回いろいろな作例を載せていますが、撮る状況によって仕上がりが変わるので、あくまで参考程度にみていただければと思います。

 

 

フィルム選びのポイント

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

 

フィルムは種類によって色表現や粒子感が変わります。その人の撮るスタイルや色の好みによって相性があるので、実際に使ってみて自分に合ったフィルムを見つけていきましょう!きっと、強力な相棒になるはずです。

また、同じ種類のフィルムでもISO感度の違いもあります。場所によって向き不向きがあるので、使いわけましょう。

  • ISO100~200:明るい場所(晴天の屋外撮影など)※私はISO200を使うことが多いです
  • ISO400:明るい場所〜少し暗い場所まで幅広く使える(くもり・屋外・屋内)
  • ISO800:暗い場所(屋内撮影など)※粒子感が強く出ます

ISO感度の詳細はこちら

 

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~
オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

左の写真はISO200のフィルム、右の写真はISO800のフィルムで撮影。

 

フィルム撮影の場合、フィルムごとの特徴をどう撮影に生かしていくかがとても大事だと思います。
…ということで今回は、一般的で選択肢も多いカラーのネガフィルムの中から、定番に加えてプロ向け、特殊なものまで、計8種類をご紹介したいと思います。

 

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

 

各フィルムは家電量販店や写真屋さんなどで手に入りますが、私は常にストックしておきたいので常用のものはネットで購入しています。ただ、特殊なものはネットの方が高かったりもするので写真屋さんをチェックして安いタイミングでまとめ買いすることがオススメです!

 

FUJIFILM C200

値段を含め常用として使いやすいオーソドックスなフィルムです。はじめてで何を買ったらいいのかわからないという方にオススメ! フィルム自体のくせは少ないので、写りで個性を出したいときは不向きかもしれません。

※「C200」など、フィルム名に入っている数字がISO感度を表します。

 

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

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オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

 

色味にくせがなく、暖色・寒色ともに素直な色になります。粒子感はきれいすぎず、粗すぎずな絶妙なバランスだと思います。基本的には屋内・屋外どちらでも写りますが、くもりの日はマゼンタが強く出るので、色が多少くすむ場合があります。

 

FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400

だいたいの写真屋さんで手に入る、ISO400のフィルム。ややお値段は高くなりますが、色の描写が鮮やかでコントラストもきれいに写ります。そこまで主張は強くなく、感度も高いフィルムなので、常用としてコンパクトにも一眼レフにも使いやすいフィルムです。

 

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

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オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

 

写りはすごく素直で、はじめての人でも扱いやすいと思います。このフィルムで好きなところは、黒(シャドー)と色がしっかり入るので、見たままの写真にしてくれること。少し暗い場所で撮影するときや絞ってシャープに撮りたいときにオススメです。

FUJIFILM PRO400H

お値段はやや高めですが、人気のフィルムなので置いているお店は多いです。淡い青みが特徴で、彩度やコントラストも低くやさしく仕上がります。

 

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

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やさしい青と粒子感があるので爽やかで温かい写真になります。個人的には、このフィルムではポートレートよりもスナップで街中を探索しながら撮る方が好きです。思い出の1枚のような景色が撮れる…かも。

Kodak Ektar 100

値段は高めですが、手に入りやすいKodakの人気フィルム。彩度が高くきめ細やかな粒子が特徴です。

 

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

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このフィルムは、粒子感が少なく肌がきれいに写るので、ポートレートに向いています。直射日光だとかなり鮮やかになってしまうので、光を少し遮ってやわらかくするととてもきれいな写りになります。スナップで動きながら撮るよりも、ゆっくり丁寧にポートレートを撮りたいときにオススメなフィルムです。

Kodak ULTRAMAX 400

KodakでISO400といえばULTRAMAXが有名で、だいたいの写真屋さんで手に入ります。彩度とコントラストは高めで、Kodakの中でもシャープな描写です。

 

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

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オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

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1枚目は絞って撮っているのでシャープな写りですが、開放気味で撮ってうまく光をとらえると、2枚目のように一気にやわらかくてやさしい雰囲気の写真になります。コントラストが強いせいか、絞って撮ると色味が強く出すぎてしまう場合があるので、やさしい光の状況下や街撮りスナップが合うなぁと感じています。

Kodak PORTRA 400

ポートレートのフィルムの王様。鮮やかなのにやさしくてきれいな描写です。値段は少し高いですが、持っていて損はない良質フィルムです。

 

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

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光と影の階調がとても繊細に写ります。Kodakならではの黄色みも入るので、人の肌もきれいです。モデルさんをしっかりアップで撮りたいときや、明暗差があるところ(室内・木漏れ日)でオススメ。ISO400なので、露出の融通が利くところも扱いやすいです。

Lomography Color Negative 400

こってりとした独特の色味が特徴のLomography 。中でも人気なのがこのISO400フィルムで、くもりでも晴天でもしっかりとした写りをします。写真屋さんでもメーカーのオンラインショップでも手に入ります。

 

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

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オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

 

色味が濃く、個性的で印象的な1枚に仕上げてくれます。私の場合、「今日は遊んで撮りたいなぁ」というときに使うことが多いです。色味が強いので、良くも悪くも期待を裏切られる作品になることも。予想できなくて愛おしい、ドキドキ感を味わえるフィルムです。

CineStill 800T

映画用の材料で作られたISO800のフィルムです。映画の1シーンを切り取ったような独特な青み。高価なフィルムですが、一度は絶対に使ってみてほしいフィルムです。

 

オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

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他のフィルムではマネできない世界観を表現できます。ISO800なので粒子感はありますが、そこも含めて映画のような雰囲気が出ます。夜と室内の状況下だと、落ち着いた少しダークな雰囲気が出てオススメですよ。裸電球では光が赤くなるので、特徴をつかみつつ楽しんでほしいなと思います。

私のオススメ3本

8種類のフィルムをご紹介してきましたが、私が普段から特によく使っているオススメ3本をぜひ紹介したいと思います!

  1. FUJIFILM C200:撮るものを選ばないオーソドックスなフィルム
  2. Kodak PORTRA 400:光と影の階調が繊細で、肌をきれいに見せてくれるので特にポートレートにオススメ
  3. CineStill 800T:映画のような独特な雰囲気、いつもと違う写真を撮れるフィルム

この3本の魅力をもっと伝えるため、思う存分シャッターを切ってきたので、ぜひご覧ください。みなさんが気に入るフィルムと出会えますように!

 

 


FUJIFILM C200

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マゼンタが入るので曇天時は雲がピンクになりがちですが、C200で撮った晴天の空が一番好きです。個性が出にくいフィルムだからこそ、撮るもので個性が出るフィルムだなぁと思っています。撮る側の意図も素直に受け入れて一緒に作品を作ってくれる、そんなスタンスも含めて気に入っています。

 

 

Kodak PORTRA 400

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オススメのフィルム8種を撮り比べ ~種類で変わる写真の世界観~

 

大事なポートレート撮影なのに、フィルム選びを失敗した…って本当にショックですよね。そんなときこそPORTRAを使ってみてください! 陰影がある晴天時にはくっきりと(1、2枚目)、室内ではやさしい色に(3枚目)、曇天時でも色はしっかり乗り(4枚目)、ISOも400なのでどんな条件下でも安定して撮れる優秀なフィルムです。ただお値段が高いので、ここぞというときに使うことをオススメします。

 

 

CineStill 800T

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この写真、青みを足しているわけではないんです。もともとのフィルムの特徴で、映画用タングステンの独特の青みです。CineStillは普段見ている景色とは異なる世界を創り出してくれるので、いつもの撮影にちょっとしたスパイスを入れてくれます。私はこのフィルムを買ったら、「この子とどうやって遊ぼうかな」とあれこれ妄想してから撮影イメージをかためます。ここまで新しい世界を見せてくれるフィルムって、唯一無二だと思います。

 

Photographer’s Note

各種フィルムの特徴まとめ

1.FUJIFILM C200:色のりがよく、くせが少なくてオーソドックス

2.FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400:はっきりした描写で色鮮やか

3.FUJIFILM PRO400H:淡い青みで、やさしい質感

4.Kodak Ektar 100:彩度・コントラストともに高く、粒子感も少ないためきれいに写る

5.Kodak ULTRAMAX 400:彩度やコントラストが高めで、シャープな描写

6.Kodak PORTRA 400:肌色がとてもきれいに写り、光と影の描写が美しい

7.Lomography Color Negative 400:独特のこってりした色味が特徴

8.CineStill 800T:映画の1シーンのような他ではマネできない世界観

 

正直、まだご紹介できていないフィルムがいっぱいで心苦しいのですが、少しでも参考になればうれしいです。フィルム×カメラ×シチュエーション×現像(写真屋さん)…この組み合わせ次第で、どんな仕上がりになるか(個性)が大きく変わってきます。

「なんか難しそう」って思ってしまうかもしれませんが、遊ぶようにいろいろ試して実験して、自分の好きな組み合わせを見つけてみてください。デジタルもフィルムも一緒で、簡単にはうまくいかないから、正解がないから楽しいんです!

好きな組み合わせがはまったとき、誰とも似つかない“自分だけの写真”が撮れる…と思っています。私がフィルムカメラに出会って人生が豊かになったように、みなさんのフォトライフがもっと豊かになりますように。

 

Supported by L&MARK

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Item

20190523173947

FE2

20190523173954

Nikkor S Auto 5cm F2

20190523173953

Nikkor-N Auto 24mm F2.8

※フォトグラファーの作品性を尊重して機材を選択・撮影しています。
※AI改造済みのNIKKOR-S Auto 5cm F2およびNIKKOR-N・C Auto 24mm F2.8でなければFE2に装着できませんので、ご注意ください。

Photographer

Fujikawa hinano

Fujikawa hinano

Instagramで作品を投稿。グループ展やメディア執筆など、幅広く活動中。「日常と非日常の中にある曖昧さ、そして感情を丁寧に表現したいと思っています」