分厚い豚肉をニンニクと特製ソースで焼き上げたスタミナ料理

分厚い豚肉をニンニクと特製ソースで焼き上げたスタミナ料理

2016/03/18

四日市のB級ご当地グルメ・とんてき。発案者の下で修業し、のれん分けを許された店主が作るとんてきは、豚肉と特製タレのうまみがかたまりのように押し寄せる圧倒的な味わい。メニュー豊富な中華料理店でありながら、訪れる客の6割が注文するという看板メニューに迫ってみた!

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

発案者の下で修業し、のれん分けを許される

地域おこしにB級ご当地グルメを活用する動きが全国で盛んだ。三重県四日市市も「とんてき」を名物にしようという動きがある。

四日市で食べられているとんてきとは、分厚い豚肉をニンニクと共に焼き上げ、濃いめのソースを絡めたもの。もともとは近鉄四日市駅そばで営業していた中華料理店「來來憲」を発祥とする。1951(昭和26)年にとんてきが登場すると、スタミナ料理としてたちまちに名物になっていった。

店主の橋本勝博さんと妻の洋子さん。橋本さんは中華の料理人なので、とんてき以外のメニューも豊富にそろう

「まつもとの来来憲」店主の橋本勝博さんは、とんてき発案者の下田憲雄親方の下、修業を重ねてきたひとり。1978(昭和53)年には晴れて下田親方からのれん分けを許され、自分の店を持つことになるが、親方から出店を勧められた場所は商店も人通りも少ない市街地から離れた場所。不安に思いながらもそこへ店を出す橋本さんだったが、親方の読みが当たり、次第に人や店がにぎわう場所へと発展していった。

「親方の言いつけを守りやってこられた。先見性といい、親方はすごい」。橋本さんは親方への尊敬を今も口にする。

四日市市街地より西よりの通称・松本街道と呼ばれる通り沿いに店が立つ。繁忙時には外に行列ができるほどの人気だ

豚肉とタレのパンチのある味

とんてきには、肉厚で柔らかく、甘味の強い三重県産の豚肩ロース肉を使用。それを1人前250g使い、火が通りやすいようグローブとも称される独特の形に成形し、ラードで揚げ焼きに。仕上げにウスターソースをベースに数種のスパイスや生のニンニクを使った特製のタレを絡める。

少しスパイシーな特製タレの味、香ばしくてコクのあるラードの風味、そして豚肉の甘味が合わさることで、旨味のかたまりと言えるパンチのある味が完成。肉と一緒に揚げ焼きされたニンニクが、さらにガツンとうまみをプラス。そのくせくどさは感じられず、食べやすさも損なわれていないので、女性や年配の人もぺろりと平らげられる一皿となっている。

「特製タレだけでこの味は出せません。肉のエキス、ラード、ニンニクの味が一体となることでまろやかさがでるんです」。
橋本さんは、この味は様々な要素が絡み合ってできたものだと説明してくれた。

たっぷりの千切りキャベツを添えたとんてき。「大とんてき定食」(1725円)には、ご飯、豚汁、漬け物がセットに。ニンニクの増量も可能(有料)

最近では定番のソース味に加えて、塩、味噌、醤油などさまざまな味のとんてきも登場。持ち帰りもでき、とんてきの通販も行っている。全国のご家庭でも四日市名物を味わってみてほしい。

※掲載の内容は2016年3月時点の情報に基づきます。
※2019年5月に店舗(住所、電話番号、営業時間など)、メニュー、料金などの一部情報を更新しました。

この記事を書いたライター情報

Yahoo!ライフマガジン編集部

Yahoo!ライフマガジン編集部

グルメ、おでかけ、イベントなど、ライフスタイルを豊かにする情報を編集部が厳選して紹介します。

おすすめのコンテンツ

連載