忍者は知っている!?冷凍野菜・真の実力を引き出す裏ワザSP

忍者は知っている!?冷凍野菜・真の実力を引き出す裏ワザSP

2021年1月27日(水)午後7時30分
2021年2月3日(水)午後3時10分

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保存もきいて、何かと便利な「冷凍野菜」。近ごろは種類も増えて、スーパーやコンビニでもよく見かけるようになりました。とはいえ、市販の「冷凍野菜」は「便利だけど味は期待できない」と抵抗がある人も少なくないのでは?実は、普通の生野菜の調理では当たり前にやっている“ひと手間”が、「冷凍野菜」の味や食感をみすみす損なう“落とし穴”になりうることがわかってきたんです。今回は、その“落とし穴”をさけ、弱点を強みに変える裏ワザを大公開!いつもの料理がラクをしながらおいしくできる「冷凍野菜」ワザ、お伝えします。

今回のお役立ち情報
01

「冷凍野菜」は「冷凍“ゆで”野菜」

今回、市販の「冷凍野菜」を使ってみたけど、満足いく仕上がりにならないという人たちを取材しました。

「冷凍サトイモで煮物を作ってみたけど、かたくてえぐみがある」
「冷凍カボチャを煮ても、煮崩れて水っぽくなる」
「冷凍ホウレンソウは、食感がなくシャキシャキとしない」

実は、こうしたお悩みはすべて、冷凍野菜工場でのある工程に深い関わりがあります。それは「ブランチング」。野菜を凍結させる前に、高い温度でゆでたり、蒸したりする工程で、品質の低下を防ぐことなどを目的に行われます。

このブランチングを経てから「冷凍」されているために、「冷凍野菜」には「生鮮野菜」にはない独特の特性があります。そのひとつは、外側の表面に近いところは十分に火が通っていても、内側が生に近い状態であること。またもうひとつは、凍るときに内部の水分がより体積の大きな氷となるため、細胞にすき間ができて、スポンジのような構造になることです。

「冷凍野菜」はこうした特性を持っているために・・・

◆冷凍サトイモに竹串を刺したら、スッと通ったのに生煮え
◆下ゆでされているのに「生鮮野菜」と同じように煮たため、煮崩れしたり、食感が失われたり・・・

・・・といった残念な仕上がりになってしまうと考えられます。

02

弱点を強みに!冷凍サトイモの煮ない“煮物”

外側が加熱され内側は生に近い状態で、スポンジ状の細かいすき間がある「冷凍野菜」。生鮮野菜にはないこの特性を強みに変えるため、ポイントとなるのが、電子レンジ加熱です。鍋で煮ると外側から温まりますが、電子レンジで冷凍サトイモやカボチャを加熱する場合、内側から温まるため、煮崩れを防ぎながら、効率的に加熱することができます。

この電子レンジ加熱と、スポンジ状の構造をいかした冷凍サトイモの裏ワザを宮崎県の冷凍野菜工場の方に教えてもらいました。

【材料】

・冷凍サトイモ 150g

◆調味液
・水 200ml
・めんつゆ 大さじ2(3倍濃縮タイプの場合)

★「天つゆ」程度の濃さが目安です。
★「天つゆ」より濃いめの味付けにするときは、1~2分、加熱時間をのばして ください。
★もちろん、めんつゆを使わず、お好みの味付けにしてもかまいません。

【作り方】

  1. 電子レンジで加熱できる容器(耐熱ボウルや、プラスチック製食品保存容器)に凍ったままの冷凍サトイモと、調味液を入れる。  
    ※調味液は、冷凍サトイモが、ひたひたになる程度まで(上の部分が水面から出るか出ないか程度まで)入れてください。
  2. 冷蔵庫でひと晩、解凍させる。
    ※常温で解凍する場合は、1~2時間が目安です。 ただし夏場は、常温で長時間置くと傷みやすくなるので、冷蔵庫解凍を おすすめします。
  3. 電子レンジで10~12分、加熱したらできあがり(600Wの場合)。
    (※加熱時間は、ピンポン球ぐらいの大きさの丸い冷凍サトイモのときの目安です)。
    (※乱切りタイプのものは、やや短めの加熱(8分程度)でOKです)。

    ★加熱するときは、ラップやフタは密閉せずに、必ずすき間をあけてください!
    容器を密閉すると、調味液があふれます。

    ★冷凍サトイモをイカなど他の具材と煮たり、豚汁など汁物に入れて使いたい場合。電子レンジ(600W)で2、3分加熱してから、およそ10分、お鍋で火を通すと、内側も外側もちょうどよいやわらかさになります。
    時短にもなり、煮崩れや生煮えを防げるのでオススメです。

03

煮ないで時短!冷凍カボチャの“煮物”

煮ないで時短!冷凍カボチャの“煮物”

今回、電子レンジを活用して、冷凍カボチャの煮物を煮ないで作る裏ワザも開発しました。

[材料]

・冷凍カボチャ 200g
◆調味液
・水 120ml
・しょうゆ 大さじ1と1/2
・砂糖 大さじ1と1/2

[作り方]

  1. 電子レンジにかけられる器や容器に、皮を上にして、凍ったままのカボチャを重ならないように入れる。
  2. ラップやフタを密閉せずに、電子レンジで加熱する。プラスチックの容器の場合、600Wで3分半、陶器や耐熱ガラスの場合、600Wで4分が目安。
  3. 電子レンジで加熱している間に、鍋に調味液の材料を入れ、煮立ったら 火を止める。
  4. 加熱したカボチャに、煮立てた調味液をかけ、5分待ったらできあがり。

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野菜

04

料理人おすすめ!冷凍ホウレンソウの浸水解凍ワザ

料理人おすすめ!冷凍ホウレンソウの浸水解凍ワザ

冷凍の葉物をゆでる場合、加熱時間が延びるほど、食感が損なわれ、野菜の成分の流出量が増えます。それを防ぐために、料理人が考えたのが、あらかじめ浸水解凍してから、ごく短時間ゆでる方法です。

[材料]

・冷凍ホウレンソウ お好みの量
◆お好みで・・・
・しょうゆ あるいは めんつゆなどで作っただし汁 適量

[作り方]

  1. 冷凍ホウレンソウは、水を入れた容器で浸水解凍する。
    (※冷凍ホウレンソウ100gの場合、常温で5~10分で解凍できます)。
  2. 浸水解凍されたホウレンソウを よく沸騰した湯で5秒ほど加熱し、ざるにあげ、色を止めるためさっと水に通す。
  3. 軽く水気をしぼる。そのままお好みで、しょうゆやかつお節をかけたり、めんつゆなどで作っただし汁に浸したりしたら、できあがり。

※「浸水解凍」ではなく、そのまま「自然解凍」すると中の成分がドリップとして出てきてしまいます。
加熱調理用の冷凍ホウレンソウをゆでる場合は、「自然解凍」ではなく、 「浸水解凍」をおすすめします。

★近年、特殊な製法で作られた自然解凍するだけで食べられる「冷凍ホウレンソウ」も販売されています。その場合は、商品に書かれている説明どおり、解凍してください。

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野菜

05

冷凍野菜を炒めるときの極意・・・「十分な予熱」&「フタ」

炒める場合、表面を油でコーティングし、野菜の成分が流出しないよう高温で短時間、加熱するのがおいしく調理するポイントです。
そのために大事なのが、「十分なフライパンの予熱」と「フタ」。凍ったままフライパンに入れると、一気に温度が下がってしまうため、あらかじめ十分に予熱をし、野菜の表面全体に油がまわったらすぐにフタをすることで、できるだけ短時間で炒めることができるんです。

冷凍ゴボウのきんぴら風


【材料】

・冷凍ゴボウ 100g
・ごま油 小さじ1
・酒 大さじ1
・みりん 大さじ1と1/2
・しょうゆ 大さじ1/2

【作り方】

  1. フライパンにごま油を入れ十分に予熱する(強火で1分が目安)。
  2. 強火のまま、凍ったままのゴボウを入れ、30秒~1分、全体に油がまわり、表面の霜が見えなくなるまで炒める。
  3. 料理酒とみりんを加え、フタをし、強火のまま、45秒~1分加熱する。
  4. フタをとり、しょうゆを入れ、水分が飛ぶまで軽く炒めたらできあがり。

★より食感をよくするため、生のニンジン(千切り)を加えるのもオススメです。その場合、冷凍ゴボウと同じタイミングで、フライパンに投入し加熱してください。

冷凍ホウレンソウのソテー

【材料】
・冷凍ホウレンソウ 100g
・ベーコン 2枚 (1㎝幅に切っておく)
・バター 5g
・塩 適量

【作り方】

  1. フライパンを強火で1分予熱する。
  2. バターを入れ溶けたら、ベーコンと、凍ったままのホウレンソウを入れ、表面の霜が見えなくなるまで30秒ほど炒める。
  3. フタをして30~1分ほどたったら、塩で味を調え、軽く炒めたらできあがり。

★本来バラバラに凍結されていた冷凍ホウレンソウが、だんご状にかたまって凍って いることがあります。この状態で炒めると、加熱時間が長く、ムラもできてしまうため、だんご状になった冷凍ホウレンソウは、ソテーのような炒め調理ではなく、おひたしのような浸水解凍後、ゆでるような調理に使うことをオススメします。

※冷凍ホウレンソウがだんご状にかたまってしまうのは、冷凍庫の開け閉めなどによる「温度変化」が原因と考えられます。この現象そのものを防ぐためには、冷凍庫のすき間を減らし、ドアの開閉時間を減らすための収納の工夫などが、メーカーではすすめられています。

冷凍ブロッコリーのフライパン調理

【材料】

・冷凍ブロッコリー 150g
・水 大さじ1

【作り方】

  1. 火をつける前のフライパンに凍ったままのブロッコリーと水大さじ1を入れ、フタをする。
  2. 強火で50秒(中の水が沸騰するまで)加熱し、中火にして2分半加熱する。
  3. フタをとり、強火にして1分、ヘラなどでよく混ぜながら、周りについた水分を飛ばしたらできあがり。

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緊急事態宣言!日本が愛する“あの野菜”が食卓から消える日

緊急事態宣言!日本が愛する“あの野菜”が食卓から消える日

2020年12月9日(水)午後7時30分
2020年12月16日(水)午後3時08分

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NHK+(プラス)番組配信中 番組内容を印刷する

安くておいしい“庶民の味方”「もやし」がテーマ。あって当たり前の存在のもやしが、もしかしたら食卓から消えるかも!?実は近年、生産者協会が2回にわたって“緊急事態宣言”を出すほどの危機に。その裏には、もやしならではのユニークな生態、さらには人の不思議な心理が深~く関係していたことが判明!ガッテンならではの“おいしい知恵”もドーンと公開!「強火でさっと加熱」より、もっと重要な秘けつが!もやしを使った宮廷料理から、独特なもやしへのこだわりを持つある県の郷土料理に学ぶ知恵まで。「もやしがある幸せ」を存分にお伝えします。

 

今回のお役立ち情報
01

もやしの「緊急事態」!もしかしたらなくなるかも!?

もやしが今、存続の危機にあることをご存知ですか?実はここ数年、もやし生産者協会が2回にわたって“緊急事態宣言”を出すほどの危機にあります。その中には「このままではもやしが食卓から消えるかも」という言葉まで!一体なぜなのか取材してみると、もやしの価格はここ40年変わらず一定のままですが、原料の「緑豆」が高騰していることがわかりました。市販価格で比較すると、もやしは1本15銭、原料の緑豆は1粒1円という逆転現象が!このままもやしの価格が据え置きのままだと、もやし生産者はどんどん倒産し、食卓から消えてしまうかもしれないというのです。

02

たった10円で救えるのに 値段があげられない裏事情

1袋(200g)の平均価格は30円ほどですが、40~50円になれば、もやし生産者の方はなんとかやっていける値段だといいます。それが、なぜ40年も値段が変わらないままなのでしょうか?
売り手のスーパーに聞いてみると、日常よく使うもやしの値段をあげると、スーパー全体が高くなったと思われてしまうため値段を上げづらいという事情が。一方、買い物客に聞いてみると「牛肉の値上げは受け入れられても、もやしの値上げは受け入れにくい」という意見が多数。そもそも「もやしは安い」というイメージがついているため、少しでも高くなると敏感に反応してしまうようなんです。
さらに、もやしは工場生産なので、天候に関係なく安定供給ができるため、価格をあげるきっかけをつかめないなど、様々な立場の人たちの心理が複雑に絡み合っていることで、このような事態になっていました。

03

南極料理人もびっくり ガッテン!流野菜炒め

もやしを入れた野菜炒めって、時間がたつと水分が出ておいしくなくなっちゃいますよね。作るポイントといえば「強火でさっと加熱」というのが一般的ですが…今回、意外な真犯人を発見!それは「塩」!もやしを加熱すると、確かに水が出てきますが、出どころは熱で壊れた表面部分くらい。では塩はというと…触れたとたん水がどんどんあふれ出るのですが、それが表面部分に留まらず、浸透圧によりもやしの中心部分からも水を吸い出してしまうんです。そこで大切なのはもやしに塩を触れさせないよう、もやしは単体で加熱すること。もやし以外の材料を調理しておき、食べる直前に混ぜればOK!もやしの存在感たっぷりの料理になります。「もやしは出来るだけ塩に触れさせない」というポイントさえ押さえれば、野菜炒めだけでなく、レバニラ炒めや、焼きそばなどがぐーんとおいしくなりますよ!

【作り方】

普段ご家庭で作る野菜炒めを、まず、もやし抜きで調理します。もやしを別に加熱しておき、それを「もやし抜き野菜炒め」と食べる直前にまぜるだけでOK。
もやしの加熱のオススメは、たっぷりのお湯で10秒~20秒ゆでること。
他にもお好みで、電子レンジで加熱したり、もやし単体で炒めるなど、塩に触れさせない方法でお試しください。

「食べる直前まで塩に触れさせない」というポイントさえ押さえておけば、野菜炒めだけでなく、レバニラ炒めや、焼きそばなど、他の料理にも応用できます。

スタジオでゲストが食べた野菜炒めを食べたい方は・・・

【材料】(3~4人分)

  • もやし 300g
  • キャベツ 200g
  • にんじん 60g
  • たまねぎ 30g
  • 豚バラ 100g
  • 塩 6g
  • 油 大さじ1

【作り方】

  1. もやしをお好みで加熱する。(塩なし)
  2. フライパンを熱し、油を入れたら豚肉の色が変わるまで炒める。
  3. 2.に、にんじん、たまねぎを加え軽く炒めたら、キャベツを加え、全体にさっと火が通ったら塩を加える。さらに、キャベツの甘みを出すためしっかり炒める。
  4. 食べる直前に1.と3.を混ぜて出来上がり。

04

広島のお好み焼き文化が教えてくれるもやしの新世界

広島のお好み焼きに欠かせないもやしがあります。それは、「ブラックマッペ(黒豆もやし)という種類のもやし。実は全国的に主流なもやしは「緑豆もやし」ですが、広島ではブラックマッペが主流。ブラックマッペは緑豆もやしに比べて細く、香りが強いため、お好み焼きに入れると食感や香りがマッチするそうです。全国のスーパーなど売り場で見かけるのは、「緑豆もやし」「ブラックマッペ」「大豆もやし」の3種類。緑豆もやしはシャキシャキ感を生かすために、さっと加熱で野菜炒めやラーメンの具材に。黒豆もやしは、香り豊かで加熱にも強いので焼きそばやおひたしに。大豆もやしは豆本来の味が特徴なので、韓国では塩だけのシンプルな味付けでスープにするんですって。もちろん、この原則に縛られず、お好み次第でいろんな料理に活用可能。値段だけで選ぶ世界から、一歩踏み出してみてはいかがですか。

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