-
■ セミの祖先
-

セミの祖先 Baeocossus muatai Ueda, 2008
|
梅雨があけるとニイニイゼミやアブラゼミの声が聞こえてきます。セミのなかまも古くからいる昆虫で、その祖先は既に古生代のペルム紀(約2億7千万年前)から知られています。ここに示したセミの祖先のひとつ、ムカシハゴロモのなかまは、大きさはちょうどニイニイゼミをひとまわり大きくしたぐらいですが、白亜紀前期(約1億2千万年前)にブラジルのアラリペにいた種類で、翅(はね)の斑紋が実にきれいに残っています。この時代のセミのなかまが今のように鳴いていたのかどうか、実はまだよくわかっていません。発音器を持っている化石がみつかっていないからです。ヨコバイのなかまのように体を振動させ、それをとまっている枝などに伝えて、同種間の信号としていたのかもしれません。ムカシハゴロモのなかまはジュラ紀の中頃(約1億8千万年前)に繁栄し、白亜紀の後期には絶滅してしまいました。
|
-
■ 「砂漠にスイカ」
-

砂漠にスイカ
|
気温41℃、空気は極度に乾燥して湿度9%。毛穴から汗が吹き出す感覚はあるものの、瞬時に蒸発してしまうので、汗が流れることはありません。そんな乾燥したアラビアの沙漠で野生のスイカを見つけました。大きさはソフトボールくらいと小ぶりですが、皮の模様は日本で売られているスイカとよく似ています。しかも割ってみるとジューシーな黄色い果肉が!!ネコにマタタビ、砂漠にスイカ、なんとも嬉しい取り合わせではないでしょうか。もちろん、口に入れてみました、甘くておいしいスイカの味を期待しながら・・・。さて、そのお味はいかに?
この世にこんなに苦いものがあるのかというような七転八倒の苦さです。結局、口の中を洗浄するのに、貴重なミネラルウオーターを2リットルほど使ってしまいました。口の中は翌日まで痺れて、感覚がありませんでした。
面白いことに、アラビアに生息する草食獣のなかには、こんなスイカを好んで食べるものもいるとのことです。おそらく野生のスイカのほうも、長い進化のなかで、これらの草食獣を種子散布者(種の運び屋さん)として選んだのでしょう。そして、それ以外の動物には食べられないような苦みを強化させていったのかもしれません。
市場にでまわり始めた九州産の甘いスイカを食べながら、気づきました、種をその場ではき出してしまうと、種は遠くまで運ばれないことに。草食獣のように、種ごと食べてしまえば、糞として排泄されるまでの間に動物は移動し、消化されずに残った種はより遠くまで運ばれることになります。なるほど、種を吐き出すような動物には食べられたくなかったのですね。野生スイカからの強烈なメッセージの理由がなんとなくわかったような気がしました。
|
|