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■ 街中に残る林の姿を捉える
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珍しくはないけれど、こんな植物たちと出会えます(写真はコナスビ)。
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北九州市は、都会のわりに緑の豊かな街だといわれています。例えば、市立美術館から到津の森公園にかけての一帯には、金比羅山などの比較的広面積の林が残っています。これら市街地に残存する都市林と呼ばれる林は、わずかな面積とはいえ、野生生物にとっての貴重な生息地であるばかりか、都市の住民にも様々な恵みをもたらしてくれる存在であることが知られています。
1960年代以降、都市林のような私達の身近な林の様相が大きく変化しました。かつて、樹木や落葉などは私達の日常生活に欠かせない貴重な資源でしたが、それら資源は化石燃料や化学肥料に主役の座を奪われ、林の価値は急減しました。1960年代に起こった「燃料革命」と呼ばれるこの変化が、開発による林の消失や放置による林の環境変化をもたらしたのです。
この身近な林の変化は、金比羅山一帯でも認められています。幸いこの地域の林は、近年、面積の減少はみられませんが、質的な変化は今後も進展してゆくものと考えられています。それでは、このような都市林は、どんな特徴を有しており、どう変化してゆくのでしょうか?
それらの事柄を知るためには、同じ林に生育する植物を定期的に調査し続ける“モニタリング”という手法が有効です。そこで、市民の方々と一緒に都市林の植物相を調べる「モニタリング型植物観察会」を始めることにしました。初年度にあたる昨年度は、金比羅山の植物を調べてみました。本年度は美術の森公園を対象とした観察会を、春、夏、秋に行う予定です。皆様方も、是非、ご参加ください。
(文:真鍋学芸員)
野外観察会「都市林のモニタリング型植物観察会」
【日 時】4月19日(日)10:00~14:30 ※雨天中止
詳しくは上記「博物館からのおしらせ」をご覧ください。
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