【メル博】ロゴマーク いのちのたび博物館メールマガジン 第11号
2011/01/10
博物館からのおしらせ
冬の特別展「古代メキシコ・オルメカ文明展ーマヤへの道」
【画像】
 いのちのたび博物館では、新年1月2日(日)より、冬の特別展「古代メキシコ・オルメカ文明展ーマヤへの道」を開催しています。
 本展は、日本メキシコ交流400周年を記念して開催するものです。
 オルメカ文明とは、マヤ文明を遡ること1000年、メキシコ湾沿岸地方に突如現れた北中米最古の古代文明です。彼らは、ベーリング海峡を渡ってきた我々と同じモンゴロイドで、重さ数トンの巨石人頭像をはじめ巨大な石の彫刻やヒスイなどの玉石を精密に加工する技術を持っていました。マヤ文明など中米古代文化に共通する特徴が多いことから‘母なる文明’と呼ばれています。
 本展覧会では、メキシコ合衆国政府の全面的な協力で、日本国内では初公開の資料約130点を展示しています。

 関連イベントとして、
 ① 記念講演会
 ② 火起こし体験
 を開催します。
 

【会期】平成23年1月2日(日)~3月31日(木)
【料金】
☆特別展料金
【大人1,000円(700円) 高・大生600円(400円) 小・中生300円(200円)
 未就学児は無料】
*常設展とのセット券もあります。
☆セット券料金
【大人1,200円(1,100円)高・大生700円(640円)小・中生400円(360円】
※( )内は前売り・団体30名以上のお一人様料金です。
※ セット券の前売りはありません。

冬の特別展「古代メキシコ・オルメカ文明展ーマヤへの道」関連イベント
 
 記念講演会「古代メキシコ・オルメカ文明とは何か」 
 講師:京都文化博物館主任学芸員 南 博史先生

【日時】平成23年1月22日(土) 13:30~15:30
【料金】無料 ※特別展観覧は別途料金が必要です。
【定員】当日先着200名 

野外観察会「カワセミを見る!」
 
紫川でカワセミや冬の水鳥を見ます。

申込方法などは博物館のホームページからご確認ください。 

学芸員の「よもやまばなし」
オルメカ文明と縄文時代
【画像】
オルメカ文明は、今から約3000年前頃からメキシコのユカタン半島で栄えた古代文明です。
日本では、縄文時代の後半から弥生時代にかけての時代に相当します。両者はともにモンゴロイドが作り上げた文化、文明ですが、距離が数千キロメートルも離れていることから全く何も共通性がないように考えられますが、実は非常に似通った部分があります。
 ヒスイに対して特別な考えを持っていたこともその一つです。
 写真上は、ラ・メルセ遺跡出土石斧の未製品です。いわば石斧を作る途上のものです。
中央部が凸線をなしていることがお分かりいただけるでしょうか。これは石の両面からひたすら溝を深くしていって最後に薄くなった段階で折った段階の石材です。この後、全体を研磨して、磨製石斧の形に仕上げるのです。
 このような磨製石斧の製作方法は、日本列島の縄文時代にもあり、「擦(すり)切(きり)技法(ぎほう)」と呼ばれています。潮見浩氏によると縄文時代の擦切りには「長さ10センチ、幅5センチ、厚さ1センチ前後の断面楔形の石が石(いし)鋸(のこ)として使用される。石鋸そのもので塊状の石を擦り切るのではなく、硬くてきめのこまかな砂(石英砂・珪砂)などが摩擦材として使用され」そして、「擦切り」、「切断」、「研磨・仕上げ」の工程を経て、磨製石斧が作られるのです(1)。
 世界の古代文明では、しばしば共通した技術を見つけることがあります。人間の考えることが共通しているのか、あるいは文化が伝播したためであるかは、考古学上の問題として今後解明すべき課題です。
 現物の石斧は、「古代メキシコ オルメカ文明展」会場の一番奥に展示されています。
(1) 潮見浩『図解 技術の考古学』(改訂版)有斐閣 2000年
(歴史課 学芸員 松井和幸)

写真説明
上: ラ・メルセ遺跡出土石斧(INAHベラクルス州センター)
下: 註(1)文献引用 図12擦切技法と石鋸
   図説明文(左上から)石鋸、石英砂、擦切痕


ネズミに襲われる天然記念物カンムリウミスズメ
【画像】
福岡県の玄界灘に浮かぶ沖ノ島は、海の正倉院とも呼ばれ宗像大社の神域となっていて、島全体をおおう原始林は国の天然記念物に指定されています。その南東1kmには小さな岩礁状の小屋島があります。この小屋島では春には全長24cmの小型の海鳥カンムリウミスズメ(写真上)が繁殖します。この鳥は個体数が少ないことから、国の天然記念物であるとともに、国際的に絶滅の恐れのある鳥類とされています。
 今から24年前の1987年に、小屋島ではドブネズミが繁殖中のカンムリウミスズメの親鳥を食べ、壊滅的な被害を与えたことがありました。その後ネズミは駆除され、カンムリウミスズメの個体数は回復途上にあったのですが、2009年に再びドブネズミが侵入しカンムリウミスズメを襲いました。海外では2km余り離れた島へドブネズミが自力で渡った例があり、1kmしか離れていない沖ノ島からドブネズミが侵入して来た可能性が考えられました。
 そこで2010年の6月と7月に、宗像大社の許可を得て沖ノ島に渡り、ネズミ調査を行いました。その結果、ドブネズミ(写真下)が沖ノ島の港周辺から標高200mまでの原始林の内部に広く生息していること、クマネズミが港周辺に生息することなどがわかりました。これでは今後も、小屋島へのドブネズミの侵入が懸念されます。
 一般に、島に侵入したドブネズミやクマネズミなどの家鼠類は、島で繁殖する野鳥に被害を与えるため、海外ではヘリコプターからの殺鼠剤撒布などにより駆除が試みられ、大きな成果が認められています。沖ノ島でもカンムリウミスズメなどの鳥類を保全するために、ネズミ類の大規模な駆除が望まれます。
(自然史課 学芸員 武石全慈)

写真説明
上:小屋島のカンムリウミスズメ
下:沖ノ島で捕獲されたドブネズミ

 


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冬の特別展「古代メキシコ・オルメカ文明展ーマヤへの道」関連4点
【画像】【写真左】オリジナルファイル 【写真右上】マヤカレンダー 【写真右下】オリジナルポストカード&マグネットセット  
【写真左】オリジナルファイル 【写真右上】マヤカレンダー 【写真右下】オリジナルポストカード&マグネットセット  
・オリジナルクリアファイル  1名様
日本初公開の巨石人頭像オルメカヘッドのデザインのクリアファイルです。

・マヤカレンダー  1名様
世界の伝統的な歴史の中で、もっとも複雑と言われるマヤ暦。
マヤ暦とは何かなどの解説や、マヤ暦に対応する自分のデイサインを調べて、日々確認することが出来る2011年カレンダーです。

・オリジナルポストカード&マグネットセット 各1名様
ヒスイのマスク、マヤカレンダーのデザインのポストカードとマグネット。どちらもオルメカ文明展開催中にしか手に入らないグッズです。

※お申し込み期間は、発行日から10日間です。
※なお、当選者は、賞品の発送をもって発表とかえさせていただきます。あらかじめご了承ください。

応募のとき、メッセージもいっしょに送って下さ~い。お待ちしてます。

プレゼントのご応募はこちら
編集後記
今年もよろしくお願いします。
年末年始、こんなに雨が降ったことは記憶にありません。
毎年のことながらあっけなく過ぎ去った正月ですが、皆様いかがお過ごしになりましたか。
博物館では1月2日から、冬の特別展「古代メキシコ・オルメカ文明展―マヤへの道」が始まりました。
本来ならばかなりの費用と日数を費やして現地に行かないと見ることができないものが、千円前後で本物の迫力を堪能できるのですから、博物館というのは有難いものだと思います。(手前味噌?)
このチャンスを逃さないようにご観覧ください。
3階の歴史ぽけっとミュージアムでは1月15日から、「江戸時代の庶民の旅」「わたしたちのまちの昔のくらし」、の両展が始まります。
博物館タイムマシンに搭乗し、二つの昔を旅してください。 
平成23年も1年間、メル博をよろしくお願い申し上げます。


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  TEL : (093)681-1011 FAX : (093)661-7503
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