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■ てぬぐい再発見!
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近年、可愛らしいデザインなどで若い女性にも人気の「てぬぐい」。和風の小物として、再注目されていますが、てぬぐいは昭和初期頃までの生活に欠かせないものであり、当時のくらしを知るうえでの貴重な資料です。
元々、てぬぐいは「太乃己比(たのこい)」「巾子(たなこい)」「手巾(てのこい)」などと呼ばれ、主に装身具として使われていました。庶民の間に広まったのは、木綿の栽培がさかんになった江戸時代になってからのことです。江戸時代のてぬぐいは、さまざまな用途やデザインが生まれ、浮世絵の中にもさかんに描かれています。そのかぶり方は頭を包み込み、あごの下で結ぶ「頬かぶり」、頭をふんわりと包む「姉さんかぶり」などがあり、歌舞伎役者を手本としたものも多く、多種多様なかぶり方が流行しました。また、実用的なかぶり物としてだけでなく、粋なおしゃれとして、てぬぐいが愛されていました。
一方、てぬぐいは手を拭うだけでなく、くらしの中で広範囲に使われました。その一例をあげると、商店などの名前を入れた広告、名所など土地ゆかりの土産、髪の乱れをおさえる鉢巻き、舞踊や落語の小道具など、多岐にわたります。
さらに、布は大変高価であったため、てぬぐいをつなぎ合わせて、襦袢や腰巻などが作られました。古い布をつなぎ合わせて着物を作ることはありますが、てぬぐいを使用した着物はありません。てぬぐいで襦袢や腰巻を作ったのは、人目に触れない着物の下に身につけるものだからです。また、布をつなぎ合わせる際、左右が対象となるように、柄をきれいに配置しています。布を大切にし、同じ布でも用途に合わせて布を使いわけ、少しでも美しくありたいと願う、当時の人びとの美意識が感じられます。
*歴史ぽけっとミュージアムNo.11において、「襤褸~てぬぐい~」展を開催中です(平成23年9月5日まで)。
学芸員 上野 晶子
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