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■ 古墳の中のようす
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当館の日明一本松塚古墳実物模型
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いのちのたび博物館の常設展には北九州市小倉北区にある日明一本松塚(ひあがりいっぽんまつづか)古墳の実物大模型があります。横穴式石室という石で造られた墓室(ぼしつ)ですが、中に入ると自動的に電気が点く仕掛けになっています。たまに怖がって入られない方もおられますが、中には恐ろしいものがあるわけではありません。
1年ほど前に内部の床面に、イラストが描かれたカーペットを新たに敷きました。古墳時代の姿を厳密に復元できているわけではありませんが、埋葬当時の様子をうかがうことができるようになりました。ここでは、どこからどのような土器が出たのか、馬具や大刀はどのあたりにあったのかを見ることができますが、一番のポイントは遺体のイラストです。
皆さんは漠然と遺体は木の棺に入っていたのだろうと考えていませんか?実は研究成果によれば、九州地方の古墳には木棺があまり用いられないことがわかっています。近畿の古墳では木棺の出土例もありますが、当時の九州の人びとは木棺を好まなかったようです。
では遺体はどういう状態で埋葬されていたのでしょうか。木製品や布製品などは1500年も前のものですので、腐ってなくなってしまうことが多いのですが、少し残った断片の痕跡などから推測して、板のようなものに乗せたり、布でくるんだりして埋葬していたと思われます。『古事記』のイザナミ・イザナギの話の中に、黄泉の国にイザナミを迎えに行ったイザナギが、腐ってウジの湧いたイザナミの様子を目撃するシーンが描かれます。これは当時、同じ石室を何代にもわたって使用していたことから、頻繁にそのような事態に遭遇していたものを反映したと考えられます。
実際の石室はもっと暗くて埃っぽく、カビ臭く、ゲジゲジやコウモリなどの棲み家となっていますが、いのちのたび博物館の実物大石室は清潔そのものですので、ぜひ中に入って黄泉(よみ)の国を疑似体験してみてください。
※実際の日明一本松塚古墳には入ることができません。 (歴史課学芸員 宮元 香織)
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