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■ 黄葉と紅葉
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左ー図1 黄葉のメカニズム 右ー図2 紅葉のメカニズム
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今年も秋が深まってきました。今秋は、私達の身近でも、紅葉が例年になく美しい気がしますが、いかがでしょうか?さて、今回は紅葉のメカニズムをご紹介します。
葉には、光合成に不可欠なクロロフィル(葉緑素)という緑色の色素やカロチノイドという黄色の色素が含まれています。夏場は、クロロフィルの量がカロチノイドの量の8倍ほど多く含まれているため、葉は緑色に見えます。ところが、秋が深まるにつれクロロフィルが分解されてゆき、分解されないカロチノイドが目立つようになってきます。これが黄葉のメカニズムです(図1)。
落葉樹は、冬に向けて葉を落とす準備をはじめ、葉と枝との境に離層とよばれる切り口のようなものができます。離層ができると光合成によってつくられた糖分が枝に運ばれにくくなり、葉に残ることになります。紅葉のヒミツは、この葉に残った糖分にあるのです。
さて、クロロフィルが分解されると同時に、葉に残った糖分からアントシアンという赤色の色素が合成されます。すなわち、秋が深まるにつれ、紅葉する植物の葉の中では、カロチノイドの量はかわりませんが、クロロフィルが減ってゆき、アントシアンが増えてゆくという変化が起こるのです。それで葉は緑色から、どんどんと赤へと変化してゆくわけです(図2)。
一般に、最低気温が8℃以下になると色づきはじめ、5〜6℃以下になると急速に紅葉がすすむといわれています。さらに、日中と夜間の温度差が大きいときれいな紅葉になるようです。また、空気が澄んでいて、葉がたくさんの日光を受けることも、きれいな紅葉になる条件のようです。
余談になりますが、近年、紅葉が美しいほど、アブラムシ類の寄生が少ないことが発見されました。この現象に、植物が紅葉する原因を解くヒントが隠されているかも知れません。
(自然史課学芸員 真鍋 徹)
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