四則演算の秘密
四則演算の秘密 「なぜ足し算引き算より、掛け算割り算を先に計算するのですか?」 という質問に対して、「それはルールだからです」とか ときには質問者を馬鹿にするような回答が多々ありますが、 私はすごくいい質問で、深い質問だと思います。 数学をある程度習った人なら、例えば 1+2×3+4 という式が、 1+2・3+4 というように表わしたり、 記号のときは a+bc+d というようにb×cを一つの項として認識するということを知っていると思います。 確かにルールといえばルールなんですが、 もっと論理的な理由や深い起源のようなものがあるはずだと思います。 その理由が難解なものでも結構です。 馬鹿にしている方々を静かにさせるような 答えをお願いします!!
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ベストアンサー
抽象的に理由を言えば、 実数(複素数)には、いくつかの公理があります。 その中の一つに可換体という代数的概念を認めているからです。 わかりやすくいいますと、実数の集合Rは代数的には実数体とも呼び、可換体なわけです。 可換体Fの定義は「Fの0元以外の元は全てFの中に逆元をもつ単位的可換環F(単位元1を含んでいて、乗法に関して交換可能な環F)」のことです。 環の定義も書いておけば、集合Rが環であるとは、 任意の元a,b,c∈Rに対して、「+」と乗法が定義されていて、つまり、a+b∈R,ab∈Rであり、 (1)(a+b)+c=a+(b+c) (2)a+b=b+a (3)a+d=d+a=aとなるd∈Rがある。(このdを0と書く。) (4)a+a'=a'+a=0となるa'∈Rがある。(このa'を-aと書く。) (5)a(b+c)=ab+bc, (a+b)c=ac+bc (6)a(bc)=(ab)c (7)単位的ならば、a1=1a=aとなる1∈Rがある。 つまり、可換環の公理から、いわゆる、足し算、引き算、掛け算が定義されていて、 加えて、体の定義の中である「0以外の元はRの中に逆元をもつ」というのが、新たに「逆元を掛ける」すなわち「割り算」を定義しているのです。 つまり、実数の世界で、n,m(mのみ0ではない)とすると、 n÷m=n×1/mと定義しますよね? では、1/mとは何か?それが、mの逆元を表す、すなわち、mm'=1を満たすm'は一意的だから、 そのm'を記号で1/mと書こうって話なんです。1/mも実数ですから、n×1/mが計算できますね?(これを分数といい、記号でn/mと書きます。 もっと言えば、分数の性質(通分や約分)は整数環Zの商体が有理数の集合Qという考え方が必要ですが。) つまり、n÷m=n/mと定めることにより、n÷mが計算できるわけです。 ご質問にあります、なぜ「加法より乗算を優先するのか?」それが上の集合Rの公理(5)である分配法則なんです。 他にも「()を優先する」のは、公理(1)、(6)の結合法則なんですね。 少しは納得して頂けたでしょうか? 小学校の間で何の理屈もなく、「ルール」だと教え込まれたでしょうが、実数というものが可換体であることを前提としているからこそのお話なんです。 小学校の先生ならば、「実数の集合」が「可換体」、「有理数の集合」は「整数の集合の商体」であることは知っておくべきでしょう。 算数に興味の強い生徒が出てきて、「何で掛け算は先にやるの?」「何で通分ができるの?」と聞かれても、 「ルールだからね。」とか適当な回答じゃなく、「可換体」や「商体」という難語は使わないまでも、理屈やメカニズムはちゃんと答えられるように。
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質問者からのお礼コメント
答えていただいた方々、ありがとうございました。 とくにベストアンサーに選んだ回答は、馬鹿にした人を静かにするどころか、 私自身プシュ~。。。という感じでした。 単に決められたルールだと決め付けていた人も見てくれてるといいのですが。。
お礼日時:2008/11/14 20:08