CCCの公共施設運営受託、なぜか毎回、選考過程が不透明

 CCCを誘致した決め手は、指定管理者の選考委員の人選だった。下のリストは昨年1030日、門真市生涯学習施設の指定管理者選考会で、応募二者のうちCCCが選定された際の審査委員の顔触れである。

大阪府門真市、ツタヤ図書館建設に50億円投入…CCCの公共施設受託、また不可解な選考の画像3 5人のうち図書館の専門家は、追手門大学国際教養学部の湯浅俊彦教授しかいない。湯浅教授といえば、2013年に佐賀県武雄市でCCCが既存図書館をリニューアルして最初のツタヤ図書館をオープンしたときから、同社の図書館運営を高く評価していることで有名な人物だ。図書館界でもっとも権威のあるイベントとして知られる図書館総合展では、2012年から5年連続でCCCが運営する、公共図書館についてのディスカッションのコーディネイターを務めている。

 門真市によるこのときの審査は、まちづくりに関する項目が多く、賑わい創出を得意とするCCCが有利なだけに、図書館営の面でもCCCを高く評価する湯浅教授のような委員がいれば”鬼に金棒”だったに違いない。

 かくして、応募二者のうちCCCが”もっとも優れた事業者”として選定された。ちなみに、もう一者は、全国で500館を受託して”図書館界のガリバー”であるTRC(図書館流通センター)を代表企業とするグループ(KADOMAニュー・ライフプロジェクトチーム)だった。

 2017年11月に和歌山市がCCCを選定したときの一騎打ちの相手も、TRCだった。そのときの和歌山市は、CCC対TRCによる公開プレゼンまで開催。それを見た図書館関係者のほとんどが「TRCの勝ち」と予想したが、それを見事に覆すかたちでCCCが選定されたことから、極端にCCCびいきの点数をつけていた、ある審査委員の採点に疑惑の目が向けられた。のちに筆者が独自入手した資料では、選定の1年以上前にCCCが単独で市長プレゼンを予定していたり、RIAがCCCを密かに推薦していたことが判明している。そのように和歌山市では”出来レース”疑惑が今もくすぶりつづけているのだが、果たして門真市も、その二の舞いになるのだろうか。

 なお、CCCがこれまでに図書館や市民センターの公共施設を受託してきた9つの自治体のうち、透明性高く公平・公正な選考プロセスを経たと認められるケースは、筆者が知る限り、ただの1件もない。

 コロナ禍で市民生活の緊急課題が山積するなか、こんな市民無視の不透明なプロセスによって50億円もかけたツタヤ図書館を建設する大義は、いったいどこにあるというのだろうか。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト

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