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【WEB版】冒険者ライセンスを剥奪されたおっさんだけど、愛娘ができたのでのんびり人生を謳歌する 作者:斧名田マニマニ

10章 おっさんとかつての仲間編

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80話 おっさんと少女、守り守られる

 エドモンドは、ラビの誘拐と『豚の夜鳴き亭』の破壊、宿の客に負傷者を出した件で逮捕されることになった。


 逮捕時には結構な騒ぎとなってしまった。

 エドモンドは「自分は勇者パーティーの一員として国を護ってきた英雄なのですよ。捕まえるなんてありえない!」と喚いて、暴れ出したのだ。

 攻撃魔法を放てるほどの魔力はもう残っていなかったため、たいした抵抗はできなかったものの、あっという間に周囲には人だかりができあがっていた。


 結局、彼は憲兵隊員に小突き回され、「あまり見苦しく騒ぐな」と叱責されながら連行されていった。

 集まった人々は「あれが英雄の成れの果てか」と失笑する。

 俺は複雑な気持ちを抱えたまま、顛末を見届けた。

 これから数日間、エドモンドは憲兵隊の牢屋に拘留され、書類の手続きなどが終わり次第、刑務所に輸送されるだろう。


 かつての仲間といえど、ラビやエイハブたちにしたことは許せない。

 エドモンドには、刑務所の中でしっかり罪を償い、心を入れ替えて欲しい。

 それ以外、彼にたいして抱く感情はない。

 エドモンドのことはこれで一つの決着がついた。


 次はアランだな……。


 ほとんど身動きが取れない状態だとしても、ラビが危険に晒される可能性が少しでもあるのなら、放っておくことはできない。

 エドモンドのように、先手を打たれてからでは遅いのだ。

 それにあいつには、返したいものもあるしな。

 コートの胸ポケットにしまったままの指輪。

 その存在を忘れたことはなかった。


 エドモンドは、アランがバルザックの宿屋に滞在していると言っていた。

 それが事実なら見つけ出すのに、そう手間はかからないだろう。


 問題はラビだ。

 救出して抱き上げた直後から、ラビはずっと俺の首にしがみついていて、片時も離れようとしない。

 時々、ぐずるような小さな声を出して、俺の胸にぐりぐりと額を押しつけてくる。


「私……甘えてごめんなさい……」

「なんで謝るんだ。俺はうれしいぞ。ラビに気持ちを我慢されるほうがずっと嫌だからな」

「うう……」


 言葉にはならない呻き声を零して、またラビがぐりぐりとしてくる。

 こんな状況じゃなければ、その仕草のかわいさにデレまくっていたことだろう。


 知り合って間もない頃とは違うラビの反応。

 あの頃は恐ろしいことがあると、青ざめた顔で人形のように固まり、気持ちを押し殺してしまっていた。

 それが今はこんなふうに、俺を頼ってくれている。

 うれしい、と言った言葉は嘘なんかじゃない。

 ラビにとって心を許せる場所になれた。

 そう自惚れてもいいのだろうか?


「お父さん……。私、ずっとお父さんの傍にいられるよね……?」

「もちろんだ。もう二度とあんな目には合わせない。約束する」

「うん……。ひとりぼっちは怖い……」


 背中をポンポンと叩いてやると落ち着くようなので、「もう大丈夫だ」と囁きかけながら、ラビのことをあやし続けた。


 こんなラビを残して、アランのところへひとりでなどいけないな。

 ただアランのところに連れていって、怖がらせたくもない。

 一体どうしたものか……。


 本音を言えば、しばらくは片時だって目を離したくない。

 これから先の人生、毎日、四六時中ラビの傍にいるわけにはいかないとしても、こんな事件が起きたあとだ。

 せめて時間がラビの心を癒してくれるまで、そういう期限付きなら、いつもより過保護に振る舞っても許されるよな……?


「ラビ、少し話を聞いてくれるか?」


 くっつき虫になっているラビに声をかける。

 そろそろと顔をあげたラビは、こくりと頷いて、緊張した面持ちで俺を見上げてきた。


「俺には会わなければならない男がいる」

「……昨日の男の人が言ってた人……?」


 昨日の男とはエドモンドのことだろう。

 俺はラビの言葉に頷き返した。


「そいつ――勇者アランと昨日の男エドモンドと俺は、かつて仲間だったんだ。しかし色々あって、こじれた関係になっている。おそらくアランは俺を憎んでいるだろう。だから会いに行って決着をつける必要があるんだ」


 ラビを護るために。

 俺は自分の過去としっかり向き合わなければならない。


「……勇者さんも怖い人? お父さんに何かあったら私……」


 ラビが心配そうな顔で尋ねてくる。

 俺はなんと答えたらいいか迷っていると、ラビの大きな目が不安からうるっと揺れた。

 い、いかん!


「大丈夫だ。何もさせやしない。そのために会いに行くんだからな。指輪を返して、二度と関わることがないよう話をつける。それで終わりだ」

「指輪……。お父さんに悲しい顔をさせた指輪のこと……?」


 俺は指輪を見て、アランに呪われていたことを知り、ショックを受けた。

 確かにその姿をラビは見ていた。

 覚えていたのか……。


 ラビが子供だからといって、ごまかすようなことはしたくない。


「そうだ」

「……でも会わなきゃだめな人?」

「ああ、そうだ」

「……会ったらお父さん、悲しくならない……?」


 難しい質問だな。

 自分の感情がどう動くのか。

 俺には予想がつかなかった。

 でもひとつだけ断言できることがある。


「アランにあって、どんな想いをしようとも、俺にはラビがいる。だから何があっても平気だ」


 俺にとって唯一無二の確かな光。

 大事な大事な宝物。


 そう思っていると、不意にラビが俺をふわりと抱きしめてきた。

 背中に回された小さな両手。

 しがみついてきたときとは何かが違う。

 まるで優しく包み込もうとしているかのように、俺を包み込む。

 ラビに抱擁されているみたいな気持ちになって驚いた。


「お父さんがいつも守ってくれるように、私もお父さんのこと守ってあげたい……。悪い人がいっぱいいても、どんなときでも……」

「ラビ……」


 情けないことに涙でじわりと視界が滲んでしまった。

 今まで一度だって呼びかけたことのない相手に、思わず話しかける。


 神様。

 俺にこんな尊い宝物をくれてありがとう……。

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しかも、花火とは真逆で、めちゃくちゃ性格のいい美少女から、「ずっと好きだった」と告白されてしまった。

って花火さん、なんかボロボロみたいだけど、どうした?

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