渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

革ジャンの着こなし方

2021年01月29日 | open
クリームソーダ/ピンクドラゴンの
故山崎眞行さんの残した名言がある。
・流行を着るほどダサい
・クリームソーダにトレンドは禁句だ

革ジャンについては、その実用的な位置
での発生から連綿とした定式がある。
革ジャンの着こなし方にトレンドはない。
むしろそんなことをする事自体がダサダサ
になる。ミリベレと同じなのだ。
革ジャンの着こなしは、トレンドではなく
トラッドなのである。

革ジャンはゆったりとザックリと着る。
それが革ジャンの「決め」だ。
ぴっちぴちパッツパツの革ジャンほど格好
悪いものはない。つまりダサい。
最近のネット広告などでは、ダサすぎる
「分かっていない」モデルが腹パンパンの
様子で革ジャンを来て「おしゃれでスタイ
リッシュな」などとコピーがつく。
笑わせないでくれ。
革ジャンには流行りは無い。トレンディ
ではない盤石の定番があるのだ。

革ジャンはこうやって着るのである。
















革ジャンはゆったりとザックリと着るの
である。
ヘソだし短モノやパッツパツや肩キツキツ
で身動きできないような着方はしないの
だ。
これはサイズの問題だけでなく、着こなし
と身のこなしも併せて。
とりあえず、ダサ坊にならない第一歩は、
動きが阻害される型紙の革ジャンは着ない
事だ。
緩みと締まりの緩急こそが革ジャンのカッ
トデザインと着こなしのキモなのである。

上掲写真から共通項を見つけてほしい。
小林旭にしろジミーにしろマックイーンに
しろビートルズにしろ、肩が落ちる程の
ゆったり目を着ている。
それを不細工に見せないように着こなして
いる。
これは革ジャンの発生が、航空防寒軍服
であったことに由来している。
そして、その革ジャンは、飛行機乗りの
ウエアが化学素材に変更される頃に二輪
乗りたちによって継承された。
二輪でも上半身の動きを妨げるキツキツ
などを着たらマシンの操縦は不能になる。
ゆえに肩には余裕を持たせていながら、
腰元は締まるようなカットのレザーウエア
として存在してきたのが革ジャンなのだ。
それをピチピチにして着るなどというの
は、革ジャンの何たるかを解っていない。
革ジャンは水着じゃないんだから。

最近のネット等の広告を見て、「今は
これが若者にはウケるから、これを批判
するのは感性が古い」と考えるとしたら、
それこそまるで革ジャンの事を解ってい
ない。
革ジャンはミリタリーベレーと同じく、
不動の定番があるのである。
それの連綿と存在する革ジャンの定理が
見えないまま語るとしたら、それはダサ
い。
流行とか一過性のもので価値観が変わる
視点でしか革ジャンを見られていない時点
で革ジャンへの理解はほぼ不能になる。
「どんなのでもその人なりに自由ではない
か」などというのは自由のはき違えだ。
ミリタリーベレーではそんなことは通用
しない。「俺式」などは入り込む余地は
ないのだ。革ジャンも然りなのである。

しかし、そのガチガチの不動の定番の中
で自分なりの個性を工夫して出す。
これはある種、武士の「決まりの中の装
束」という領域の中にありながら武士たち
がさりげなく工夫して個性を出す粋さを
発揮した事にも通じる。
そこにこそファッションの妙、個性発揮
の真髄がある。
このことが解らないと、ファッションに
は暗いといえる。
いくら口先だけで「ファッショナブル」
や「お洒落な」とか「トレンド」を唱え
ても、それは内実空っぽのダサダサでしか
ないのだ。
被服の世界は深い。

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