微小粒子状物質「PM2.5」が新型コロナウイルスの感染を促す可能性のあることが分かったと、京都大のグループが3日発表した。大気中にあるPM2.5の濃度と新型コロナ感染症の重症化リスクの関連が指摘される中、そのメカニズムの解明への応用が期待できるという。米科学誌エンバイロメンタル・リサーチに掲載された。
世界で新型コロナの感染が広がるなか、PM2.5などによる大気汚染と発症数・重症化の関連を指摘する報告が出ている。しかし詳細なメカニズムは分かっていない。
京大地球環境学堂の高野裕久教授らのグループはメカニズムの一端を調べるため、マウス3匹に対し、500マイクログラム(マイクロは100万分の1)のPM2.5を肺に投与した。その結果、肺の一部の細胞に、新型コロナが生体に感染する時の足がかりとなるタンパク質「ACE2」と「TMPRSS2」が通常より10倍程度多く生じていることが分かった。
ただ今回はマウスに新型コロナを感染させる実験はしておらず、ヒトでも同じ反応が起きるかは不明という。また通常は、今回の実験でマウスに投与したレベルのPM2.5の量をヒトが吸うことはないとしている。高野教授は「新型コロナについて、PM2.5と『ACE2』などの関連を調べる必要性を示している」と話す。